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(2016/10/26)

1DAY PAVE(ワンデイペイヴ) <早期交通開放型舗装>

〜コンクリート舗装の未来の扉を開く〜

ミキサー車からバックホーにバトン

 

 コンクリート舗装とアスファルト舗装。舗装の主役といえば、アスファルト舗装である。アスファルト舗装は、排水性、静音性に優れているという特長を有する反面、熱を持ちやすく、わだち掘れが多い。つまり、耐久性、寿命という点ではコンクリート舗装の後塵(こうじん)を拝する。それでも、大型車両が頻繁に行き交い、強度が求められる工場の構内道路や駐車場においても、交通量の多い駅前のロータリーや交差点などにおいてもアスファルト舗装が重用されてきている。コンクリート舗装が圧倒的な耐久性を持ってしても、脇役に甘んじなければならなかった最大の理由は、その養生時間の長さにあった。
ところが今、舗装市場に新たなムーブメントが広がりつつある。早期交通開放型コンクリート舗装「1DAY PAVE」の登場である。名前の通り、24時間以内に交通開放を可能にし、これまでのコンクリート舗装の常識を覆した。
一般社団法人セメント協会が開発、2013年に国土交通省のNETISに登録されて以来、民間の工場は言うに及ばず、国道や都道府県道などでも採用実績を急速に伸ばしている。静岡県内でも、伊豆市が修善寺駅の駅前ロータリーに導入した他、昨年度には政令市静岡市が急勾配の生活幹線道路への適用に踏み切った。
建通新聞では、コンクリート舗装の新たな可能性を切り開いた「1DAY PAVE」の導入現場にスポットを当て、その実力と可能性を検証した。

 

静岡市が市道改修に採用

 

 静岡市は、葵区の市道春日1、3丁目線の改修に「1DAY PAVE」を導入した。同線は、かつて民間企業が開発した春日丘団地内の道路で、1987年に市へ移管された。自治会からの要望を受けての改修となった。
市では、静岡県中部生コンクリート協同組合の協力のもとに関連情報を収集し、地元説明会において「1DAY PAVE」採用に理解を得た上で、2015年8月から工事を行った。
狭隘(きょうあい)道路で、ミキサー車の乗り入れが難しく、バックホーでバトンしながら流し込まねばならなかった。養生時間の関係で、高い施工能力が要求された。幅員5メートル(舗装幅員4メートル)、延長124メートル、舗装面積は約800平方メートル。版厚は15センチ。
県内2例目ながら、縦断勾配16〜20%という急勾配での施工は県内初。中部生コンクリート協同組合と、コンクリートを納入した静岡第一生コンクリート(静岡市駿河区)では、事前に急勾配の施工現場を見学するために兵庫県宝塚市を訪れている。
後日、施工を担当した静和工業(静岡市駿河区)に、自治会から感謝状が贈られた。

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望月 元一

 

 静岡市初の「1DAY PAVE」打設という貴重な現場に携わることができたことを、一技術者としても大変喜ばしく思っております。
「1DAY PAVE」は低水セメント比であり、さらに現場は急勾配で、かつ湿度、風速などの自然環境に起因するひび割れの発生が予測されました。予測されたプラスチックひび割れの原因調査を行い、抑制に努めました。
そんな現場で、地元自治会道路委員会様より感謝状を賜りまして、本当に感無量です。
「1DAY PAVE」のさらなる普及のために、私共も施工者の立場、技術者の立場から一層の努力をして参りたいと存じます。

 


山本 祐司

 

 市道春日1、3丁目1号線は、整備後40年以上が経過し、老朽化が進む中、縦断勾配が16%〜20%と急なため、緊急車両の通行にも支障をきたしていました。
道路改良にあたっては、生活道路であることから、即日の交通開放が求められており、当初、アスファルト舗装で検討しましたが、急勾配かつ幅員が狭小であるため、フィニッシャー等の機械施工が困難な状況でした。
そうした中、既設がコンクリート舗装であり、埋設管による掘り返し跡以外の損傷が少ないことや今後の埋設管計画が無いこと、また、ライフサイクルコスト等を考慮した結果、養生期間が1日である「1DAY PAVE」に着目しました。
施工条件が困難な状況において、受注者による施工方法の工夫や地元自治会の協力により、2015年12月に無事完成し、地元からも大変喜ばれています。
今後は、交通量の多い路線のバス停などで、現場条件やライフサイクルを考慮の上、採用を検討していきたいと考えております。また、このように困難な条件下での施工方法や長寿命化の対策となり得る新製品の開発についても、大変期待しております。

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県内第1号、修善寺駅前ロータリーでの採用

 

バスロータリーにはコンクリート舗装が最適

 

 伊豆市は、2015年2月から、修善寺駅のロータリーで、バス、タクシーのプラットホーム部分540平方メートルに120立方メートルを打設した。通行頻度から頑丈なコンクリート舗装にも着眼したが、駅を供用したままで整備することから、公共交通の支障になることが懸念される中、アスファルトでの舗装を予定していた。しかし、受注後に土屋建設(伊豆の国市)の提案を受けて変更、「1DAY PAVE」県内公共初の打設となった。生コン納入は、古藤田生コン(伊豆市)。

 

LCCなど重視で採用、民間で県内最大級

 

手早い作業が要求される

 

 2016年9月、静岡市駿河区豊田の平金産業の駐車場改修工事に、「1DAY PAVE」が採用された。約200平方メートルの施工規模は、民間で県内最大級。ライフサイクルコストの削減、維持管理の省力化を重視して採用を決定、コンクリートポンプ車で配管最長約50メートルを圧送し、人力で敷設・締め固め、ならし作業を行った。材齢1日での曲げ強度は、4.77N/mm2。施工を担当したアースシフト(静岡市葵区)と、生コンを納入したホウコク生コンクリート(静岡市葵区)は、事前に試験施工を実施、綿密な打ち合わせを行っている。

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広がるコンクリート舗装と1DAY PAVE

「1DAY PAVE」って何?

 

 「1DAY PAVE」(ワンデイペイヴ)の定義は、特殊な結合材や混和材料等を使用せず、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)等に適合する汎用(はんよう)的な材料を用いたコンクリートを使用し、コンクリート打設後の養生期間が1日での交通開放可能なコンクリート舗装―とされている。
主に早強ポルトランドセメントを使用し(必ずしも規定されていない)、在齢1日の曲げ強度が3.5N/mm2以上となる配合を標準として、水セメント比を従来の舗装コンクリートの35%程度(季節によって流動的)にすることで、早期に交通開放可能な初期強度を確保することに成功した。アスファルト舗装と価格を比較すると、養生期間の短縮による施工コスト減やアスファルト舗装の価格上昇で、両者の差は縮まっている。

 

採用実績拡大、国交省も主導

 

 「1DAY PAVE」が実質的に登場した2014年から、民間工事では工場や研究所などを中心に全国で100件を優に超える採用実績を持ち、関越自動車道上里サービスエリアなどでも使用されるなど、すでに普及促進に努めるセメント協会や全国生コンクリート工業組合連合会でも把握困難な広がりを見せている。
公共事業においても、国土交通省関連では、中国地方整備局岡山国道事務所が国道53号津山構造物補修工事に採用した他、北海道開発局札幌開発建設部滝川道路事務所でも国道231号浜益トンネル工事のカルバート内本線に採用(586平方メートル)している。
県や市町村でも、西日本を中心に道路舗装などで着実に採用実績を重ね、最近は神奈川県や群馬県など関東地方にも拡大している。こうした背景には、国土交通省の存在もある。同省は、舗装の長寿命化、維持管理費用の縮減を目的に、コンクリート舗装の活用を進めており、設計業務等共通仕様書の中では、道路舗装の設計段階にコンクリート舗装とアスファルト舗装を比較検討することを明記している。
国土交通省の最新動向としては、9月13日の社会資本整備審議会道路技術小委員会の中で、舗装のメンテナンスサイクル構築へ向け、長寿命化とライフサイクルコスト削減を目指して舗装点検要領案を提示、地方自治体の管理道路も含めて5年に1度の定期点検を求めた他、大型車の交通量が多い国道や高規格幹線道でのコンクリート舗装の積極的な採用方針を示した。
また、9月28日のコンクリート生産性向上検討協議会では、スランプ規定を見直す考えが示され、2016年度末にも新規定を土木工事共通仕様書や土木工事施工管理基準に反映させる方向が強まった。設計段階で流動性の高いコンクリートを現場に導入しやすくするためだ。コンクリート舗装に追い風が吹いているのだ。

広がるコンクリート舗装(国道20号・東京都内)

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たゆまぬ研究と大きな可能性

 

 「1DAY PAVE」とは、前述の通り、規格化され完成された一つの商品ではない。定義はあっても、求められる施工の条件や現場の条件によって、配合設計などはそれぞれ異なってくる。
このため、静岡県生コンクリート工業組合加盟の各工場でも、試験練り、配合設計など日夜懸命な研究が続けられている。また、施工会社も、養生時間が早く手早い作業が求められるため、試験施工や予備訓練を行うなどして本番に臨んでいる。
先立って、静岡市葵区内のある生コンクリート工場では、自社構内で鉄筋組みの工程を省略するため、「1DAY PAVE」にポリオレフィン系補強繊維材を投入する試験施工を行った。養生時間だけでなく、施工の短縮化も見据えた新たな取り組みである。
「1DAY PAVE」は、規格化商品でなく、完成形でもなく、多くの関係者がさらなる開発に情熱を注いでいる途上の技術であり、だからこそ、現在の実力以上に有する可能性は計り知れない。

 


野村 玲三

 静岡県の生コンクリート工業組合が昭和48年8月に設立され、すでに43年を経過いたしました。オイルショックの時代にスタートし、途中バブルの時代を体験し、その後建設業界にとって大変厳しい逆風の時代が続いております。その間、一時的に第2東名高速道路建設という特需もありましたが、ここ数年は製造数量の減少傾向に歯止めがかかっておりません。
数年前より上部組織であります全国生コンクリート工業組合連合会の指導のもと、品質管理監査制度、適正工場数を目指す工場集約化の推進を図ると共に、盟友でありますセメント協会の協力を得て需要拡大を目指した高付加価値コンクリートの開発に取り組んでいます。コンクリート開発の中に、コンクリート舗装の推進があります。時代の要請であるライフサイクルコストの縮減にマッチしており、注目を集めつつあります。なおかつ養生期間の短縮を実現した早期交通開放型コンクリート舗装「1DAY PAVE」が開発され、さらに注目度が増してきております。
「1DAY PAVE」は、静岡県内でもご紹介の通り、すでに静岡市、伊豆市で採用され、民間工事でも数件の実績が出てきており、その用途に合った使用にご評価をいただいております。従来の普通コンクリート舗装、連続鉄筋コンクリート舗装、転圧コンクリート舗装(通称RCCP)、ポーラスコンクリート舗装(透水性機能)に「1DAY PAVE」が加わり、今後業界としてはその用途に合致した、適材としての採用を期待するところであります。私共静岡県生コンクリート工業組合といたしましては、メーカーとしてユーザーの期待に応えるべく日々の研鑚を重ねて参る所存であります。

 

1DAY PAVEの採用実績(公共事業)

 

 ◆公共事業での他府県の採用実績(セメント協会把握実績および建通新聞社独自調査分・2016年8月末現在〈〉内は建設地)
厚東川水路橋改築工事用道路〈山口〉/海岸維持修繕〈兵庫〉/東部広域農道整備〈奈良〉/東部広域農道整備〈奈良〉/津山構造物補修工事・国道53号〈岡山〉/下関市・阿弥陀寺町11号線観光施設周辺道路整備〈山口〉/主要県道下関港線(迫高架橋)橋梁補修(防災・安全交付金 長寿命)地方道工事第2工区〈山口〉/南あわじ市八木榎列15号管渠布設工事・下水道管埋戻し舗装〈兵庫〉/苅田町道松原20号線道路維持補修〈福岡〉/周南市・市道西ノ端・東新地線舗装改良〈山口〉/宇部市地方卸売市場施設整備〈山口〉/相模原市・市道緊急維持修繕〈神奈川〉/丹波綾部道路瑞穂トンネル工事大簾地区舗装〈京都〉/補助公共 社会資本総合整備(防災・安全)融雪設備〈群馬〉/公共下水道工事〈第51工区〉雲雀丘幹線排水施設〈兵庫〉/相模原市・歩道切り下げ部〈神奈川〉/国道120号バイパス新設〈群馬〉/守口市バス停工事〈大阪府〉/国道231号トンネル工事〈北海道〉/神石郡神石高原町相度地内主要地方道三原東城線〈広島〉/苅田町道臨空産業団地10号線舗装工事〈福岡〉/公共工第8号下水管管渠敷設工事・本巣市〈岐阜〉/横須賀市佐島漁港(本港)ほか漁港道路舗装工事〈神奈川〉/横浜市道アスファルト舗装補修工事〈神奈川〉

 


重倉 祐光

 静岡県では、静岡県生コンクリート工業組合によって全国トップクラスの品質監査体制が敷かれており、他県の規範ともなっている。
静岡県生コンクリート工業組合の品質管理に対する取り組みは極めて早く、かつ自発的であった。
昭和54年3月の旧通産省「生コンクリート製造業の中小企業近代化計画」の告示に応え、直ちに傘下の工場の品質検査による向上を図り、工場の立ち入り検査項目の整備に取り組んだ。
現在全国会議で実施されている立ち入り検査要領は、この頃出来上がっていたのである。
当初は、学界から顧問を迎えて、業界で監査を実施したが、平成元年には産学官による監査委員会に改組、平成9年度以降は全国品質管理監査会議の作成したチェックリストを使用することにしている。
監査開始は実に37年前のことである。当時の出荷コンクリートの中には13N/mm2のものもあった。現在では、18Nがわずかに残存、24N(以下詳細単位省略)が約半数を占め、40N程度のものも出荷されるようになった。
製造設備も著しく改善され、ミキサーも傾動・強制パンなどは影を潜め、ほとんどが強制2軸に代わり、容量も大型化への傾向にあるように見える。骨材置き場もコルゲートサイロの普及が著しい。
毎年の監査結果も全国平均に比べて極めて高いが、この結果は各工場の日ごろの向上心がもたらしているものである。工組は毎年合格証の授与式を厳粛に行い、出席者は100名に上る。この熱心さが静岡のコンクリートの品質を支えているのであろうと思う。

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