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(2019/8/2)

 

【静岡県】海の日 防災・減災・老朽化対策を柱
〜清水港開港120周年記念〜

 

 令和元年の「海の日」7月15日は、清水港開港120周年記念事業「開港祭」の最終日だった。豊かで安全・安心な沿岸域形成に向けた国土交通省清水港湾事務所、静岡県の港湾・海岸事業をまとめた。
そして、清水港開港120周年――。
7月13日から15日までの「開港祭」、8月4日までの「海フェスタしずおか」では、清水港の歩みを振り返るとともに、次代へつなげるため、世界に発信するため、各イベントが展開されている。4日には開港120周年記念式典が開かれ、静岡県が策定した「清水港長期構想」も、お披露目される。

 

4港合計47億円 19年度当初予算 前年度比19%増
2019年度当初港湾予算(港湾整備事業、直轄・補助 金額は事業費、予算配分ベース)は、ゼロ国債・災害復旧費・社会資本整備総合交付金等は除き、4港合計47億600万円、18年度当初比19%増。
4港の内訳は、清水港27億4900万円(直轄21億600万円、補助6億4300万円、補助は民間4億4300万円を含む)、田子の浦港5億9600万円(直轄1億7000万円、補助4億2600万円)。
御前崎港と下田港は直轄のみで、8億600万円、5億5500万円。
社会資本整備総合交付金(防災・安全交付金含む)配分予算(国費)は、12億6750万円、18年度当初比22%増。
港湾事業・海岸事業の各内訳は、港湾事業・清水港、御前崎港、田子の浦港、下田港、松崎港、沼津港など6億950万円、大井川港3260万円。
海岸事業・清水港、御前崎港、沼津港、土肥港、浜名港、熱海港、榛原港、相良港、宇久須港など5億3790万円、大井川港8750万円。
地方創生整備推進交付金配分予算(国費)は、港湾事業・伊東港3920万円、18年度当初比2%減。

 

 

直轄4港の状況と見通し

 

【清水港】
外港地区防波堤改良・粘り強い化は「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」対象。
日の出地区水深12b岸壁改良は、1〜3号岸壁の老朽化対策を進めるとともに、15万d級の大型クルーズ船2隻同時着岸対応を進め、22年完成予定。
富士見地区水深14b岸壁改良は、本体工事に着手予定。

【御前崎港】
女岩地区防波堤(東)改良は、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」対象。
女岩地区水深12b岸壁改良、女岩地区水深14泊地は、19年度から新規着手。老朽化対策と波除堤撤去、大型コンテナ船の安全な入出港確保のため泊地水深を確保する。

【田子の浦港】
沿岸漂砂の埋没が課題のため、中央航路の埋没防止対策として、港口部に漂砂を捕捉するポケットを整備している。

【下田港】
2月に本航路への切り替えが完了し、19年度から防波堤(西)の整備を再開。

 

クルーズ船誘致による交流人口の拡大

静岡県 旅客動向を調査分析へ

 

 2019年の静岡県内港湾へのクルーズ船の寄港について静岡県は、46回と過去最高の寄港回数を見込んでおり、清水港が42回、伊東港2回、熱海港、御前崎港が各1回という内訳となっている。

下図は、4月26日、清水港に3隻同時寄港した際の日の出ふ頭の様子(写真提供=静岡県)


4月26日、清水港に3隻同時寄港した際の日の出ふ頭の様子(写真提供=静岡県)

 

 特徴としては、まず、清水港では、ラグジュアリークラス(1人1泊平均700ドル〜1500ドル)、プレミアムクラス(1人1泊平均100ドル〜500ドル)の客単価の高い船の寄港が多く、外国船には、欧米系の旅客の比重が高くなっている。また、清水港以外の港湾は、全て日本の船会社が運航するクルーズ船が寄港する予定となっている。
2019年4月26日には、清水港初となる外国船3隻が同時寄港し、3000人を超える乗客などにより港周辺やツアー先の観光地は大いに賑わったということであり、8月22日には、清水港史上最大のクルーズ船となるプリンセス・クルーズのクルーズ船「マジェスティック・プリンセス」(総トン数約14万4000d、全長330b、乗客定員3560人)が寄港する予定となっている。
また、清水港以外の港では、日本クルーズ客船株式会社のクルーズ船「ぱしふぃっくびいなす」(総トン数:約2万2000d、全長183.4b、乗客定員460人)が5月28日に伊東港に、8月20日には御前崎港にそれぞれ初寄港する予定であるなど、地元自治体を主体としたクルーズ船の誘致活動が積極的に展開されている。
クルーズ船の寄港は、旅客の港周辺や観光地での消費や船内での県産食材などの消費などによる経済効果を地域にもたらすことが期待されており、静岡県では2019年度、静岡県内港湾を訪れた旅客がどのような行動をするのか、どのような嗜好(しこう)があるのかなどの旅客動向を調査分析する予定である。これらの調査結果を、地域で共有し、クルーズ旅客の受け入れ体制の強化につなげることにより、寄港による経済効果の最大化を目指すなど、地域の活性化に向けて取り組んでいくとしている。



 「スマート ガーデン ポート 清水」を基本理念に、静岡県は「清水港長期構想」を策定した。折しも開港120年の2019年8月、記念の年に合わせたかたちとなった。
おおむね20年後としている「将来」の目指す姿。「物流・産業」「交流・生活・景観」「防災・危機管理等」を柱に、これまでの延長線上ではなく、第4次産業革命と呼ばれる人工知能(AI)やIoTによる技術革新の進展を見据えたグランドデザインであり、方向性を示している。
建設産業に関連した具体施策の方向性と、その取り組み施策を見ていく。



清水港長期構想を策定


【新興津コンテナターミナル】
次世代高規格コンテナターミナル(CT)の形成、大水深多目的国際物流ターミナル化を目指す。
新興津埠頭(ふとう)で、連続4バース・直線1300bと、連続2バース・直線440bの計1740bを備えた高規格CTを整備。現在の延長1180bのバース長は1.5倍となる。
新興津地区と袖師地区で分散して取り扱っているコンテナ貨物を新興津地区に集約。港荷役システムの遠隔操作化・自動化やスマートゲートを導入、人工知能(AI)ターミナルの実現へ。

【次世代高規格ROROターミナル】
袖師第1埠頭で、RORO船3隻着岸が可能な内貿RORO専用を3バース確保する。水深12b延長240bを3バースとし、自動離着岸装置、スマートゲート、効率的な車両蔵置管理なども活用する。

【袖師地区】
袖師第2埠頭は230b延伸させ、埋め立てて増大させる。西側は新たに大型輸入液体運搬船対応バースを整備。東側は、循環資源貨物に対応するバースとする。袖師第1埠頭西側に輸入パルプを集約させる。

【富士見地区】
鉄道岸壁、富士見6号・7号岸壁は、長寿命化対策を実施。老朽バース計590bを、段階的に前出し改良する。それにより、副次的に3隻目クルーズ船にも対応可能となる。
外内貿バルク貨物富士見集約により、増加する取扱量に対応するため、村松運河を埋め立て用地拡大を目指す。埋め立てにより、倉庫と埠頭の移動に国道150号を経由せず、臨港地区内で移動が可能となる。折戸湾再開発に伴う人流動線の確保にも寄与する。

【新興津地区防波堤】
港内で発生した浚渫土砂は現在、貝島地区に埋め立て処分している。しかし、今後10年以内に満杯になることが見込まれている。次期、受け入れ拠点として、外港防波堤外側の水域を検討する。
外港防波堤は延長1300b、新興津防波堤は延長700b。外側水域に埋め立てた場合、高波時の越波(おっぱ)量の抑制による港内静穏度の向上や、地震・津波発生時の防波堤の「粘り強い化」が期待される。

【貝島地区】
貝島地区廃棄物埋め立て護岸の前面水域には漁業権が設定されているため、十分関係者との調整が必要となるが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」などの研究船・探査船・作業船が長期係留可能な岸壁の整備や土地利用を図ることにより、海洋関連産業の集積を図る。

【スーパーヨット】
日の出地区、富士見地区、折戸地区を候補地としてスーパーヨットの受け入れに必要なハード・ソフト面での整備を検討する。
富士見地区は喫水水深5b以下、折戸地区は喫水水深4b以下。受け入れに必要な設備は、給水施設、給油施設、給電施設、浮桟橋、係留ブイなどが挙げられる。喫水や延長が大型のスーパーヨットは、水深4.5b以上が必要なため、日の出埠頭クルーズ専用岸壁で受け入れる。



静岡県 清水港港湾計画改訂へ手続き準備
静岡県は、清水港港湾計画(マスタープラン)改訂に向け、変更手続きに入っている。2019年度から2カ年をかけ準備、21年3月の国土交通省審議会に諮れるよう進めていく方針。改訂港湾計画の目標年次は、2030年代前半(おおむね10〜15年後)。
港湾計画改訂に向け、おおむね20年後(長期構想の目標)を見据えた将来像を示す長期構想策定に、18年度は取り組んできた。長期構想の策定・公表を受け、まずは、今後10〜15年分の施設変更などについて、港湾計画改訂の変更手続きに入る。
清水港の港湾整備は、04年に改訂された港湾計画(目標年次2015年)に基づき進めている。既定計画の目標年次を経過し、海外情勢や利用状況が変化している中、臨港地区内で新たな構想も動き出している。
取り巻く環境の変化や、要請などを踏まえた港づくりのマスタープランを改訂する方針。



【トピックスT】清水港と熱海港 「釣り文化振興促進モデル港」
国土交通省港湾局は、清水港と熱海港を「釣り文化振興促進モデル港」に指定した。中部地方整備局管内では初。
モデル港には、運営母体となる地元関係者からなる協議会などに対し、国交省から効率的な運営に関する技術的な支援、日本釣振興会による安全対策やマナー教育への支援などが行われる。
地方創生を目的として、釣り文化の振興促進に貢献している港湾が対象。3月29日に、全国13の港を指定した。
「釣り振興モデル港」に改名し、5月30日から8月22日まで2次募集をしている。

【トピックスU】日港連県支部 女性部会を発足
日本港湾空港建設協会静岡県支部(佐野茂樹支部長)は、2018年10月に女性部会を発足させた。19年2月には、国土交通省清水港湾事務所と「働きやすい職場」「魅力的な職場・業界」をテーマに女性の視点からの意見交換会を行った。
同部会から6人、中部地方整備局から女性職員4人が参加。それぞれの立場で、日頃考えていることや今後の取り組み方について意見を出した。
建設業界で働こうとしている女性は「覚悟を持ってきている。女性だからという先入観、決めつけは不要」であり、「周囲が気遣いのあまり、経験させないことは本人にとっても組織にとっても損失」などの意見が出た。
子供たちが建設業界で働くことを身近に感じられるしくみづくりの必要性や、「今はわがままかもしれない。しかし、高校生や子供たちのことを考えると必要」と、作業服のサイズやデザインの改善を求める声も上がった。



国土交通省中部地方整備局清水港湾事務所 所長木村俊介

明るい未来を創る港づくり

新しい「令和」の時代初の「海の日」を迎えました。「令和」の典拠となった万葉集では、海に関する歌が多く詠まれています。古来より我が国は、漁業や海運を通じて、多大な恩恵を海から受けて発展し、今では、世界6位の広大な管轄海域を有し、モノの輸出入の99%以上を海運と港湾が支える海洋大国になりました。
そして我が国の未来は、新たな時代となっても「海」とともにあります。美しく豊かな海を次世代へ引き継ぐためには、海上物流の効率化、防災・減災、洋上風力発電などの新産業の創出、海洋の安全保障、海洋ごみ問題など広範にわたる課題を、国を挙げて戦略的に取り組んでいく必要があります。
こうした中、当事務所では、現在、清水港、御前崎港、田子の浦港および下田港において、防災・減災、老朽化対策を柱として、それぞれ地域の課題に即した事業を展開しています。
例えば、清水港では、日の出埠頭の老朽化対策に併せて、大型クルーズ船2隻同時着岸に対応するための岸壁改良を2022年の完成を目指して進めています。また、御前崎港西ふ頭では、2019年度より開始する岸壁の老朽化対策において、船舶の航行安全性の向上に資する波除堤の撤去も行う予定にしています。
また、清水港の外港防波堤と御前崎港の女岩地区防波堤では、「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」として、防波堤の「粘り強い化」を重点的に進めているところです。
当事務所は、引き続き、静岡県の明るい未来を創る港づくりに取り組んで参ります。
また、清水港は本年8月4日に開港120周年を迎えます。現在開催中の「海フェスタしずおか」は、多くの関係各位のご支援、ご協力を賜り、成功裏に終わろうとしています。これまでご支援、ご協力頂きました関係各位の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
静岡茶の輸出から始まった清水港は、何度か危機的な状況を迎えつつ、その都度、地元の人びとが立ち上がり大きなハードルを乗り越え、現在では、我が国有数の国際貿易港として、またクルーズやマリンレジャー、海洋研究などの拠点として発展しました。先人達が大切に築きあげてきた清水港を次の時代へしっかりと受け継ぎつつ、更なる進化を遂げるために当事務所も全力を尽くして参ります。

 


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