本年8月23日の市長・市議会議員同日選挙で第18代箕面市長に上島一彦市長が就任した。「みどり豊かですみやすいまち」と評価され、ファミリー世帯を中心に人口が増加する箕面市の今後のまちづくりの方針やビジョンなどを聞いた。(聞き手は大阪支局=北野宏幸)
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(2020/10/23)
【大阪府】北急延伸と周辺まちづくり柱に 医療と教育さらに充実へ
〜箕面市のまちづくり 上島一彦市長にビジョンを聞く〜
―改めて市長としてのまちづくりへの意気込みは
「本市には多くの市有財産があり、立地としてポテンシャルが高いエリア。リニア新幹線が開通すれば新大阪駅の西日本のハブ機能は一層高まる。現在、御堂筋の南北軸ラインでは西中島や江坂地区で企業の集積が進んでいる。その中で北大阪急行線の延伸事業を核としたまちづくりを進めている。船場地区は関西スポーツ科学・ヘルスケア総合センター(仮称)を設置し、健康・ヘルスケアをテーマに事業を行う。また延伸事業と並行してバス路線をさらに充実させ、交通利便性を発展させたい」
―その他のエリアではどうか
「市の東部地区では旧大阪外国語大学跡地がある。大阪大学箕面キャンパスを船場地区に移転し、跡地をどのように活用するかが課題だ。また山麓線を東に伸ばし、川合・山之口地区で区画整理事業を計画している。その他、彩都から山麓線を通過し石丸1丁目で萱野東西線に接続する都市計画道路・国文都市4号線を整備する」
「西部地区では阪急箕面線沿線の活性化に着手する。例えば箕面駅前サンプラザ第1ビルの建て替えなどが挙げられる。再整備が進む桜井駅では駐車場や生鮮産品の物販施設など足りない施設について敷地の立体活用などで整備を図りたい。また観光資源の箕面滝道の賑わい創出に向けて、大日駐車場の拡幅で観光バスの往来を盛んにさせるなど、皆さんが訪れやすい仕組みを整えたい」
「これらの事業を推進するに当たって、トップは“覚悟”を示さねばならないと考える。小さい取り組みだが、市長報酬を2割カット、退職金はいただかないことを表明させていただいた」
―現在取り組んでいる事業について
「何と言っても北急延伸と併せたまちづくりが事業の柱となる。箕面船場阪大前駅には新たな阪大箕面キャンパスが整備され、来春には図書館と生涯学習センターが完成する。その管理を阪大が担う。国立大学法人が市町村の施設を管理するのはおそらく日本で初めての試みだと思う。倉田哲郎前市長が道筋を付け、市の職員が奔走した結果だ。また1400人規模の文化ホールができる。専門の民間企業が管理・運営することで、大規模な集客を見込んでいる。これらの施設の活用へ、現在予定している延伸事業の2023年度完成をしっかりと実現していきたい」
―子育て・教育について
「学校については大阪府下で初めて施設一体型小中一貫校・9年制を実現している。とどろみの森学園と彩都の丘学園だ。船場地区も市立病院の移転跡地に新小学校の建設を計画している。充実した学校教育や子育て環境の良さを魅力に感じて、若く担税力のある層が本市に引っ越してくる。箕面森町や彩都の住民平均年齢は28〜29歳だ。現在は今後の増加見込み人口に対する学校施設などの整備は進んでいるが、まだ新校設置の可能性はあると思う」
―福祉・医療について
「箕面市立病院は中井武兵衞市長時代に“日本一親切な病院を建てる”と計画され、1981年に開業した。それまで箕面に病院はなく、私は豊中の病院で生まれた。2013年度には単独で黒字採算を実現したが、現在は累積赤字が積み上がっており、これを改善していかねばならない。そのために新病院を整備し、阪大との連携を強化し、より医療の質を高めていきたい」
「阪大をはじめ国立循環器病研究センターを抱える北大阪健康医療都市(健都)、また大阪中之島の再生医療拠点などとのネットワークを生かしながら、地域の中核病院を整備し、質の高い医療を目指す。現在は急性期と一部回復期の機能だが、可能であれば高度急性期・急性期・回復期・慢性期、そしてサ高住も盛り込み、船場地区を健康医療の大拠点にしたいと考えている。そのためには民間の力が必要だ」
「新病院の建設用地は船場地区のCOM1号館跡地とその隣地。延伸が完成すれば梅田から24分でアクセスでき、抜群の立地だ。また船場団地の50fについて大阪府の成長特区制度や国の地域未来投資促進法に基づく支援制度を活用し、ヘルスケアの拠点創出をテーマに研究所や事業者を誘致したい。長寿社会を迎える日本で今後成長する業種は健康医療の分野。船場地区は絶好の立地だと思っている」
―まちづくりの長期的なビジョンは
「20年、30年後に社会は大きく変わるだろうが、その第一歩として自分たちが強い意志を持って取り組むことが大切。まずは1期4年間で結果を出すことがわれわれの課題だ。北急延伸開業と船場地区まちづくり、阪急箕面・桜井各駅の再整備、東部の都計道と区画整理事業、阪大跡地への施設導入、子育て・教育日本一などを市職員とともにしっかりと取り組みたい」
「2025年の大阪・関西万博は大きなきっかけになると思う。府会議員の時に今後の大阪の成長戦略について議論を重ねた。願っているのは大阪・関西の復権。菅義偉総理が就任され、地方分権への追い風が吹くと思う。箕面市もしっかりと連携し、地方分権を地に着けていきたい。船場に事務所を構え、リモートで全国を相手に仕事をする。そういう時代になるかもしれない」
―地元建設業者について
「府会議員の時から、さつき会(池田土木管内の事業者)、三島水防協力会(茨木土木管内の事業者)から毎年、府への要望を受け、一つ一つ解決してきた。大阪は全国で一番低入札であることに驚いたのを記憶している。建設業者の置かれている状況が分かり、価格など国基準に近づけていくことに努力をしてきた」
「地元業者とは災害時応援協定を締結し、災害などの緊急時対応でお世話になっている。本年7月豪雨の上止々呂美地区の氾濫では、すぐに対応していただいた。その後の本復旧工事を他市業者が受注するようでは地元業者が疲弊してしまう。災害時に迅速に対応してもらうため、協定を締結している地元業者への加点制度などをきちんと整えることは当然のことだ」
「本市は危険ブロック塀の撤去や信号交差点へのガードパイプの設置など、社会的に求められる対策を迅速に施行している。まちの安全・安心に関わる対応をスピード感を持って取り組むため、地元企業の皆さんの協力を引き続きお願いしたい」
(2020/10/23)
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