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(2017/10/30)

 

【静岡県】森林回復で生態系に好循環
〜環境・森林緑化特集〜

 

 森林の荒廃を防ぎ、植生を回復することは山の安定につながり、流域に広がる県土を保全する。さらに、森林で培われたミネラルを豊富に含んだ水を海まで供給して豊かな生態系を育む。森林の回復は重要な事業として位置付けられ、静岡県の「森の力再生事業」が2006年度から10年間の計画で実施され、15年度末に当初目標を上回る12374fの整備を完了した。森の力再生事業は整備効果を評価され、事業の財源となる「森林(もり)づくり県民税」が延長されて事業が継続された。16年度から第2期計画の10年間がスタートし、17年度はその2年目となる。また、17年度は新たな取り組みとして、伐採した竹林の竹材を「ふじのくに森の防潮堤づくり」で施工する防風垣の原料として有効活用している。

 

第2期の全体計画と2017年度計画

 

静岡県「森の力再生事業」17年度は1147ha


 第2期計画10年間(16年度〜25年度)の全体計画は、人工林再生整備として強度の間伐10700f・倒木処理300f、竹林・広葉樹林等再生整備200fの計11200fを予定している。全体事業費は97億1400万円を見込んでいる。
静岡県は、17年度の計画として人工林再生と竹林・広葉樹林等再生の2事業に総額9億9000万円の補助金を投じ、延べ1147fの整備を促進する。人工林再生整備として強度の間伐1092f・倒木処理30f、竹林・広葉樹林等再生整備25fを予定している。
17年度の事務所別の計画は、賀茂農林管内が83f(人工林再生80f、竹林・広葉樹林等再生3f)、東部農林管内が162f(人工林再生160f、竹林・広葉樹林等再生2f)、富士農林管内が92f(人工林再生91f、竹林・広葉樹林等再生1f)、中部農林管内が255f(人工林再生252f、竹林・広葉樹林等再生3f)、志太榛原農林管内が195f(人工林再生192f、竹林・広葉樹林等再生3f)、中遠農林管内が197f(人工林再生187f、竹林・広葉樹林等再生10f)、西部農林管内が163f(人工林再生160f、竹林・広葉樹林等再生3f)。


整備前

植生が回復した3年後


 また、16年度の森の力再生事業による実績は、人工林再生整備として強度の間伐996f、倒木処理23f、竹林・広葉樹林等再生整備20fで累計面積1039f、進捗率は9.3%となった。
06年度〜15年度の過去10年間の森の力再生事業による実績を見ると、人工林再生整備として強度の間伐11569f、倒木処理410f、竹林・広葉樹395fを整備した。総事業費は96億7300万円。森林の保水能力維持の点では、荒廃森林では立木が込み合っていて下草が生えていないため、表土が流れ出る恐れがあることから、人工林再生整備により下草が回復し、広葉樹などが発生することで表土を安定化させる効果を生んでいる。


伐採竹材を防風垣に活用


波及効果

波及効果としては、▽実施箇所では植生の回復などにより、山地災害の防止や水源の涵養など森林機能が向上▽中山間地域の雇用創出▽木材有効活用の推進−などが挙げられる。
11年間で整備を通じて発生した木材のうち累計約17.1万立方bが搬出利用された。このうち16年度の実績は13096立方bとなった。
また、11年間で地域に密着した造園・建設会社、NPOによる森林管理の取り組みが進んだ他、新たな担い手として44者が森林整備分野に参入した。このうち、建設業・造園業などは27者。雇用の創出では作業員として延べ2501人(年間約227人)が増加、新規雇用は11年間で延べ173人となった。
この他、林業機械の導入が15事業体で18台となった。林内路網の整備は合計467`(16年度は31`)の作業車道を開設し、森林所有者による森林管理が容易になった。

竹林再生で発生した竹材が「ふじのくに森の防潮堤づくり」に生きる

森の力再生事業は、荒廃した森林を回復させると同時に、伐採した木材・竹材の活用などの波及効果を生んでいる。県が進める防災林造成事業「ふじのくに森の防潮堤づくり」で施工する防風垣(竹す)の原料として有効活用された。17年度からの取り組みは、伐採竹の新たな有効活用の事例として今後の展開が期待されている。
伐採した竹材が活用されたのは、静岡県と市が進めている中東遠地域の森の防潮堤づくり。植栽木を強風から守るための防風垣(竹す)に使用した。
中東遠地域の遠州灘海岸には海岸線40`に沿って松を主体とした海岸防災林がある。塩害や松くい虫被害により、松が集団的に枯れてしまい防災機能が低下した。このため、14年度から静岡県と市が連携して森の防潮堤づくりを進めている。県の担当者によると、植栽木の防風対策として竹すを使用しているが、本年度の工事量が増え、2016年度の6倍の竹すが必要となった。このため、「森の力再生事業で伐採した竹材の有効活用に向け、竹林整備者と加工業者を仲介して安定的に供給してもらえるように提案した」ということだ。そして、8月からマダケ18000本分を加工場へ運搬、竹すに加工し、9月から「森の防潮堤」施工業者に納品、防風垣の設置が進んでいる。
また、県の担当者は、「引き続き、森の力再生事業の整備者と連携して竹材を有効活用していく」と話す。


中東地域の森の防潮堤づくりで防風垣に活用された


森林(もり)づくり県民税について


 静岡県は県土の3分の2が森林。森の持つ力は、@樹木や地表を覆う下草などが雨による土砂の流出や崩壊を防ぐA雨水を蓄えて時間をかけて川に流し、洪水や渇水を緩和するB肥沃(ひよく)な山の成分を川に流し、海に供給するC地球温暖化の防止−など計り知れず、県民はその恩恵を受けている。
しかし、手入れの行き届かない森林が増えたことから、静岡県では「森の力」を再生するための整備を06年度から開始した。
「森の力再生事業」は、法人県民税と個人県民税の超過課税を活用して06年度にスタート。15年度に事業継続が決まり、16年度から10年間の計画が策定された。民間(団体)などが実施する人工林の再生(強度の間伐・風倒木処理)と竹林・広葉樹林再生に対して補助している。
森林(もり)づくり県民税は、森林が土砂災害の防止、水源のかん養などの公益的な機能を有し、これらの「森の力」は全ての県民が享受しているとして、荒廃した森林を再生、良好な森林環境を保全していくための財源として導入された。森の力再生事業継続と共に、県民税の課税期間も5年間(20年度まで)延長され、5年をめどに見直しする。

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