その役割と責任を明確にしたい
2016/9/24
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建設コンサルタントは、社会・経済環境の変化に呼応し、その業務領域を大きく広げつつある。もはや社会資本整備のプロセスからのみ業としての在り方を考える時代ではない。建設コンサルタントとは何か―。これからの建設生産システムにおける役割と責任を明確にし、職業としての社会的なポジションを確立する時期にきている。
国土交通省は、いつの頃からか、建設コンサルタント、測量業、地質調査業―この三つの業種を「建設関連業」と呼んでいる。建設生産システムの上流部にあって、技術サービスを提供する者と位置付けてもいる。しかし、測量法によって社会的な位置付けが裏付けされた測量とは異なり、建設コンサルタントと地質調査業の場合、両者の建設生産システムにおける存在証明は、1964年4月に建設大臣(当時)告示によって創設された「建設コンサルタント登録規程」に拠っているのが現状だ。
特に、建設コンサルタントは、この規程を端緒として社会資本整備の調査・計画・設計・施工管理・維持管理それぞれの過程にコミットし、重責を担うようになって久しい。であるにも関わらず、社会資本整備に関連する法律の中に、その位置付けを文書化したものを見付けることは難しい。現行法の中では、辛うじて「公共工事の前払い金保証事業に関する法律」の中に、「土木建築に関する工事の設計若しくは監理若しくは土木建築に関する調査、企画、立案若しくは助言を行うことの請負若しくは受託を業とする者」(第19条第三号)と定義されているのを見るのみだ。
多くの統計に用いられる日本標準産業分類を見ても、建設コンサルタントは土木建築関連のサービス業に含まれた「建築設計業」の実務例の一つとして取り上げられているほどだ。
他方、相次ぐ自然災害の猛威・脅威を感じた国民は、これまで以上に防災・減災に関心を向けるようになってきているし、国土強靭(きょうじん)化の必要性についても理解が広がってきたように見える。
何より、少子高齢化の進行とともに、多様化する社会的要請に応え、社会・経済の持続可能性を高める新たなサービス開発・提供の必要性が高まってきているのは明らかだ。地方自治体の多くが公共サービスを安定的に提供する能力を失っており、PFIや包括業務契約などのPPP(公民連携)を通じた建設コンサルタントの事業領域は、ハード分野以外にも広がりを見せている。
もちろん、建設コンサルタントの建設生産システムにおける位置付けや、職業としての社会的ポジションを明確化するには、多くの課題がある。現行の登録規程でさえ、地方自治体の約4割程度しか有効に活用しておらず、建設コンサルタントの職能と発展性に対する認識は、近未来社会でのポジションを確立したい建設コンサルタントのそれとは大きなかい離が見て取れる。
公共セクターに代わり、サービス提供者となり得る建設コンサルタントには、国民の安心・安全な暮らしや、生産活動に貢献する意志と能力を理解してもらうための地道な努力を、積み重ねていく必要がある。
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