2018年の猛暑など夏場の気温上昇が社会問題となっている中、文部科学省が公立小中学校への空調設備設置に対する補助金を創設し、全国的に教育施設への空調設備(エアコン)設置の動きが広がった。静岡県内でも県と市町が一斉に小・中学校、高校・特別支援学校などへの空調設備設置に向けた事業費を確保し、設計や工事の入札・契約を進めようとしている。一方で、県内全ての自治体が2019、20年度の空調設備設置に動いていることから、発注・施工の集中による技術者・技能者の人手不足、また、働き方改革の中で休日確保や労働環境改善に影響することが危惧されている。それだけに、各自治体が計画的に、適正な工期と事業費で発注することも求められている。特集では、県内市町の空調設備設置事業について計画と進捗状況をまとめた。
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学校施設の環境整備へ空調設置の動き広がる
静岡県内の空調設備設置事業
富士市は、全小中学校に空調設備を導入するため、シェアード・セイビングス方式を採用したESCO事業の提案募集で最優秀提案者に日本ファシリティ・ソリューション(東京都品川区)を選定した。3月に契約する予定で、契約期間は13年(156カ月)。総事業費は約23億7000万円を見込む。計画では、2019年度6月末までに全小中学校への設置を完了する予定。対象は43校の742室(小学校504室、中学校238室)となっている。また、高効率個別空調やデマンド抑制装置の導入、LED照明設備の導入(教室、職員室、体育館)、受変電設備の更新なども予定している。
三島市は、小学校普通教室等空調設備設置事業で、北小学校25教室、西小学校17教室、東小学校16教室についての空調設備設置工事は既に発注しており、3月20日に入札を行った。残る南小学校、錦田小学校、坂小学校、山田小学校、徳倉小学校、佐野小学校、沢地小学校、北上小学校、中郷小学校、向山小学校、長伏小学校の11校は2019年度に発注する。小学校全体の空調設置教室数は243教室。一方、中学校普通教室等空調設備設置事業では、北中学校、北上中学校、山田中学校、南中学校、中郷西中学校、錦田中学校、中郷中学校の7校全てについて、19年度に工事発注する。中学校全体の空調設置教室数は113教室。
御殿場市は、小中学校空調設備整備工事で制限付き一般競争入札を行った結果、落札者を日管御殿場支店(御殿場市)に決定した。落札額は7億7900万円。納期は2020年3月18日。対象の教室は全て普通教室。小学校は朝日小学校を除いて、御殿場小学校が38教室、御殿場南小学校が28教室、富士岡小学校が27教室、神山小学校が17教室、原里小学校が21教室、玉穂小学校が19教室、高根小学校が13教室、東小学校が16教室、高根小学校上小林分校が2室で、合計181教室。印野小学校は整備済み。中学校は南中学校と西中学校を除いて、御殿場中学校が22教室、富士岡中学校が24教室、原里中学校が15教室、高根中学校が6教室で、合計67教室。小中合わせると248教室を整備する。
小山町は、小中学校等空調設備整備で、調査・設計および施工完了までの業務一括の事業者として大成温調静岡支店(静岡市葵区)と本契約を結んだ。契約額は4億円(税抜き)で、納期は9月30日。納期前でも幼稚園から優先的に工事を終えて、供用していく考え。成美、明倫、足柄などの各小学校および、駿河小山、足柄などの各幼稚園の冷房運転を可能にし、中学校は納期までに完了する。対象教室は普通教室や特別教室などで、成美小学校29教室、明倫小学校23教室、足柄小学校18教室、北郷小学校32教室、須走小学校27教室、小山中学校21教室、北郷中学校19教室、駿河小山幼稚園3教室、足柄幼稚園3教室、須走幼稚園9教室、きたごうこども園1教室の合わせて185教室。
下田市は、市内の7小学校で空調の設置を進める。工事は4月に7本に分割して発注する予定だ。台数は合計56台を見込み、内訳は下田小学校が14台で、稲梓小学校、稲生沢小学校、白浜小学校、浜崎小学校、下田小学校、大賀茂小学校、朝日小学校はいずれも7台となっている。夏までの工事完了を目指す。設計は、稲梓小と稲生沢小を岡崎善隆建築事務所(下田市)、白浜小と浜崎小は小川一級建築士事務所(下田市)、下田小はあんしん住宅一級建築士事務所(下田市)、朝日小は矢田部一級建築士事務所(下田市)が担当した。
静岡市は、小学校(小中一貫校含む)86校の普通教室1289室へのエアコン設置について、各校の発注時期を決定した。児童数の多い大規模校を選定し、大規模校の周辺校をグループ化。区ごと、大規模校の児童数が多いグループ順に発注していく。
発注グループは、各区内をAからFの六つに分けた。山間地にある葵区13校、清水区6校は発注グループを形成せず、学校単位で発注する予定。
4月、5月に発注するのは、駿河区Aグループ、駿河区Bグループ、清水Aグループ、清水Bグループ、葵Bグループ。この5グループは、12月ごろの工事完了を予定している。葵Aグループは、公告済み。
6月の発注予定は6グループ、工事完了は2020年1月ごろとなる。
7月以降は6グループと単独の19校を発注、工事完了は20年2月〜3月ごろを予定している。
実施設計は静岡設計監理協同組合(静岡市葵区)が担当した。
設置工事は、国交補助金(3分の1)6億3410万円と、市債27億9210万円を充てる。19年度末までに整備終了予定。
中学校は19年度に設計委託予定
中学校の設置対象は、38校、普通教室535室がある。19年度に実施設計を委託予定で、当初予算で3545万円を予算化した。設置工事は20、21年度を予定している。
焼津市は、幼稚園・小中学校猛暑対策事業で2018年12月に公募型プロポーザルを実施した。契約金額は16億7400万円(税込み)。
対象は幼稚園3園、小学校12校、中学校9校の普通教室・特別教室など計638室。工期は5月31日、稼働は6月1日、風量測定等の調整機器やフェンス等の設置等周囲の安全対策は9月30日までを目指す。
藤枝市は2018年12月、小中学校空調設備整備事業に係るプロポーザルを実施した。
対象は小学校17校298室、中学校10校131室の普通教室で計429室。事業期間は、設計が3月29日、空調設置が6月28日、完成検査を含め9月30日まで。18年度11月補正に繰越明許費として、小学校8億8700万円、中学校3億9300万円を充てた。
島田市は、小中学校の普通教室にメンテナンス付きリース方式でエアコンを設置する。
2018年11月に公募型プロポーザルで業者を選定、6月末まで導入準備を行っている。賃貸借期間は7月1日から32年6月30日まで。業務は設計・施工・維持管理等。
対象は、島田第一小学校や金谷小学校など17小学校計194室、六合中学校や金谷中学校など7中学校計91室。
牧之原市は、小学校7校の普通教室・特別教室に空調を設置している。2018年12月に入札、工期は19年6月末までを予定する。対象は川崎、相良、地頭方、細江、菅山、萩間小学校、牧之原市菊川市学校組合立牧之原小学校。大規模改修に伴い先行して行った坂部、勝間田小学校は、18年度内に完了済み。
中学校は、17年度までに全3校で設置済み。
吉田町は、2019年度に全小中学校の体育館に空調を設置する方針。設計・工事を発注し、年度内の整備完了を目指す。
対象は、住吉、中央、自彊の3小学校と吉田中学校の計4校。19年度当初予算で、2億5642万円を予算化した。
御前崎市は、小学校5校と中学校1校、認定こども園3園、幼稚園3園にメンテナンス付きリース方式で設置する。賃貸借期間は2019年7月1日から29年6月30日までの10カ年。予算規模は小学校が1億8000万円、中学校が3600万円、認定こども園と幼稚園が1500万円ずつを見込んでいる。
菊川市は、小中学校全ての普通教室と小笠北幼稚園保育室に設置する。小学校は9校116室、中学校は3校48室、小笠北幼稚園は保育室5室の計169室が対象。6月末までに設置を完了する予定。設置費用は約5億2000万円を見込む。
掛川市は、6月の完了を目指して設置を進めている。設置費用は12億9000万円を見込む。対象は小学校22校283室、中学校9校122室、幼稚園8園27室の計432室。
袋井市は、小学校12校の普通教室218室、特別教室27室と中学校4校の普通教室70室、特別教室16室、幼稚園14園の保育室64室を対象に設置を進めている。設置費は小学校が7億4481万円、中学校が3億1510万円、幼稚園が1億4510万円を見込む。6月末の設置完了を目指す。
磐田市は、市内30校の小中学校普通教室を対象に設置する。夏ごろの工事発注を目指す。小学校21校357室、中学校9校150室への整備を19年度中に終え、一体校整備を予定する豊田北部小と豊田中を含む市内全小中学校への設置完了は20年度末となる見通し。工事は、複数工区に分割して発注する予定。空調方式は電気式電動ヒートポンプを採用する。
森町は、工事を1月から4工区に分けて順次発注している。対象は幼稚園5園と小学校5校、中学校3校で、普通教室83室、特別教室26室の計109室。町内を@飯田A一宮・園田B森C天方・三倉―の4地区に分ける。整備費は1室当たり300万円以下を見込んでいる。
浜松市は、国の臨時特例交付金を活用して45校(695教室)への設置工事を19年度から順次発注する。それ以外の80校(1294教室)はPFI方式を採用。事業方式は、設計・施工と工事監理を一括して行い、所有権を市に引き渡した後、維持管理も行うBTO方式。事業期間は契約締結日から33年3月31日まで。設計・施工期間は契約締結日から21年3月31日まで、維持管理期間は所有権移転後から33年3月31日まで。アドバイザリー業務は三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京都港区)が担当する。
3月にPFI法に基づく特定事業選定の後に公告し、6月に入札提案書などを受け付け、8月に落札事業者を決める予定。市は当初、20年8月の完了を目指し、PFI方式の採用を視野に三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託して導入可能性調査を実施した。効率的な整備手法を模索する中、国の臨時特例交付金を活用して45校の先行整備を決め、残る80校をPFI方式の対象とすることにした。
湖西市は、鷲津幼稚園など幼稚園5園と新居など小学校6校、岡崎など中学校5校に設置する。教室数は普通教室213室、特別教室51室、給食準備室など3室の計267室。20年1月の設置完了を目指す。
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