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(2018/9/7)

【愛知・岐阜・三重】気候変動踏まえ「加速戦略」見直す

 

 2017年度末時点の全国の汚水処理人口普及率が前年度と比べ0.5%増の90.9%になった。このうち下水道普及率は78.8%で、処理人口は1億0031万人となり、初めて1億人を突破した。都道府県別の下水道普及率を見ると、東京都(99.8%)、兵庫県(98.8%)、滋賀県(98.7%)の順に高い。低いのは徳島県(60.4%)、和歌山県(63.6%)などだ。国土交通省は8月21日、2017年に策定した新下水道ビジョン加速戦略のフォローアップに向けて、初回会合を開き、気候変動に伴う外力増加への対応などを報告した。20年度にも加速戦略を見直す意向だ。加速戦略では、防災・減災や官民連携の推進、マネジメントサイクルの確立など、八つの重点項目に気候変動に伴う外力増加への対応を追加し検討する。この特集では、この加速戦略について国土交通省の森岡泰裕下水道部長に聞くとともに、愛知県、岐阜県、三重県と名古屋市の下水道施策をまとめた。また、中部3県1市の下水道施設の耐震化の状況、4県の下水道・汚水処理人口普及率などを見る。

 

施工中の名古屋市の雨水幹線


第58回下水道の日ポスター


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効率高め人口減に対応


森岡泰裕

下水道のポテンシャル活用へ

人口減少とインフラ老朽化の同時進行、災害の激甚化―。下水道を取り巻くこうした課題に対し、国土交通省は2014年度に「新下水道ビジョン」、17年度にビジョンの具体化に向けた「加速戦略」を策定した。全国約1500の地方自治体が担う下水道事業の持続性と利便性を高めるため、どのような取り組みが必要なのか。きょう9月10日の「下水道の日」に合わせ、国交省の森岡泰裕下水道部長に展望を聞いた。

――下水道事業の持続性に対するリスクは何か。
「国内の下水道全体を考えるとき、人口減少とインフラ老朽化への対応は避けて通れない。老朽施設の改築でも、単純更新ではなく、将来の人口減など将来の環境変化に対応したリニューアルが求められている」
「これまで市町村を基本単位としてきた下水道事業をハード・ソフトの両面から見直す広域化・共同化の取組が重要だ。処理区の統合や汚泥の共同処理、維持管理の共同化などさまざまな手法がある。集落排水や浄化槽など、下水道と同様の汚水処理機能を持つ施設との連携も不可欠だ。17年度には国交省を含む関係4省の連名で、広域化・共同化に関する計画を22年度までに作成するよう、都道府県に要請した。19年度当初予算の概算要求には、複数の下水道管理者が利用するシステムの構築に対する交付金も盛り込んだ」
「コンセッションなどの官民連携も効率化の一つの手段。広域化・共同化の視点からまずは将来を見据えた地方のプランをつくり、その上で官民の役割を整理するような形が望ましいのでは」
「下水道管渠の16年度分の点検結果を『下水道メンテナンス年報』として17年度に初公表した。経営状況についても地域差を見える化している。個々の管理者が抱える課題を把握し、将来像を考える参考にしてほしい」

――災害対応も大きな課題となっている。
「下水道は、いったん整備されると24時間365日機能しなくてはならない。19年度の概算要求でも、激甚化する災害に備えた下水道システムの強靱化は大きなテーマの一つとなる。頻発する豪雨や地震に対し、住民が安心して暮らせる排水システムをつくっていく」

――施工現場の生産性向上の取り組みは。
「民間の先進的な技術を実証し、普及を促す下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)では、ICTや人工知能(AI)を用いた維持管理の効率化などを重視している。また、i-Gesuidoと命名し、下水道分野でのBIM/CIM(3次元モデル)導入にも取り組んでいる。土木や建築、機械、電気などさまざまな工種にまたがる下水処理場の整備に特に効果があるのではないか」

――下水道が有する”ポテンシャル”とは。
「『骨太方針2018』では、下水処理場などを魅力ある施設に造り直し、地域の核にするリノベーションの取り組みが位置付けられた。下水道という枠にとらわれず、バイオマスを集約してエネルギーを生産するなど、多様なスキームがあり得る。地域がまとめたプランに、交付金を重点的に配分するような形を考えている」
「下水道は上水道やガス、電気などの供給側とは異なる、いわば静脈系のライフラインだ。だからこそ、オムツや生ごみといったものを運び、処理できるポテンシャルがある。新たな価値を付加できれば、人口減少下でも事業費に対する国民の便益を高めることができるものと思う」


接続可能な下水道目指す


高木淳課長

 少子高齢化や大規模災害への備え、老朽化対策など、下水道を取り巻く環境は大きな変化を迎えている。愛知県建設部下水道課の高木淳課長に、県の下水道整備の現状と課題、これからを聞いた。

愛知県建設部下水道課・高木淳課長

――愛知県内の下水道整備の現況からお聞きしたい。
「愛知県の2017年度末の下水道普及率は78%となった。名古屋市を除くと68.7%となる。全国平均の78.8%を下回っている状況で、全国第16位となっている。17年度末時点で、愛知県の人口754万人に対して、下水道未整備区域内人口は約111万人。名古屋市を除くと約110万人となる。下水道事業の着手が遅れた名古屋市近郊都市に多く残っている状況である」

――流域下水道の整備の状況は。
「17年度末時点で、管渠は計画延長381`のうち約95%に当たる362`が完成した。処理場は、計画処理能力の1日当たり187万立方bの48%に当たる89万7000立方bが完成している」
「10年概成を目指し、関連市町公共下水道の面整備の進捗に合わせて、幹線管渠の延伸、矢作川・境川・衣浦東部の3浄化センターの水処理施設の増設工事、設楽町の過疎代行事業を進めていく」

――地震・津波対策の進捗はどうか。
「ハード対策については、00年以前の土木設計基準を適用した施設などは十分な耐震性能を有していない可能性があるため、耐震診断を行っている。診断の結果、対策が必要となった施設については、最低限の汚水処理機能を確保するための優先度の高い施設から耐震対策工事を順次進めている。さらに、14年12月に公表した第3次あいち地震対策アクションプランには、作業員が常駐する建築物の耐震対策、非常用自家発電設備の整備などを位置付け、対策を進めている」
「ソフト対策については、想定外の被害が発生することを前提として、下水処理の最小限の機能を確保するとともに、早期復旧のため、13年度に各流域下水道の下水道BCPを策定した。現在は流域下水道BCPに基づいた訓練を定期的に行うことにより、BCPのブラッシュアップを図っている」
「津波対策については、14年5月に公表した県の被害予測調査結果で、沿岸部にある流域下水道の6処理場は津波による浸水の可能性はないと報告されている。しかし、3カ所の中継ポンプ場で浸水が予想されるため、今後対策を検討していく」

――下水道の更新、長寿命化も本格化してきている。
「限られた予算の中で持続可能な流域下水道施設を運営していくためには、ライフサイクルコストを考慮した改築更新を行っていく必要があり、愛知県では10年度から施設ごとに長寿命化計画を策定し、改築更新を行ってきた。16年度に国が下水道ストックマネジメント支援制度を創設し、これまで個別施設ごとに策定していた長寿命化計画に代わり、施設全体の管理の最適化を目指すストックマネジメント計画を策定することとなった。愛知県では16年度に全11流域下水道でストックマネジメント計画を策定した」
「ストックマネジメント計画では下水道施設の保全方法を、劣化状況や動作状況に応じて対策を行う『状態監視保全』、あらかじめ定めた周期により対策を行う『時間計画保全』、異常の兆候や故障発生後に対策を行う『事後保全』の3種類に分類している。『状態監視保全』は、管渠やマンホール、処理場の設備のうち、点検によって劣化状況が把握できる施設を対象としている。『時間計画保全』は、処理場の電気設備など、劣化状況の把握が困難で、故障を防止するために定期的に更新していく必要のある施設などが対象。これらの施設について、不具合発生によるリスクに応じた点検計画と改築更新計画を定め、下水道施設全体の最適な長寿命化を図っている」
「愛知県では、機械設備、電気設備については、影響度と発生確率により8段階にリスクレベルを設定した判定表により更新の判断をしている。リスクレベルが6以上の機器を更新することとしているが、国の交付金に関する重点施策などの変更に伴い、必要な更新費用が確保できていない状況であるため、管理費による修繕により延命化している」

――下水道資源の有効利用にも取り組んでいる。
「17年度に流域下水道から発生した汚泥は、脱水ケーキベースで約185000d。この汚泥はセメント原料、燃料、肥料などに有効利用している。民間企業も活用することで有効利用率はほぼ100%に達しており、全国平均の72%(16年度国交省調べ)を大きく上回っている」

「発生汚泥量は、下水道の普及に伴い今後も増加が見込まれている。引き続き高い有効利用率を維持し、下水道が循環型社会の形成に寄与するためには、利用先を戦略的に確保していくことが不可欠である」

――エネルギー利用にも積極的である。
「衣浦東部浄化センターでは、12年度から汚泥燃料化施設の運用を開始し、石炭火力発電所の燃料として利用している。また、矢作川浄化センターでは、16年11月から汚泥の減量化を目的とした汚泥消化施設の運用を開始し、消化工程で発生するバイオガスで汚泥焼却炉の補助燃料の約40%を賄っている」
「豊川浄化センターでは、14年度から既存の汚泥処理施設の改築とバイオガス利活用施設の新設と20年間の運営・維持管理を行う事業をPFI事業で実施している。17年2月からはバイオガス発電を開始し、電力を固定価格買取制度(FIT)で売電することにより、維持管理費を削減している。これらの取り組みにより17年度は県全体の発生汚泥量の約31%をエネルギー利用している。さらに、豊川浄化センターでは、農林水産省の補助により、県、市、企業などで構成するコンソーシアムが事業主体となり、処理水の熱エネルギーを利用してミニトマトを栽培する事業を行っており、16年度から栽培を開始した」
「12年度から、リン回収を目的とした民間企業への焼却灰の搬出も始めている。引き続き下水汚泥のセメント・肥料原料などの『資源利用』に加え、下水処理場の規模や立地条件などの特性を考慮し、燃料利用・メタンガス利用の他、下水汚泥が本来持っているエネルギーの利用を推進していく」

――下水道の広域化・共同化が求められている。愛知県の対応は。
「国土交通省・環境省・農林水産省・総務省の4省が17年度、広域化・共同化計画の策定について通知を出した。汚水処理事業に係る持続可能性確保に向けて、18年度からの取り組み実施と22年度までの計画策定を要請しており、国土交通省は下水道事業実施に当たっての交付要件としている。これを受け愛知県は、6月下旬〜7月上旬に県内全市町村を対象にした勉強会を開催。今後は意見交換会、意向確認調査などを行い、18年度内に大まかなブロック割の案を策定する予定である。19年度以降は各ブロック単位での検討を重ね、連携の種の抽出、マッチングなど、具体な計画へと進める」
「衣浦西部浄化センターでは、焼却施設の更新に合わせ、共同汚泥事業に着手する。常滑市、東海市、知多市の下水処理場で発生する汚泥を共同処理することにより、施設の更新費、維持管理費を削減できる」

――下水道整備の今後の課題は。
「さらなる少子高齢化の進行、各種災害・老朽化対策の促進、自治体の財政逼迫(ひっぱく)など、下水道を取り巻く環境が大きく変わってきたことから、14年7月の国土交通省による『新下水道ビジョン』や、15年5月の下水道法改正などを踏まえ、『あいち下水道ビジョン2025』を16年11月に策定した」
「計画では、県内の下水道事業の課題として、全国平均を下回っている普及率の向上、閉鎖性水域であり環境基準が未達成である伊勢湾・三河湾の水質保全、南海トラフ巨大地震などの大規模地震に備えるための地震対策を掲げている。これらの課題の解決に向け、汚水処理の10年概成、ハード・ソフト対策を組み合わせた災害対策、人・モノ・カネの持続可能なマネジメント、下水汚泥のエネルギー利用などの視点を新たに盛り込んだ。下水道の三つの役割として、『快適な水環境を想像する』『安心・安全なまちづくりを支える』『地域社会・地球温暖化対策へ貢献する』を掲げた。この役割を達成するため、具体的な取り組みを展開していく」
「老朽化施設の更新投資の増大や人口減少に伴う有収水量の減少など、下水道経営を取り巻く環境は厳しくなってきている。今後も持続的に下水道事業を継続していくためには、公営企業会計の導入が有用であるといわれており、15年1月には総務大臣名で公営企業会計移行の要請、また、18年度からは公営企業会計移行または検討が国の交付金の交付要件とされた。これらを踏まえ、愛知県流域下水道事業についても、19年4月から公営企業会計への移行を予定している。現在、固定資産調査や企業会計システムの導入など、公営企業会計移行に必要な環境整備を行っているところである」

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集中豪雨対策など効果・計画的に


松葉秀樹

名古屋市上下水道局 松葉秀樹 計画部長

 供用を開始してから既に100年以上が経過した名古屋市の下水道事業。老朽化した管が増大する一方で、人口減少を背景に使用量収入の拡大は難しい。大規模地震や水害への備えも求められる中で、事業のさらなる効率化が求められている。「持続可能で災害に強い下水道」を目指す上で何が重要か。名古屋市上下水道局の松葉秀樹計画部長に聞いた。

――下水道事業の現状と課題は。
「2017年度末現在で人口普及率は約99.3%に達し、水処理センター15カ所、ポンプ所53カ所、下水管総延長7870`におよぶ施設を保有し、市民の安心・安全で快適な生活を支える社会基盤として重要な役割を担っている」
「高度経済成長期に集中的に整備した施設の老朽化対策をはじめ、近年頻発する集中豪雨や発生が危惧されている南海トラフ巨大地震への備え、下水道の放流先の河川や海域などの水環境の向上など課題が山積しており、さまざまな事業を効果的かつ計画的に執行していく必要がある」
「本年度から管渠の台帳システムとなる上下水道マッピングシステムを本格稼働させた。既に稼働済みの施設総合管理システムとともに効率的な改築計画立案と、効果的・計画的なメンテナンスを実施していくツールとして運用していく」

――雨水整備の取り組みを。
「2018年は、平成30年7月豪雨など、前例のない規模と頻度で豪雨が発生している。近年の名古屋市では、2017年7月12日の大雨で道路冠水による車両の水没や地下鉄駅構内への雨水の侵入、床上・床下浸水が発生した。」
「東海豪雨や平成20年8月末豪雨などを受けて、被害地域や都市機能の集積する地域を対象に、原則として1時間60_の降雨に対応する施設へレベルアップする緊急雨水整備事業を進めている」
「名古屋駅周辺では、緊急雨水整備事業の集大成となる名古屋中央雨水調整池の建設を進めている。全体延長は約5`、内径5.75bの大口径の円形管渠型で、貯留量は約104000立方b。特徴は、既存の雨水貯留施設と接続し、下流部に新設する広川ポンプ所で中川運河に最大毎秒10立方bを連続排水しながら貯留も行う『流下貯留式』であることだ。また、名古屋高速の橋脚基礎杭やリニア中央新幹線の計画位置を考慮し、調整池の底の深さは地下約50bとなった。現在、シールドマシンが発進立坑を5月に発進し、12月から本掘進に入る予定だ」

――老朽管への対応策は。
「50年の標準耐用年数を過ぎた管渠は約1510`で、全体の約19%。高度経済成長期に集中して整備した施設が今後20年間で一斉に標準耐用年数を迎え、老朽管は総延長の約半数にまで増える見込みだ。適切な維持管理による延命化に加え、健全度・重要度を考慮して改築の優先順位を定め、事業量を平準化する必要がある」
「2016年度からの第8次下水管路調査改築計画では、老朽管の急増や大規模地震に備えるため、前計画よりも改築事業量を約20%増やし、年間45`を改築していく」
「最初に管更生を採用したのは1987年度。以来、2016年度までの施工実績は約210`におよぶ。老朽管の改築は開削が原則だが、交通量が多い箇所や家屋の密集地などでは更生工法が有効だ。近年は改築での開削・更生の延長割合はほぼ半々。特に、開削工法が困難な中大口径管で、重要な幹線の地震対策や老朽管の改築を行う際に更生工法のシェアが拡大してきている。今後も、管内水位の高い管渠や、光ファイバーが布設されている管渠など、施工条件の厳しい管渠について改築していく必要がある。既設管の状況を適切に把握した上で、更生工法を採用していきたい」

――処理場施設の更新・改良は。
「水処理センター・ポンプ所の基幹施設は、施設の老朽度や重要度などを考慮した優先順位を付けて改築順序を決定。事業の平準化に努める。また、下水道施設の設備は、経過年数や点検・調査結果などに基づき、不具合が発生した場合の「被害規模」やその「発生確率」を設定し、「リスク評価」により緊急性が高いと評価されたものから優先的に改築を実施する」
「改築に合わせて効率的に機能を向上させることも重要。浸水対策や高度処理の導入、合流式下水道の改善、地震対策など、改築に合わせて効率的に機能向上を図る」
「水処理センターの改築に当たっては、他センターに送水しながら改築する必要がある施設もある。処理能力を確保するため、既設管網の活用も含めたネットワーク化が必要なところは検討する。施設長寿命化を図るとともに、規模の適正化や管理効率化を検討し、下水道システム全体を最適化することで、全体事業費の低減を図る」

――建設業界に求めることは何か。
「更生工法の採用が増えている中で、中大口径管渠の改築では、下水が流下している既設管内での作業が避けられない。厳しい作業環境下でも第三者災害防止はもちろん、酸素欠乏や局地的な大雨による増水などに対する安全対策が欠かせない。その上で施工精度を高めるなど、ポイントを押さえた施工管理をしてもらいたい」
「一方で、団塊の世代に続きベテランの退職が進んでいる。施工管理の重要なポイントは一朝一夕で身につくものではない。若い世代に確実に技術を伝承してほしい」
「効率的な体制づくりへ、多様な官民連携の手法を検討し、民間活力の導入を進める必要がある。限られた財源で下水道を安心・安全かつ効率的に運営していく上で、新たな技術の積極的な開発と提案をお願いしたい」

――働き方改革への対応(週休2日工事など)

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CIM活用で安全・品質を確保


急曲線区間(油屋幹線下水道築造工事)


 中川区と港区の下水道処理を担う宝神水処理センターに至る下水道管路にバイパス管を新設することで、流下経路の分散化を図り浸水被害の低減を目指す「油屋幹線下水道築造工事」。8月末の工事進捗率は約91.5%。2018年12月の工期末に向けて、最終の内面仕上げと本管への接続を進めていく工程だ。
内径1500_の泥土圧ミニシールド工は、荒子川公園内の発進立坑を発進し、荒子川南部第39号線を通り、県道59号(名古屋中環状線)に至るまでの延長約845b。市街地の幹線道路で自動車、歩行者ともに通行量が多く、名古屋中環状線の交差点内に到達立坑がある。鴻池・本間・ヒメノ特別共同企業体の酒井康至所長は「警備員を到達立坑に6人配置し、交通安全対策には万全を期している」と話す。
区間内は半径20b、同25bと難易度の高い急曲線区間が2カ所所在。また、荒子川南部第39号線も緩やかにカーブ(半径300b)しているため、工事区間内に曲線区間が多いのが特長だ。土被りは4〜6.5b。ジャイロコンパス搭載のシールドマシンでは、掘進管理において取り込み土量の把握を密にし、トータルステーション(TS)で動態観測を行いながら、崩落や陥没防止に努めた。
施工を進めるに当たり、工事区間全線のCIMデータを作成している。電気、水道、ガスなどの地下に埋設されている横断管、縦断管の位置を作業員全員が把握。安全教育とともに必要な離隔確保を立体的に認識・共有することで、安全な施工、品質の確保、出来形管理に活用している。

【工事概要】▽発注者―名古屋市上下水道局▽場所―名古屋市港区善進本町〜油屋町2丁目▽工事内容―泥土圧式ミニシールド工、内径1500_延長845.7b、鋼製さや管推進工、管径1500_、延長10.1b、推進工、管径900_、延長2.9b、マンホール工1カ所、特殊マンホール工2カ所

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中部地整管内の下水道処理人口普及率
前年度比0.7%増で71.1%


下水道人口普及率


 国土交通省中部地方整備局は8月20日、中部地方整備局管内の2017年度末時点の下水道処理人口普及率が前年比0.7%増の71.1%だったと発表した。全国平均の78.8%と比べると7.7ポイント低いものの、伸び率では0.2ポイント上回った。中部地方整備局管内では、岐阜県が75.8%、静岡県が63.1%、愛知県が78.0%、三重県が53.6%。政令市では静岡市が83.6%、浜松市が80.8%、名古屋市が99.3%だった。また、下水道処理人口に農業集落排水施設や合併浄化槽、コミュニティプラントの利用人口を加えた汚水処理人口普及率の中部地方整備局管内は、前年比0.7%増の87.5%となり、これについても全国平均(90.9%)を下回る結果となった。
下水道処理人口普及率を県別に見ると、岐阜県では、安八町と北方町が100%。90%以上が岐阜市、多治見市、美濃加茂市、可児市、岐南町、川辺町の4市2町だった。羽島市、山県市、瑞穂市、本巣市、養老町、揖斐川町は50%以下、大野町、七宗町、白川町、東白川村は下水道整備の予定がない。
これを、汚水処理人口普及率で見ると、80%に満たない市町村は羽島市、瑞穂市、養老町、垂井町、大野町、七宗町、白川町の2市5町となった。
静岡県の下水道処理人口普及率を見ると、90%以上はゼロで、牧野原市、東伊豆町、河津町、松崎町、西伊豆町、川根本町の1市5町で下水道整備の予定がない。
汚水処理人口普及率では、80%以上が静岡市、浜松市、沼津市、三島市、富士市、磐田市、御前崎市、伊豆の国市と長泉町の8市1町となった。
愛知県の下水道処理人口普及率トップは名古屋市の99.3%。刈谷市、知多市、長久手市が90%以上の普及率だ。飛島村、美浜町、豊根村は下水道整備の予定がなく、南知多町は下水道事業に未着手だ。
一方、汚水処理人口普及率では、飛島村が96.7%、美浜町が54.4%、豊根村が73.7%となり、南知多町は37.0%となった。
三重県の下水道処理人口普及率では、東員町の99.2%と朝日町の99.1%、川越町の99.5%が目を引く。尾鷲市、熊野市、度会町、大紀町、紀北町、紀宝町は下水道整備の予定がない。
ただ、汚水処理人口普及率を見ると、木曽岬町が100%となった他、四日市市、鈴鹿市、名張市、いなべ市、多気町、玉城町などで90%以上を示した。

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愛知・岐阜・三重・名古屋 3県1市の下水道耐震化率


 大規模地震の発生が懸念されているこの地域では、下水道施設の地震対策の取り組みが重要だ。一方で、未普及地域の解消や老朽化設備の改修なども計画的に進める必要がある。厳しい財政状況の中で、どのように地震対策を進めていくのか。愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市の下水道施設の耐震化の状況と今後の整備方針を取材した。


【耐震化の状況】
愛知県の流域下水道では2017年度末現在、362.1`の管渠のうち345.7`が耐震性を満たしており、耐震化率は95.5%に上る。また、処理場は342施設のうち251施設が耐震性を満たしており、耐震化率は73.4%。耐震化率が高いのは、阪神・淡路大震災を受けて1998年に改定された基準で建設された施設が多く、対策が必要ないものが多い影響だ。一方、下水道施設を供用している名古屋市を除く48市町の状況は、19700`の管渠のうち3073`が重要な幹線管渠に位置付けられており、このうち16年度末時点で耐震性能を有するのは2200`。耐震化率は72%となっている。処理場は30カ所、360施設のうち43%に当たる154施設が耐震性を満たしている。
名古屋市の重要な下水管の耐震化率は17年度末で88%となっている。また、大規模地震発生時の水処理センターの汚水処理可能割合は78%となっている。
岐阜県では、県内の重要な幹線の延長は2252`。このうち耐震性能が確保されているのは17年度末時点で1500`、耐震化率は66.6%となっている。処理場施設で耐震性能を満たしているのは、揚水施設が90カ所のうち38カ所、消毒施設が94カ所のうち42カ所、沈殿施設が88カ所のうち34カ所。耐震化率は揚水施設が42.2%、消毒施設が44.7%、沈殿施設が38.6%となっている。県内に処理場は94施設あり、このうち62施設は耐震基準の改定された98年以降に供用を開始されたもの。旧基準で建設された施設の耐震化は十分に進んでいない状況だ。
県内の市町では、岐阜市、大垣市、多治見市などの8市3町が下水道総合地震対策計画を策定し、対策を進めている。重要な幹線の耐震化率を見ると、関市で80%を超えている一方で、多治見市は30%に満たないなど、地域による差が大きい状況だ。
三重県は、耐震化の状況を適切に示す算定方法が確立されていないことから、耐震化率の算定を行っていない。

【具体的な整備方策】
愛知県は、流域下水道事業では18年度、境川浄化センターの管理汚泥棟と衣浦東部浄化センターの汚泥処理棟の耐震対策工事を発注。また、矢作川浄化センターの管理棟と豊川浄化センターの管理本館の耐震対策工事を引き続き進める。
県内市町では、28市町が07年度以降、国の交付金事業の「下水道総合地震対策事業」を活用して地震対策に取り組んできた。17年度は豊橋市、岡崎市、豊田市などで管更生工法による管渠の耐震化、春日井市や東海市などで処理場施設の耐震化などが進められた。また、マンホールトイレの整備に取り組む市町も多くある。
名古屋市では、本管改築を年に10`ペースで進めている。また、液状化想定区域内の重要な幹線などに接続するマンホールの浮上防止に関して検討と対策工事を行っている。基幹施設の耐震化では、空見スラッジリサイクルセンターの第2期施設の整備に合わせて耐震化を行っている他、堀留水処理センターと名城水処理センターの簡易処理高度化施設の建設に伴って最初沈殿池を耐震化している。
岐阜県は、地震時においても最低限の下水道機能を確保するため、施設の耐震化と避難所での衛生環境確保に必要なマンホールトイレの設置などに重点的に取り組んでいる。17年度に新たに策定した岐阜県下水道総合地震対策計画に基づき18年度は、木曽川右岸流域下水道で、各務原浄化センターの水処理施設、中継ポンプ場、長良川幹線の耐震対策を実施する。
三重県は、下水道総合地震対策事業の創設を機に、北部、南部、雲出川左岸、松阪の4処理区を対象に、三重県下水道総合地震対策計画を作成し、地震対策を進めてきた。同計画第3次に基づき、処理場は管理棟、汚泥脱水機棟の耐震補強、幹線管渠は単独水管橋とマンホール本体の耐震補強、マンホール浮上防止対策を進めている。


簡易処理高度化施設の建設に伴い最初沈澱池の耐震化を進めている堀留水処理センター(名古屋市提供)



【これからの整備方針】
愛知県は、地震対策の行動計画である第3次あいち地震対策アクションプランに、処理場・ポンプ場37施設、作業員が常駐する建築物16施設の合計53施設の地震対策工事を位置付けた。17年度末までに13施設の対策を完了している。管渠については、同プランで0.9`の耐震対策工事を位置付け、17年度末までに完了した。同プランの計画期間である23年度までに、これらの対策を完了させる方針だ。また、市町に対しては、取り組みが円滑に進むよう、技術的支援などを引き続き行っていく。
名古屋市は、指定避難所から水処理センターを結ぶルートなどの管渠の耐震化を優先的に実施する方針。また、南海トラフ巨大地震の液状化想定区域におけるマンホールの対策を20年度までに完了させる。既存の下水道基幹施設の耐震対策は、大規模な工事が必要となるため施設の改築に合わせて実施することとしている。ただ、施設の改築を行うまでに長期間を要するため、施設ごとに可能な範囲での対策を検討し、対応を進めていく。
岐阜県では、通常の下水道事業に加え、下水道総合地震対策事業により、避難地、防災拠点、要援護者関連施設と終末処理場とを接続する管路施設、緊急輸送路や避難路に埋設されている管路施設の耐震化、マンホールトイレの整備を推進している。ただ、未普及対策や電気機械設備の改築更新を重点的に進める市町が多く、耐震対策に手が回っていないのが実情だ。そのため県は、総合地震対策計画の策定を含め、指導・助言などの支援を行っていく。
三重県は、処理場について、必要最低限の機能を確保するため、主ポンプ施設、沈殿池、消毒施設の土木構造物を中心に対策を講じてきた。また、地震により構造物の継ぎ目が開いた際、地下水などの浸入防止に効果のある伸縮目地の設置も進めた。引き続き、管理棟や汚泥脱水機棟などの建築構造物の耐震補強を進めていく方針だ。施工上の理由から機器更新と同時に対策する必要のある施設は、更新計画と調整しながら進める。幹線管渠については、優先度の高い単独水管橋の耐震補強やマンホールの浮上防止対策を行ってきた。引き続きこれらの対策を進める他、マンホール本体の耐震補強にも取り組む。


豊川流域下水道の管渠耐震化工事の施行のようす(愛知県提供)

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下水道課長に聞く 下水道整備の現状と課題



鷲尾課長

 下水道は、公共用水域の水質保全を通じて、清流≠守り伝える重要な役割を担う。その役割を果たすためには、下水道の整備推進やストックマネジメント(SM)長寿命化対策、耐震対策を着実に進めることが重要となる。岐阜県都市建築部下水道課長鷲野俊樹氏に、下水道整備の現状と課題などについて聞いた。

岐阜県都市建築部 下水道課 鷲尾俊樹 課長

――岐阜県内の下水道の現状はどうか。
「公共下水道事業は2018年4月現在、県内42市町村のうち、38市町村(21市16町1村、供用開始後の維持管理を含む)で行われている。公共下水道普及率は17年度末で75.8%となり、前年度に比べ0.5ポイント上昇しているが、依然として全国平均と比べて普及率は低く、効率的な整備が期待されている。農業集落排水や合併処理浄化槽などを合わせた汚水処理人口普及率は92.2%であり、前年度と比べ0.6ポイント上昇している」
「全国的課題でもある下水道施設の老朽化や地震への対策の必要性が顕在化する中、汚水処理施設の効率的な整備に加えて、SM計画による計画的な維持管理や大規模地震でも下水処理機能を確保できるような耐震対策などを、地域の実情に応じて組み合わせて進めている」

――木曽川右岸流域下水道事業の整備状況、18年度の整備計画について。
「木曽川右岸流域下水道は、汚水量の増加に合わせて水処理施設の増設を進めており、17年度末に24池が完成し、処理能力は日最大21万8000立方bと、計画の90%に達した」
「地震対策では、08年度に岐阜県下水道地震対策緊急整備計画を策定し、大規模地震発生時でも基本的機能の確保を目指し、残る箇所についても、13年度に岐阜県下水道総合地震対策計画を策定し対策を進めた。17年度には新たな岐阜県下水道総合地震対策計画を策定し引き続き対策を進めている」
「SMでは、13年度に策定した木曽川右岸流域下水道長寿命化計画に基づき、日常生活や社会活動に重大な影響をおよぼす事故発生や機能停止を未然に防止し、コストの低減を図るための対策を進めた。17年度には新たに木曽川右岸流域下水道SM計画を策定し対策を進めている」
「本年度、岐阜県では、産業や地域の担い手づくり、子どもを産み育てやすい環境整備、教育の充実など「清流の国ぎふを支える人づくり」、成長・雇用戦略の推進、観光産業の基幹産業化、持続可能な農林畜水産業づくりなど「地域の魅力を生かした清流の国づくり」、医療・福祉の充実・連携、県土強靱(きょうじん)化、清流環境の保全、ネットワーク・インフラの整備など「安全・安心な清流の国ぎふづくり」の3本柱で、「清流の国ぎふ」づくりを全面展開してる。下水道は、「安全・安心な清流の国ぎふづくり」として公共用水域の水質保全を通じて、『清流』を守り伝える重要な役割を果たすことから、汚水処理施設の整備推進やSM、耐震対策を着実に進めていきたい」
「具体的には、15年度に変更した事業計画に基づき、処理場施設(25池機械・電気設備)と急速ろ過池(2系6池目機械・電気設備)の増設、水処理施設(7、8池)と川島ポンプ場等の耐震対策や、処理場施設(送風機棟電気設備など)、ポンプ場施設(長森ポンプ場機械設備など)、幹線管渠(管更生)のSMを推進する予定だ」

――下水道管渠の点検について。
「木曽川右岸流域下水道では、約78`の汚水幹線、約9`の放流幹線を管理している。一般的に道路に埋設しているため、直接異常を確認することが困難。日常点検によるクラック、段差、陥没など道路の変状を確認することで、管渠の異常を早期に発見するよう、週1度のパトロールを実施し、2週間に1度は全ての管渠を確認している。異常があれば、管渠内部を目視やカメラによる調査を実施し、修繕などの対策を行う」
「特に硫化水素による腐食が激しいと考えられる箇所については、5年に1度管渠内部を確認することを目標に取り組みたい。下水道管渠は、汚水を処理場まで流す、処理水を放流先まで流す重要な施設。日常点検で早期に異常を発見することに努めていきたい」

――高度処理の導入についてはどのように取り組んでいくのか。
「富栄養化による赤潮が発生している伊勢湾の水質を改善するためには、窒素やリンを除去する高度処理が必要。県内の高度処理実施率は16年度末で約65%であり、下水道施設の新設や増設、改築時に施設の高度処理化を進め、改善に取り組んでいる」
「木曽川右岸流域下水道では、当初計画の標準活性汚泥法から、嫌気無酸素好気法やステップ流入式多段硝化脱窒法へ変更し、急速ろ過法も併用して高度処理を進めている」

――18年度の下水道整備の課題は。
「木曽川右岸流域下水道施設の耐震化、SMは、施設を供用しながら進める必要があり、汚水処理能力の確保と早期の整備に配慮したより計画的な推進が課題となる。県内市町村には、必要なSM計画や耐震対策計画などの策定が円滑に進むよう指導・助言などの支援をしていく」
「財政的制約の中で早期に汚水処理施設を概成するためには、効率的な整備手法の採用が必要で、13年度末に国が発表した都道府県構想策定マニュアルを参考に、17年度末、岐阜県汚水処理施設整備構想を策定した。社会情勢の変化や地域の実情を踏まえた合理的な整備手法を採用するとともに、下水道を実施する際も効率性に配慮することとしている。岐阜県としては、構想の進捗管理を行うため、市町村のフォローアップを行っていきたい」
「また、17年度に国から全ての都道府県で汚水処理の事業運営に係る「広域化・共同化計画」を22年度までに策定するよう要請されているため、2018年度より、県内市町村と共に検討を進めていきたいと考えている。」

――下水道の整備に当たり、建設業界に求めることは。
「建設業界は、社会基盤の整備や維持管理の計画を具現化する担い手であり、特に地元業者は有事の際に地域の防災力を支える重要な存在と考えている。流域下水道においても災害時の応援協定を結び、被災時の迅速な協力をお願いしている」
「また、今後増加が見込まれるメンテナンス業務について、地域の業者で対処できる体制の確保は、地域の雇用や安全な社会資本の持続的な確保につながると考えている。引き続き、岐阜県の下水道行政にご協力をお願いしたい」



管理棟



森課長

 三重県は2018年度の流域下水道事業で、南部第2期建設事業の水処理施設の土木工事を進める計画だ。そこで、三重県県土整備部下水道課の森伸生課長に、下水道整備の現状と課題、流域下水道事業の整備計画などを聞いた。

三重県県土整備部 下水道課 森伸生 課長


――三重県内の下水道整備の現状はどうか。
「本県では、17年度末の下水道普及率は53.6%と、全国平均の78.8%を下回っている状況です。そのため、16年4月に策定した県の中期計画である「みえ県民力ビジョン第2次行動計画」で水環境の保全を達成するために「生活排水対策の推進」を取り組みの一つとしています。具体的には、16年6月に策定した「三重県生活排水アクションプログラム」に基づき、市町と連携し、生活排水処理施設の整備を計画的・効率的に進めているところです。このプログラムに基づき、県内の処理施設の整備が完了すると、県の行政人口の約8割の方に下水道を使用していただくこととなり、下水道が担う役割は、非常に大きなものとなっていることから、引き続き、市町と連携して、下水道普及率の向上を目指すとともに、公共用水域の水質保全に努めていきます」

――流域下水道施設の整備状況について。
「18年度の流域下水道事業の総建設事業費は51億円で、北勢沿岸流域下水道北部処理区は、菰野幹線の延伸に工事着手します。同南部処理区は、第2期建設事業として、処理場建設地の護岸・埋め立て工事を概成させ、水処理施設の土木工事に着手します」
「中勢沿岸流域下水道志登茂川処理区が18年4月に供用開始しました。同雲出川左岸処理区および同松阪処理区は、処理場の設備改築工事に着手します」
「宮川流域下水道宮川処理区は、引き続き、未普及地域の解消に向けて、内宮幹線、明和幹線と五十鈴川幹線の管渠延伸工事を進めていきます」

――下水道施設の地震・津波対策について。
「下水道施設の地震対策として、北部、南部、雲出川左岸および松阪の4処理区を対象に「三重県流域下水道総合地震対策計画(第2次)」(14〜18年度)を策定し、被災時に最低限有すべき機能を確保するため、引き続き、耐震対策工事を進めています。さらに、大規模かつ広域的な災害に対しては、ハード整備のみでは被害を防ぐことが困難であり、被災後の迅速な応急復旧対策の実施が重要となることから、ソフト対策として15年度に全ての流域下水道処理場において下水道業務継続計画(下水道BCP)を策定しました。今後は訓練などによる検証を重ねて完成度を高めていきます」
「津波に対しては、現在、宮川浄化センター、三渡川ポンプ場などにおいて、津波対策に関する基本設計業務を進めているところです」

――下水道施設の長寿命化について。
「北部、南部、雲出川左岸、松阪および宮川の各処理場では、16年度に策定した「三重県流域下水道長寿命化計画(第2次)」(17〜20年度)に基づき、施設の改築更新を実施していますが、今後はストックマネジメント計画を策定し、膨大な施設の状況を客観的に把握・評価し、中長期的な施設の状況を予測しながら、維持管理方針を決め、事業費の削減や平準化を図っていきます」

――今後の下水道整備の課題について。
「本県の下水道普及率は、直近20年間において約35ポイント上昇しているところですが、市街地においても未普及地が残っている状況であり、引き続き、面整備の早期概成に向けて積極的に取り組んでいきます。また、県内には平成初期から中期に整備された下水道施設が多く、今後、改築更新対象施設の増加が見込まれることから、ストックマネジメント計画に基づき、計画的に取り組んでいきます。さらには、本年度から県内の汚水事業の将来にわたる継続可能な運営のために、事業の広域化・共同化の検討に着手します」

――終わりに
「人口減少社会の本格的な到来や、節水意識の向上などによる排水量の減少など、下水道事業を取り巻く社会情勢は大きく変化しており、一方で近年の地方自治体の財政状況は、非常に厳しいものがあります。このような現状において、重要なインフラ施設である下水道施設に対して、県民の皆さんの協力を図っていくことが必要不可欠であり、ストック効果を情報発信することで身近だけどあまり知られていない下水道への理解を広げていきます。今後も、下水道未普及地域の早期解消を図りつつ、適切に施設の維持管理を行い、県民の皆さんが安全で安心できる快適な生活環境の提供に努めていきます」


南部処理区第2期予定地

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下水道の日に寄せて
地方公共団体 最良のパートナーとして


棚橋博行

日本下水道事業団 東海総合事務所長 棚橋博行

「下水道の日」は、下水道の普及促進を目的に「全国下水道促進デー」として1961年に始まりました。当時、約6%であった人口普及率は2017年度末78.8%となり、全国で下水道を利用できる人口は1億人を超えました。今や下水道は、国民生活や経済活動にとって不可欠な社会基盤施設となっています。
一方、日本下水道事業団は、全国的な下水道整備の要請が高まる中、地方公共団体の技術者不足を補うため、前身の「下水道事業センター」が1972年に設立されました。以来45年余、全国の約7割、約1400カ所の処理場の建設工事などに携わるなど地方自治体の体制を支援し、下水道の普及に微力ながら寄与することができたと考えています。
下水道は、管渠や処理場、ポンプ場など土木・建築施設、機械・電気設備、計装・制御設備など技術の集合体であり、さらに汚水処理などは化学的な知識を要し、下水道事業を運営するにあたっては、総合的かつ高度な技術力が必要となります。また近年、下水道事業においては、未普及地域の解消とともに、浸水対策や大規模地震に備えた耐震化、老朽化施設の改築更新、水環境の向上などさまざまな課題が山積しています。あわせて、人口減など社会構造の変化による収入の伸び悩みなどにより経営状況が厳しくなり、事業運営に必要な技術者確保も難しくなっています。
こうした状況の中、2015年の事業団法改正により、下水道事業団の役割も大幅に拡大し、これまでの根幹施設の建設工事などから、管渠も含めた建設や維持管理、災害支援など下水道事業全般にわたる支援が可能となりました。引き続き、地方公共団体の「下水道ソリューションパートナー」として、さまざまな要請に対し的確な対応ができるように取り組んでいきたいと考えています。
2018年度、東海総合事務所では岐阜、静岡、愛知、三重の4県において、建設工事が44団体、実施設計が24団体から受託しています。浸水対策や再構築事業が主要業務ですが、桑名市からは面整備も受託しています。また、ストックマネジメント計画の策定や広域化・共同化に関する相談にも対応しているところです。今後も、地方公共団体の皆さまにとって最良のパートナーであり続けるために、新たな取り組みも進めていきますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。



瀬戸市浄化センター

瀬戸市西部浄化センター建設工事その21
〜施工=鈴中・中部特定建設共同企業体〜


瀬戸市の西部浄化センターで、水処理施設の耐震補強などを行う「瀬戸市西部浄化センター建設工事その21」が進められている。施工を担当するのは、鈴中・中部特定建設共同企業体(JV)だ。
同工事は、土木、建築、建築機械設備、建築電気設備と多種にわたる。中でもメインとなるのは、沈殿池の補強工事だ。最初沈殿池、反応タンク、最終沈殿池の躯体を補強する。深さ11bに及ぶ反応タンクでは、既存の仕切壁を壊し、新たな壁を設ける工事が進められている。既存の仕切壁を下から少しずつ壊し、新たな仕切壁を順次つくっていく。この作業の繰り返しだ。既存の仕切壁の解体にはワイヤーソーイング工法が採用された。ワイヤーを回転させてコンクリートを切断。切断されたコンクリートの塊を引き上げる。古くからある工法だが、こうした現場での採用事例は少ないという。取材に訪れた8月上旬の時点では、既存の仕切壁を4回壊し、2回目の新たな壁をつくる作業が進行中で、鉄筋を組む作業の最中だった。
この他、最初沈殿池と最終沈殿池の躯体補強工事、沈砂池ポンプ棟の外壁や内装などの建築工事、水路の防食塗装なども進捗中。工事は17年10月に着工し、7月末現在の進捗率は43%となった。現場代理人を務める牧内賢一さんは、「順調に進んでいる」と話す。
同センターでは現在、この工事の他に設備工事と電気工事も行われており、週に1回、三つの工事の担当者が集まり、調整会議を開いて工程を調整しながら作業を進めてきた。沈砂池ポンプ棟という小さな棟の中での作業で、「これからさらに同時作業が増え、工程調整がますます大事になる」と万全を期す考えだ。
工事が進むにつれ、メインの反応タンクの工事は足場が順次上がり、高所作業となっていく。「墜落・転落には特に注意して作業を進めるよう指導している」。また、水槽という閉鎖的な環境下での作業であるため、送風設備を設置して水槽内に空気を送るなど、熱中症対策にも気を配る。
工期も半分を過ぎた。これまでのところ無事故で進めてこられた。「これから高所作業など危険性が増してくる。残りの工期、事故が絶対起こらないようにし、完成させる」と気を引き締める。

【工事概要】
▽発注者―日本下水道事業団
▽場所―愛知県瀬戸市西原町2丁目地内(瀬戸市西部浄化センター内)
▽工事内容―土木工事(沈砂池ポンプ棟工、最初沈殿池工、反応タンク工、最終沈殿池工)、建築工事(沈砂池ポンプ棟、2-2系水処理棟)、建築機械設備工事・建築電気設備工事(沈砂池ポンプ棟)


川越排水機場現場

川越町川越排水機場建設工事その13
〜施工=松岡建設(三重県川越町)〜


伊勢湾岸自動車道みえ川越インターチェンジに隣接する川越排水機場で「川越町川越排水機場建設工事その13」として調整池の拡張工事が進められている。施工を担当するのは地元の松岡建設(川越町)だ。2018年2月10日に着工し、7月末現在の進捗(しんちょく)率は25%の予定に対して30%。現場を指揮する稲垣昇一所長は「掘削土砂の運搬が順調に行えたことや、敷鉄板の活用により重機などの作業ヤードが効率的に確保でき、法面作業が順調に行えたことから予定を上回るペースで進んでいる」と話す。
川越排水機場は、雨水整備事業として建設され、1988年に稼働した。00年には排水能力を強化し、これまで浸水から地域住民の暮らしを守ってきた。稼働から約30年が経過し、旧耐震基準を現在の耐震基準にするための改修工事が順次進められている。
拡張する部分は、もともと養鰻(ようまん)池だったものが、埋め立てられた土地を川越町が買収した。工事に至る背景として、みえ川越インターチェンジの開発に伴い、周辺の養鰻池が埋め立てられたことや土地の利用形態の変化により、既設の排水機場や調整池に集まる雨量が毎秒約5.5立方b増加した他、耐震基準の見直しにより調整池護岸の耐震化を行った結果、調整池の容量が約1500立方b縮小したことが挙げられる。そのため、調整池を増設して必要量の確保を図る。調整池の容量は、拡張前が115000立方bに対し、拡張後は124500立方bとなる。
工事では、土地を掘削し、既設護岸の撤去や矢板護岸築造を行う。現在までに掘削や張コンクリート工、根固ブロック工を進めてきた。引き続き張コンクリート工、根固ブロック工を行う他、鋼矢板控杭(H鋼)の打ち込みや矢板護岸として鋼矢板延長15.5〜17bを打ち込み、タイロットを設置して固定させる。
建設現場は屋外での作業のため、天候をはじめ自然条件の影響を受けやすい。頻発する台風に備え、風雨による2次災害を防止するため、重機や資材を安全な高さに保管することや飛散物の固定、法面の養生など対策には万全を期した。
また、今年の夏は酷暑が続いたため、熱中症防止対策として、休憩場所を風通しの良い日陰に設置し、休憩時間を増やした。水分や塩分補給の補助はもちろん、毎朝の安全教育時には熱中症防止への対策を周知したという。

【工事概要】
▽発注者―日本下水道事業団
▽場所―三重県川越町地内(川越排水機場内)
▽工事内容―掘削工約24000立方b、既設護岸撤去工181b、矢板護岸築造工43.2b

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