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将来担う人材を求めて

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(2017/07/14)



 


将来担う人材を求めて

三重県建設業協会の取り組み


 



三重県建設業協会(山下晃会長)は、将来の建設業を担う優秀な人材の確保・育成を最重要課題とし、入職者の定着を図るための研修などを実施しており、2017年度は三つの集合研修と、研修受講支援などを行っている。また、高校生に対して建設業への理解を深め、イメージアップを図るための施策として協会の恒例事業となった「高校生建設現場見学会」の開催、会員企業による「高校生インターンシップ」などにより、建設業への入職、建設業のPRに努めている。集合研修では、受講者の対象を入社の前・後などの時期によって分けることで、各社で同じような過程にある社員が一堂に集まり、学ぼうというもので、1企業ではできない横のつながりを作る機会を設ける狙いもある。そこで、今回は、「担い手の育成・確保」に向けた集合研修の実施状況、また、高校生建設現場見学会のアンケートなどに焦点を当てた。



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集合研修





〈建設業就職内定者研修会〉―主催・三重県建設産業担い手確保・育成協議会



17年3月に高校などを卒業し、建設業に就職が内定している人を対象に、建設業への理解、社会人としての心構えなどを専門の講師を招いて研修し、就職前の不安の解消、就職後の定着を促進させようというもので16年度事業として実施した。3月24日に津市内で開かれた研修=写真「建設業就職内定者研修会」=には、就職内定を得た生徒22人が出席し、あいさつ、名刺交換、電話対応などの基本ルールを習った他、グループに分かれて、学生と社会人の違いについての意見を交換した。また、建設業の仕事の流れや、現場の安全、プロ意識を持つための資格の重要性などについて習った。



〈新規入職者研修〉―主催・同



4月に入職した社員など(事務・営業職を含む。入社3年以内、30歳以下も参加可)を対象に、建設業への就労意識の形成・向上を図り、建設業への定着を促進させる目的とした研修で、17年度から開始した。研修には富士教育訓練センターが協力した。5月29日から6月1日までの4日間で開催した第1部〈意識向上研修〉には12人が受講した。同研修では、社会人としての基本動作、建設業と労働安全衛生、自己表現などについて、実践を交えての研修を行い、4日目にドローンの操縦体験も行った。第2部として11月に、富士教育訓練センターで資格取得や実技研修が予定されている。



〈建設業参入支援事業・人材育成事業〉―主催・三重県建設業協会建設業参入支援コンソーシアム



建設業への若年技能労働者の入職・定着への取り組みを促進するため、厚生労働省の「地域創生人材育成事業」を活用した助成制度「建設業参入支援事業」を16年度から実施している。

三重県を通じて同協会が受託し、企業内研修、集合研修(企業外研修)に関わる費用を助成する。17年度の集合研修には、県内に主たる営業所がある同コンソーシアムに登録した企業23社の中で、採用された試用期間中の12人(18〜23歳)が参加し、「ビジネスマナー」「安全教育」「丸のこ特別研修・大工手工具」「2次元CAD」の4テーマで講習を受講している。

丸のこの研修=写真「丸のこ特別研修」=では、大工道具の初めての体験ということで、「難しかった」という感想が多い中で、「丁寧に教えてもらって理解できた」、「他の技術にも挑戦したい」などの声もあった。7月11日には「2次元CAD」研修で幅広い技術を実践した。



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三重建協 内定者研修






丸のこ講習




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研修受講支援「建設業人材定着事業」





建設業における在職者の処遇改善と生産性向上・業務の効率化、定着率の向上を図るため、各種研修会の受講を支援する三重県の「建設業人材定着事業」を三重県建設業協会が契約し、会員企業などに在職する者の研修会の受講費用を支援する。同事業は15〜16年度に実施し、人材育成をさらに促進するため継続している。

研修は、「車両系建設機械運転技能講習」など142項目の研修が対象。入学料、受講料、資料代などが助成対象になっている。6月末時点では233人への助成が決まっている。(7月6日で助成終了)



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高校生建設現場見学会アンケートより





2016年10〜11月に開催した「高校生建設現場見学会」=写真「高校生建設現場見学会」=には、三重県内の8高校と1工業高等専門学校の計9校から337人が延べ18現場を見学した。見学会終了後の感想を見ると、技術面では「ドローンを使うと短時間で測量ができてしまうことにびっくりした」、「GPSを使用したICT土工が印象に残った。作業の効率化、作業のし忘れも防ぐと聞き驚いた」など体験乗車などから得た感想が多く、また、建設業へのイメージでは、「男性しかいないイメージがあったが、女性の方も見えて、女性が働きやすいよう努力されている」などとある一方、「重労働のイメージがある」、「休みが取りにくいのでは」などの感想も見られた。

また、進路希望などの各設問に対するアンケートの回答を見ると、進路希望については半数以上で、建設業に対する関心があり、就職先として考えていることが分かった。就業環境では、給与、休日などへの関心が高かった。

主な設問と回答は次の通り。

▽高校を選んだ理由―@建設会社に就職するため(24.1%)A建築・土木に興味があった(31.7%)B理由はない(21.5%)C家業の建設業を継ぐため(2.9%)など

▽高校卒業後の進路で就職希望の職種―@建設会社(51.2%)A公務員(19.9%)B建設以外の会社(12.9%)Cその他(15.9%)

▽建設会社に就職する場合、会社の何が知りたいか―@仕事の内容(21.9%)A給与体系(14.4%)B休日(15.0%)C勤務時間(12.7%)D必要な資格(11.9%)―など






建協 現場見学 津工業




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建設業への入職状況





建設関係学科がある四日市工業高校など8校の就職先を見ると、16年度卒業の生徒は、197人が就職し、このうち76人が建設業を選択し、入職率は38.5%だった。13年度以降の状況を見ると、毎年190人前後が就職し、建設業への入職は13年度が30.7%、14年度が40.7%、15年度が34.7%と増減がありながらも上昇傾向にある。

これらの若年入職者が建設業に従事する意欲を生み出し、維持するためには、同じ目的に向かって共有できる仲間が必要だ。1企業だけではできない学習や体験を、地域の建設業や団体が受け入れる手法が人材育成を支援していくことになる。

同協会の労務担当役員は、「ICT土工などの施工技術が急激に革新され、建設業の以前のイメージであった“3K”が改善されている」と状況の変化を説明し、「若年者が地元に残って建設業に携わってくれることを望んでいる。当協会としても担い手確保に向けての取り組みを今後も進めていく」と話している。





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