伊藤守氏(いとう・まもる=毎日コムネット社長)
2019/2/18
戦略をデザイン「若者支援で社会貢献、全国展開へ」
首都圏で学生専用の高規格マンションや賄い付きの学生寮を開発する毎日コムネット(東京都千代田区)。2018年5月に東証JASDAQから東証第2部へ市場を変更し、半年後の18年11月、第1部銘柄に昇格した。これまで首都圏に限定していた事業エリアを全国に拡大する。
伊藤守社長に狙いを聞いた。
《保護者の安心を念頭に開発》
―高規格≠フ学生マンション・学生寮とはどのようなものか。
「当社のマンションは学生専用。進学で親元を離れた学生が初めて一人暮らしをする住まいでもあり、保護者の安心を念頭に開発している。最大の特徴は管理人常駐≠ニ賄い付き≠ニいう点。管理人は住み込みで24時間常駐。食堂は夜10時まで開いており、栄養バランスの良い食事を朝晩きちんと取ることができる。これが大変好評で、特に保護者に喜ばれている」
「ハード面は、居室の広さが16〜20平方b。乾燥機付の浴室はユニットではなくトイレが別。家具、家電を完備し、高速光インターネット、モニター付きインターホンを備える」
―なぜ全国展開に踏み切るのか。
「全国の主な不動産業者とのネットワークが確立できたことが大きい。地方では高規格な学生寮が不足している。初弾物件として『カレッジコート名古屋菊井』を開発し、その後、京都と広島に展開した。稼働状況は首都圏と同様に良好だ」
《全国で地元企業の力を借りて》
―今後進出するエリアは。
「まず、岡山、香川、愛媛。その後は九州を含め、有名国立大学の徒歩圏にその大学の学生寮を開発する。大学と連携したり、PFI事業に参画したり」
―事業スキームは。
「当社で土地を購入して寮・マンションを建てる。1棟の規模は延床面積500坪以上、居室数60戸程度。建設費は6億円程度を見込む。完成後に売却し、サブリース物件として管理する方向だ。今後、J―REITや不動産ファンドとの連携も模索する」
「管理は地元の提携先企業に委託する。土地の仕入れでも、地場のゼネコンや不動産会社の力を借りたい」
―土地を売却せずに活用したい場合は。
「土地オーナーに建てていただき借り上げるか、定期借地権を設定し当社で借り上げて開発するサブリースを提案する」
―一般のマンション事業との違いは何か。
「学生向けなので家賃設定は若干低め。入居者が2〜4年で入れ替わり、その都度しっかりメンテナンスを行う。こまめな手入れが資産価値を維持する」
「若い世代が住むことで地域が活性化すると聞く。土地オーナーが建物の上階に住む場合は、当社の事業提案がより選ばれる」
《将来を担う若者を支援》
―これまで自社管理物件での4月時点満室稼働≠ェ13年連続している。好調の理由は。
「来春退去する卒業生の数を正確に把握し、早くから入居募集を始める。合格が決まった新入生が早々に部屋を決めても、引っ越してくるまで家賃は不要。保護者は選びやすく決めやすい」
「新入寮生や留学生に向け、季節ごとイベントを開催するなどして一人暮らしを支援している。住まいの提供だけでなく、寮での友達づくりや人間形成に役立つことができればと願っている」
―全国展開の目標は。
「毎年600戸程度を新規に開発したい。企業の寮をリノベーションして活用することも可能。将来を担う若者を支援する事業で、社会に貢献する」(金子由利亜)
【略歴】伊藤守氏(いとう・まもる) 1951年神奈川県生まれ。立教大学社会学部観光学科卒業。1975年山崎製パン入社、76年リゾートイン妙高入社。79年に毎日ツーリストを設立し、83年に毎日ネットワーク、94年に毎日建物を設立。97年、3社を合併して社名を毎日コムネットに変更、代表取締役に就任。
建通新聞をご購読いただいていない方へ
建通新聞とはこんな新聞です!!
「信頼と実績」建通新聞の購読 建設産業界の専門紙。完全な地域密着の報道を心がけ、読者に最も必要な情報を的確に伝える本紙。各支局の記者たちが足で探し、目で確かめ、報道する。読者が今、どんな情報を求めているのか、建設産業界の新聞として何を伝えていかなければならないのか、その地域に即した内容を伝えている。
特集コーナー
このコーナーでは、入札情報関連の話題や建設業界注目の情報、工事ニュースなどを取り上げます。