災害の防止、都市景観の向上などを目的に行われる電線類の地中化事業。国内の幹線道路の無電柱化率は15%(2012年度末現在・国土交通省調べ)にとどまっており、ヨーロッパやアジアの主要都市と比べて低い状況だ。大阪府では25年万博(国際博覧会)の誘致を目指しており、防災や景観の観点から幹線道路を中心とする無電柱化の推進が急務となっている。府内の整備状況や今後の見通しを伝える。
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(2016/11/10)
無電柱化 防災・景観面からも推進が急務
〜大阪府内の整備状況と見通しをみる〜
安全で快適な通行空間の確保を目指し、国土交通省大阪国道事務所が取り組む無電柱化事業。道路上の電線(電気や通信)をまとめて地下に埋める電線共同溝(C・C・BOX)工事が段階的に進められている。
現計画では9区間21.3`を整備する。本年度は国道171号八丁畷の詳細設計、国道26号大和川北の工事に新規着手する他、事業中区間では今後、国道176号の庄内駅前などの電線共同溝工事などを発注する計画だ。
電線共同溝9区間の計画延長は、▽1号城東(大阪市城東区)=5.4`
▽同都島(大阪市都島区)=3.5`
▽25号八尾志紀(八尾市)=1.1`
▽26号大和川北(大阪市住之江区)=0.3`
▽163号門真速見(門真市)=2.4`
▽171号今宮(箕面市)=1.7`
▽同八丁畷(高槻市)=3.9`
▽同稲牧落(箕面市)1.2`
▽国道176号庄内三国(豊中市)=1.8`
―の内訳。
一方、同事務所では、電線共同溝が完成したにもかかわらず、電柱の撤去が進まない現状を踏まえ、「さよなら電柱プロジェクト」に力を入れる。不要になった電柱の早期撤去を目指し、国道26号の一部区間などで電線管理者との調整を進めている。
大阪府では、「電線類地中化マスタープラン」と「無電柱化に係るガイドライン」に基づき、整備を進めている。2015年度末までに延長約74`の整備を完了した。
現在、整備を進めているのは▽府道大阪港八尾線▽府道堺阪南線▽府道大阪枚岡奈良線▽国道479号―の4路線。計約5.8`の整備を見込む。
マスタープランでは00〜20年度の20年間で延長約80`の整備を目標としている。ただ、社会情勢の変化や予算状況によっては、今後プランを改訂する可能性もある。。
大阪市では、長居公園や大阪城公園周辺など、災害時の緊急交通路となる幹線道路を中心に電線地中化が進む。また、最近ではインバウンド需要の高まりから、景観や観光振興にも重点を置き、市街地でも整備を行っている。
同市の無電柱化は、2014年度末までに市管理道路約228`が整備済み。また、無電柱化ガイドラインに基づく整備計画延長(合意路線)は約59`あり、うち約32`分が整備済み、または整備中だ。現在、淀屋橋交差点付近の伏見町通(芝川ビル周辺)、今橋通(三井住友銀行周辺)の他、市道築港深江線などで整備を進めている。
残り約27`分については事業未着手で、今後整備計画を検討していく。
堺市は、無電柱化対策に係る独自の方針などは策定していないが、都市計画道路の新設・拡幅および土地区画整理事業・市街地再開発事業などに合わせて、必要に応じて無電柱化対策を行っている。
現状では、都市再生緊急整備地域に指定されている堺鳳駅南地域で地域全体の防災機能の強化と魅力ある市街地の形成に資するため、鳳上線全線における電線共同溝の整備を行っている。
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