森戸室長に聞く インフラDX総合推進室
2021/5/18
4月に国土交通省の本省、地方整備局、研究機関が一体となった「インフラDX総合推進室」が発足した。これに合わせて東京・霞が関の庁舎内に「インフラDXルーム」が開設されるなど、インフラ分野のDX推進が本格的に動き始めた。インフラDX総合推進室長を兼務する森戸義貴技術調査課長に推進室設置の狙い、役割を聞いた。
■インフラDX総合推進室設置の狙いは。
「もともと建設分野でも『3次元の取り組みが必要だ』と認識され始めたところだった。そこに、新型コロナウイルス感染症が流行し、さらに総理が交代する中、デジタル化が前面に押し出された。世の中が大きく変化し、仕事のやり方を非接触型、リモート型に転換するなど、プロセス変革が建設現場においても求められるようになった。そこで東京(本省)、整備局、つくば(研究機関)が一体となった推進体制を構築した。発足して1カ月半で、具体的な動きはこれからだが、建設分野のデジタル化に向けた研究開発などを具現化していくことになる」
■本省、整備局、研究機関が担う役割とは。
「全体の大きな流れは2023年の原則適用を控えたBIM/CIM。そのためのルール、基準づくり、3次元データの利活用が必要になってくる。そこでの司令塔はやはり本省だろう。一方、整備局は実践の場であり、職員それぞれが研修、トレーニングを通じて身につけていく。“習うより慣れよ”で実感してもらうことが大切だ。さらに現場の工事に導入し検証していく。研究機関の国土技術政策総合研究所は新しい技術などの研究、開発を中心に、本省が司令塔となって進めていく基準づくり、整備局で集めたデータの分析などもお願いしたい。それぞれの強みを生かしながら連携していくことが大切だ」
■国交省でインフラDXを推進する意義は。
「世の中の流れでもあるが、デジタルでデータを残していくことが大事だ。書面からの脱却であり、2次元(紙)から3次元(デジタル)への変革。それによる業務の効率化を目指していくことだろう。われわれの仕事もすでに変わりつつある。例えば一部の会議はリモートでやっているし、実はもう始まっていることでもある」
■建設業者、自治体に期待すること。今後の展望はどうか。
「デジタル化は仕事の手間を省略することになり、結果、働き方改革にもつながる。大手と違い中小・地場建設業者ではDXやICTに対する抵抗感が強いと思うが、デジタル化に向けた取り組みに対する支援は惜しまないつもりだ。ぜひついてきてほしい。自治体には発注者としてデジタル化の流れを理解しておくことをお願いしたい。10年後、建設生産システムは、情報通信技術をはじめ、さまざまな産業、技術に支えられる形で成り立っていることだろう。であれば、他産業の力添えを期待しつつウィンウィンの関係を構築していくことが、これからの建設産業の発展を考える上での重要なポイントになる」
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