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都の入契制度見直し―極論からの制度構築に歯止めを

2017/1/16 

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入札参加者数が増えて落札率が低下し、不調の発生率も減っている―。東京都が2016年度上半期(4〜9月)に発注した予定価格250万円以上の工事の契約状況がまとまった。採算を度外視したような低価格入札を防ぐための最低制限価格制度の積極的な活用、債務負担行為を利用した平準化や発注予定情報の細分化といった“入札に参加しやすい環境整備”による効果が表れた格好だ。だが、改善に改善を重ねて構築してきた現行制度を抜本的に見直す動きが本格化する。
 小池百合子知事が設置した都政改革本部の内部統制プロジェクトチーム(PT)は、調達・入札制度の“適正化”に向けて「1者入札を回避するための制度・運用の整備」「最低制限価格制度を主とする運用の抜本的見直し」などを改革の方向としてまとめ、昨年12月22日に本部会議に報告。都が同PTの助言を得ながら現行制度の見直しを検討することが決まった。
 「品質の高いものをより安く」―これが都民の思いだということに異論はない。都発注工事の大半が1者入札で、落札率が平均で99%台というのならば同PTの主張にも一理ある。しかし、都の16年度上半期の契約状況によれば、平均落札率は前年度に比べ0・4ポイント減の90・7%に下がり、不調発生率も1・9ポイント減って7・9%となっているのだ。にもかかわらず同PTは、豊洲新市場の建設と築地市場の解体、オリンピック・パラリンピック競技会場の建設という極めて特殊で大規模な工事だけをケーススタディーとして、現行の入札契約制度を根本から見直すべきと結論付けた。
 年明けに開かれている建設業団体の賀詞交換の場では、見直しの方向を不安視する声が次々に挙っている。当然だ。都の公共事業を支えている業者の多くは、厳しい経営環境の中で社会保険の加入や技術者の確保・育成などに取り組み、公共工事を施工することに誇りを持ちつつ、災害などに対応するための体制を何とか維持してきた。厳冬を乗り越えてきた建設業者に、改正品確法をはじめとしたいわゆる担い手3法を無視し、再び行政主導の「低価格競争」を押し付けるというのだろうか。
 小池知事は昨年12月に開かれた都議会本会議で入札契約制度について触れ、「改正品確法に基づく工事の品質確保と担い手の確保・育成、官公需法に定められた中小企業の振興、環境配慮など社会的要請などに対応する必要がある」と答弁。「都の公共調達が真に都民の利益にかなうのか、改めてワイズスペンディング(賢い支出)の観点から検証する」との意向を示した。
 不健全な競争を強いて、公共工事の担い手がさらに減り続ければ、知事が最重要課題に掲げる「セーフシティ」を実現するのは不可能だ。高品質な工事を適正な価格で調達する、それこそがワイズ・スペンディングのはずだ。法律をも無視した「都民感覚」という名の極論に沿った制度構築に歯止めを掛けなければならない。見直しの検討が始まる今こそ、建設業界は一丸となって声を挙げ「正論」を訴え続ける必要がある。

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