社会に必要とされる会社に
2019/10/9
基礎地盤コンサルタンツ代表取締役社長 柳浦良行 (やぎうら よしゆき)氏
地盤工学のパイオニアであり、その高い技術力に定評のある基礎地盤コンサルタンツの代表取締役社長に、柳浦良行氏が10月1日付で就いた。インフラ整備と生産活動の基盤整備、そして防災・減災に不可欠な地盤情報を、氏はどのようにビジネスに生かし、企業価値を高めていこうとしているのか―。東京都江東区の本社を訪ね、今の思いと考えを聞いた。
―就任に当たって、社員には何を伝えたのか。
「社員に第一声で伝えたことは『世の中にとって必要な会社になろうよ』ということ。それは、社会に必要とされる会社しか生き残っていけないからだ。社会になくてはならない存在の会社になる、そのためには規模(シェア)が要るし、他者が真似のできない技術を持つ必要がある、と私は考えている」
―自認する基礎地盤コンサルタンツの『強み』は?
「土質、岩石、化学分析などの試験技術と地盤の解析技術…間違いなくわが社が老舗だ。創業からこの間、営々と調査、解析ができる技術者を育て続けてきた。老舗であるわが社の強みを挙げるとすれば、調査、解析のほぼ全てを自社でできる技術力、その技術力をもって集積し続けてきた地盤データだ。サンプリング技術にしても、わが社が創業した頃に開発し、今も開発し続けている中核的な技術だと言える」
―その調査、解析から生み出した「地盤情報」をどのように生かしていくのか。
「調査、解析という2つの基幹技術を礎としたもう一つの技術領域が地盤情報の活用ということになる。柱状図をこの業界で最初に作ったのはわが社だし、今なお業界の中で約70%のシェアを有している。これまでの活用の在り方を、いかに時代に合わせ、顧客に合わせたものとしていくのか、その進化が問われていると認識している」
―地盤情報も3次元化して活用する時代だ。
「国土交通省は“一気通貫”という言葉を使っているが、地質地盤を調査する側で進めている3次元化と上物(構造物)を造っている側との整合が取れていない。ここをどう組み合わせていくのかという大きな課題がある。幸い、わが社の親会社が橋梁をはじめとした構造物を得意とする長大なので、一緒になって試行錯誤しているところだ」
―民間市場に対しては、どのようにして自社の技術や地盤情報の遡及を図っていくのか。
「経済産業省が油槽所の耐震化への取り組みに対して2019年度から助成を始めている。政府が進める国土強靭化の一環なのだが、地盤改良を行うとなるとかなりコストがかかる。地盤データを持つわが社は石油会社に費用対効果を考えた対策を提案することができる。これまでわが社が集積してきた地盤情報を活用するビジネスの一つとして取り組んでいこうと考えている」
「もう一つ着目しているのが洋上風力発電だ。既存のデータが活用できる油槽所の耐震化とは異なり、海底に存在する地質リスクを評価するためのデータがない。この事業は最初から地盤データを構築する作業が必要になる。地盤はもとより、海底の地形・地質のリスク評価についてもビジネスの機会と捉え、ニーズに応えるシーズを市場に提供していきたい」
脇坂章博
<略歴>柳浦良行 (やぎうら よしゆき)―1976年、島根県技術吏員採用。86年、長岡技術科学大学大学院工学研究科修士課程修了。同年、基礎地盤コンサルタンツ入社。08年関西支社取締役支社長。11年(平成23年)事業本部取締役本部長。14年、事業本部・技術本部取締役本部長、現在に至る。島根県松江市出身。
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