【三重県】紀勢自動車道が全線開通|建通新聞社

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紀勢自動車道全線開通

 

待望の熊野道路は2014年度に事業化

    2013年9月29日に続き、14年3月30日午後4時、「新たな命の道」がさらにまた一歩前進することになった。紀勢自動車道紀伊長島インターチェンジ(IC)から海山IC間の延長15・1`が開通する。

海山インターチェンジ
(写真提供:国土交通省紀勢国道事務所)

 これにより、勢和多気ジャンクション(JCT)から尾鷲北ICに至る延長55・3`の紀勢自動車道は全線がつながることになり、9月に開通した熊野尾鷲道路と合わせ、東紀州地域から関西圏や中京圏へのアクセスが飛躍的に向上する。

「十年一昔」とはよくいわれるが、三重県南部における高速道路はここ10年で劇的に前進した。東紀州地域における高速道路の事業経緯と今後の展望を追った。


 

紀伊半島に高速道路を!

  三重県南部の国道42号を走行すると、道端にはよく見かける大きな看板があった。「紀伊半島に高速道路を!」といった意味合いの看板だ。

上から見た赤羽川橋
(写真提供:国土交通省紀勢国道事務所)

紀伊長島インターチェンジ近くの赤羽川橋
(写真提供:国土交通省紀勢国道事務所)

   県南部の東紀州地域では、鉄道は非電化でしかも単線。駅は無人駅が多く、特急は行き違い可能駅で反対方向から来る普通列車を待つことも。鉄道網が発達した都市圏では行き違いとはいえ特急が普通列車を待つことなど考えられない。
こうした鉄道事情からは新幹線の誘致は夢のまた夢。東紀州地域においては「せめて高速道路だけでも」が長い間の願いだった。

自動車でも列車でも名古屋や大阪だけでなく、松阪や津、四日市など同じ県内の都市に行くにも相当な時間を必要とし、東紀州地域の国道42号には佐田坂や小阪峠(ともに熊野市)、矢ノ川峠(尾鷲市)、荷坂峠(紀北町)など難所が次々と待ち構えていた。
ところが一転、「陸の孤島」と呼ばれ、過疎化が進む東紀州地域にも明かりが見えた。紀勢自動車道と熊野尾鷲道路の事業化だ。


 


 


 

紀伊長島IC〜海山IC開通で紀勢自動車道が全線開通へ
〜紀伊長島ICから海山IC間15.1キロメートルが供用開始〜

  東紀州の悲願だった高速道路、紀勢自動車道と熊野尾鷲道路は驚くべき進捗を見せた。

馬瀬第2高架橋
(写真提供:国土交通省紀勢国道事務所)

上空から見た海山インターチェンジ
(写真提供:国土交通省紀勢国道事務所)

    紀勢自動車道は、伊勢自動車道との勢和多気JCTから尾鷲北ICまでの延長55・3`で、勢和多気JCTから紀伊長島IC間の34・1`をNEXCO中日本が事業を行い、紀伊長島ICから尾鷲北IC間の21・2`を国土交通省が整備を進めてきた。

06年3月の勢和多気JCTから大宮大台IC間の13・4`の開通を皮切りに、09年2月には大宮大台ICから紀勢大内山IC間の10・4`、12年3月に海山ICから尾鷲北IC間の6・1`、13年3月に紀勢大内山ICから紀伊長島IC間の10・3`が次々に開通した。
そして14年3月30日、紀伊長島ICから海山IC間の15・1`が開通することで、紀勢自動車道は全線の開通を迎えることになった。
13年10月に発生した土砂崩落による国道42号鷲下峠通行止めでは、海山ICから尾鷲北IC間が代替道路として災害に強い道路機能を十分に発揮した。


 

隣町を身近にした熊野尾鷲道路

  一方、熊野尾鷲道路は尾鷲南ICから熊野大泊ICまでの延長18・6`が13年9月に全線で開通し東紀州自体を驚かせた。

下から見た赤羽川橋
(写真提供:国土交通省紀勢国道事務所)

  「尾鷲と熊野はこんなに近かったのか」と。尾鷲と熊野のアクセスが向上し、地域間交流も容易になった。紀北町商工会と御浜町商工会は14年4月1日に合併し、みえ熊野古道商工会として生まれ変わる。尾鷲市と熊野市を飛び越えての合併で、近くて遠かった隣町同士が高速道路によって身近になった証しだ。

互いの強みの地域物産を生かし補完し合い地域の活性化、地場産業の発展を目指す。最近10年足らずで紀勢自動車道と熊野尾鷲道路が全線で開通し、防災、観光、救急医療、産業振興などに期待が持てるだけでなく、都市圏が近くなり東紀州の生活圏は大きく変わろうとしている。
しかし、東紀州全体の悲願達成にはまだ至っていない。尾鷲北ICから尾鷲南ICまでの熊野尾鷲道路U期と熊野市から新宮市間が残っているからだ。

新道瀬TN尾鷲側坑口の緊急避難施設
(写真提供:国土交通省紀勢国道事務所)

前柱地区の緊急避難施設
(写真提供:国土交通省紀勢国道事務所)

 

熊野道路が14年度事業化に

  幸いにも、熊野尾鷲道路U期は道路やトンネル、橋梁の設計のほか、環境調査など工事発注に向けた準備が着々と進められている。

東紀州地域の高速道路整備状況図

  熊野市から新宮市間では、13年度に事業化された新宮紀宝道路に引き続き、熊野道路が14年度に事業化される。同道路は熊野大泊ICから熊野IC(熊野市久生屋町)までの延長6・7`の区間。事業費をはじめ、トンネル、橋梁などの全体の事業概要も明らかとなっている。

14年は熊野古道世界遺産登録10周年に当たる年だ。20周年までに熊野市と新宮市が高速道路でつながることは現実的には厳しいが、次回の式年遷宮までには開通していることを願ってやまない。

 

 

紀勢自動車道開通に当たり
〜三重県知事 鈴木英敬〜

  このたび、紀勢自動車道が全線開通となりましたことは、ひとえに地元の皆様をはじめ、国土交通省等関係者の皆様方のご尽力の賜物であり、心からお礼を申し上げます。

三重県知事 鈴木英敬

  紀勢自動車道が、先に開通しました熊野尾鷲道路と一体となって、県南部地域の恵まれた自然環境、優れた歴史文化遺産、豊かな農林水産資源を活かした地域相互間の交流・連携を促進するとともに、「新たな命の道」として地域の安全・安心を支える役割を果たすことに期待しています。
平成26年7月には、熊野古道世界遺産登録十周年を迎えます。観光客などの交通アクセスの利便性は、紀勢自動車道と熊野尾鷲道路の開通により格段に向上します。このチャンスを捉え、県でも伊勢と熊野の二大聖地を結ぶ熊野古道伊勢路を「幸結びの路」とし、多彩な魅力を発信するキャンペーンを地元市町と切れ目なく展開し、その情報発信をすることで、来訪者の増加を図っていきます。
今後とも、紀伊半島に残るミッシングリンク解消に向け、関係者の皆様には、尚一層のご支援、ご協力をお願いいたします。

 

生活の利便性が飛躍的に向上
〜紀北町長 尾上壽一〜

  長いあいだの宿願でありました、紀勢自動車道海山IC〜紀伊長島IC間が開通しましたことはこの地域にとって大変な喜びでございます。

紀北町長 尾上壽一

  これもひとえに国土交通省、三重県をはじめ関係機関の皆様や地元の皆様方のご尽力とご協力の賜物であり、深く感謝申し上げます。
この度の開通によりまして、地域間の連携や輸送の効率化が図られることは言うに及ばず、地域住民の安全安心を確保する命の道の完成であり、東紀州地域の生活の利便性を飛躍的に向上させるものであります。
さらに、この道路は国道42号の機能を代替するだけのものではなく、南海トラフ地震発生時には津波避難場所ともなり、文字通り「命の道」となりました。また今回開通した道路上に整備が進む休憩施設につきましても、紀北町では救援の受入れ等を可能とし、いち早く復興活動の取り組みができるよう、災害時のバックアップオフィスを併設して整備していく計画があります。

今後、地域産業の振興や地域間交流はもちろん、防災機能の強化に取り組んでまいりますので、関係者の皆様にはより一層のご協力をお願い申し上げます。

 

盛り上がる尾鷲にぜひお越しを
〜尾鷲市長 岩田昭人〜

 紀勢自動車道の紀伊長島ICから海山ICの開通を心よりお祝い申し上げます。

尾鷲市長 岩田昭人

  これもひとえに多年にわたり事業を推進してこられた関係各位のご協力とご尽力の賜物であり、深く感謝申し上げる次第でございます。

この度の開通によって尾鷲北ICまで繋がることになり、「命の道」として防災・医療・観光面で大変期待を寄せているところであります。
高速道路のみで、災害時の物資の輸送が可能となり、救急医療では患者の搬送の時間が短縮できます。また、津からは1時間、名古屋からは約2時間の距離となり、日帰りで熊野古道や海洋深層水のお風呂を楽しんだり、気軽に尾鷲のおいしい魚を食べに来ていただくことも可能になりました。
今年は、6月に市制施行60周年を迎え、さらに、7月には熊野古道世界遺産登録10周年を迎えます。尾鷲市は盛り上がっておりますので、ぜひお越しいただきたいと思います。

最後に、関係各位の更なるご協力のもと、近畿自動車道紀勢線全線の一日も早い開通を切に願うものでございます。

 

紀勢自動車道(海山ICから紀伊長島IC)開通に寄せて
〜熊野市長 河上敢二〜

このたび、待望しておりました紀勢自動車道海山ICから紀伊長島IC間が開通しましたことを心からお慶び申し上げます。

熊野市長 河上敢二

  また、これまでご尽力いただきました国土交通省、三重県をはじめとする関係者の皆様や地元の皆様のご理解、ご努力に対し深く敬意と感謝を申し上げます。
昨年9月29日に熊野尾鷲道路が開通しさらに、この紀勢自動車道の開通により東紀州地域へのアクセスが飛躍的に向上し、新たな地域づくり、産業経済・文化の発展に大きなチャンスが到来するものと期待を寄せているところであります。
熊野市では、「熊野古道世界遺産登録10周年キャンペーン」としまして、高速道路を活用し、市を挙げて32事業の歓迎イベント等を実施し観光や産業の振興につなげてまいります。

高速道路は、平常時においては病気やケガの際に高度医療を受けるための搬送に使われるほか、災害時には緊急車両の通行や医薬品、食料品、衣料品などの運搬路として被災地の支援、復旧に重要な役割を果たすなど、市民が安全・安心に暮らせる「命の道」であり、近い将来に発生が危惧されている南海トラフ巨大地震発生時のセーフティネットとして、益々その重要性が高まっております。

ミッシングリンクとなっている熊野尾鷲道路U期の早期工事着手と近畿自動車道紀勢線(熊野市〜新宮市間)の早期事業化を祈念申し上げ、お祝いの挨拶とさせていただきます。
 


紀勢自動車 海山ICから紀伊長島IC概要
■路線名 紀勢自動車(事業名:近畿自動車道紀伊線)
■開通区間 紀北町海山区船津〜紀北町紀伊長島区東長島
■連結位置 国道42号(海山IC)、紀伊長島インター線(紀伊長島IC)
■開通延長 15.1キロメートル
■開通日時 2014年3月30日(日)午後4時
■車線数 暫定2車線(片側1車線)

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