補正予算が成立 強靱化へ速やかな執行を
2023/12/4
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国の2023年度補正予算が11月29日の参議院本会議で可決・成立した。政府による「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の財政的な裏付けとして、一般会計に総額13兆1992億円を追加計上。公共事業関係の国費2兆2009億円のうち、国土強靱(きょうじん)化に1兆4165億円を配分して対策を推し進める。景気の下支えや国民の安全・安心の確保に向け、国と建設業界の強固な連携による速やかな執行が求められる。
公共事業関係に投じる国費は21年度や22年度の補正予算に比べ約2000億円の増。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(加速化対策、20〜24年度)に関連する事業費は1兆3022億円とし、物価上昇などを考慮した緊急対応枠の3000億円を含めることで、22年度の補正予算よりも500億円増やした。資機材価格の高騰や賃上げといった要素を酌みながら、風水害や大規模地震、インフラの老朽化などへの対策を加速化・深化させる。
執行に当たっては適正な積算と工期設定、施工時期の平準化、地域の実情に合わせた適切な規模による発注に努めることになっている。
総合経済対策や補正予算などを巡っては、今年も秋口から建設業団体が要望活動を展開。国土強靱化予算の十分な確保や、資機材価格の高騰に配慮した事業費の増額などを求めてきた。
その中で、日本建設業連合会は「建設業を取り巻く環境は厳しく、将来の担い手確保に万全を期するためにも、中長期的な計画の下、持続的に公共事業予算を確保することが必要」(宮本洋一会長)と主張。全国建設業協会も「健全で安定した経営を持続する必要があり、安定的・持続的な事業量の確保が不可欠」(奥村太加典会長)と説いて、それぞれが加速化対策に続く「実施中期計画」を早期に策定するよう訴えた。
政府が23年度補正予算で22年度を上回る額を措置したことは、建設業界の思いを真摯(しんし)に受け止めた証。人手不足に代表される課題を抱えながらも、建設業界は施工余力を発揮するなどして、その執行に協力する必要がある。
緊急対応枠も生かした適正な積算や工期設定などの前提を考えれば、利益を得るだけでなく、週休2日の取り組みや時間外労働の上限規制への対応を前進させられるだろう。安全対策に万全を期することは言うまでもない。
補正予算の補助金・交付金を得て公共事業や強靱化施策を実施する自治体に、建設業界の姿勢をアピールする機会にもなるはずだ。
政府は参議院本会議前日の11月28日に開いた経済財政諮問会議で、24年度予算の編成に関わる基本方針案を審議。23年度補正予算との一体的な予算措置を通じて国土強靱化を着実に推進するとともに、施策の実施状況を調べて「実施中期計画」の策定に向けた検討を進める構えだ。
23年度補正予算の速やかな執行は、今後の国土強靱化ひいては公共事業を方向付ける上での試金石。中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に切れ目のない国土強靱化を実現するかぎは建設業界が握っている。
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