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QBカットオフ工法

超高層ビルの解体 ゼネコン各社の技術を追う


2012/1/1建通新聞東京掲載



QBカットオフ工法 大林組



外観イメージ、最上部に自動降下式連層足場を設置



 大林組の「QBカットオフ工法」は、解体するビルの上部をユニット分割タイプの連層足場で囲い、躯体をブロックごとに切断した後、タワークレーンで建物の外部から地上に下ろす。シンプルな工法は立地条件や建物の形状など、現場ごとに異なる施工条件に対し汎用性が高いのが特徴だ。



シンプル工法で工期短縮、高い汎用性

2010年8月の初採用から、大井町駅前の新阪急大井ビル(仮称)新築工事U期解体工事、次いで皇居大手門にほど近い(仮称)日本生命大手町ビル新築の既存取り壊しと、既に3件のプロジェクトに採用された。

解体作業は、最上部の切断作業と併行して、下層で内装や設備配管の解体を行い、さらに下層ではドライアイスの粒を吹き付けアスベストを除去する「ハイカット工法」による作業―と、各工程をラップして全体工期を圧縮する。高さ60b以上の建物なら、従来工法と比較して15%以上の工期短縮が可能だ。

また、連層足場はユニット化し細かく分割できる。複雑な形状の建物ほどユニット化が威力を発揮するという。躯体の撤去が終了した部分から任意のユニットごとに足場を降下できるのも、工期短縮を図る上で強みとなる。降下の方法は自動式を想定していて「詳細は検討中」(技術担当)という。



一方、タワークレーンによる吊り下ろしの際、注意したいのは風などの影響だ。建設現場のクレーン作業は、吊り荷の回転を抑える装置をクレーンと吊り荷の間に取り付けて安全を確保している。超高層ビルの解体には、これまでより高性能の制御装置が必要となる。

そこで、都内で建設中の超高層建築物で使用した新型の吊り荷方向制御装置「スカイジャスター」を導入する。600bを超える建物での実戦経験から、性能は既に折り紙付きだ。








スカイジャスターが吊り荷の姿勢を安全に保つ



 「スカイジャスター」は、物体を高速で回転させると姿勢が安定するジャイロ効果≠フ原理で機能する。装置内部にセットしたフライホイルと呼ばれる大型の円盤を高速で回転・傾斜させると、フライホイルが垂直に戻ろうとする力が働き吊り荷を回転させる力が生まれる。スカイジャスターは吊り荷の回転を止め、姿勢を保持するのに加え、自由に回転させて荷の向きを変えることもできる。






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