入りたい会社のつくり方(1)
手間を惜しむな「ヒントは社員の声に」
建設業の求人倍率が高い水準で推移している。厚生労働省のまとめによると、「建設・採掘の職業」の求人倍率(2月分)は4.9倍。コロナ禍で減少していた飲食など他産業の採用意欲が回復すれば、さらなる人材難に見舞われかねない。従来、中小建設業の主な採用手法と言えば「縁故、人づて」だったが、それだけではなかなか追いつかないのが現状だ。中小企業を中心に採用活動の支援を手掛ける桐生英美氏(日本経営サポート社長)に秘訣(ひけつ)を聞いた。
◆『求職者にどう読まれるか』を意識
そもそも建設業では、同じ現場で知り合ったり、元請けの紹介があったりして入職する縁故採用の割合が他産業より大きいとのデータがある。求職者は入社先のことを知っていて、雇う側も求職者の仕事ぶりを把握している例が少なくない。
桐生氏は「その分、建設業は初めての人に自社を知ってもらう努力に不慣れなのでは」と推察する。例えばハローワークの求人票には、仕事内容の欄に「現場作業」「塗装の仕事」などと社名で分かることしか記載していない例が散見される。「現場は会社から遠いのか近いのか、遠いなら出張手当がつくか否かという風に、『求職者にどう読まれるか』を意識してアピール方法を練る必要がある」
ハローワークだけでなく、求人情報をまとめたウェブサイトや自社ホームページなど、求職者との接点は幅広い。どの媒体を選び、何を記載するかも重要な点だ。
ましてや、高校の新卒採用を目指すなら一層丁寧な採用活動が求められる。生徒に仕事の内容を話したり、求人資料を提供したりする機会がほしいのであれば、進路指導の先生に仕事内容を説明し、きちんと信頼してもらうステップを踏まなくては「何も始まらない」という。
◆自社の社員にアピールポイントを聞く
どんな点を求職者にアピールすればいいのか、悩む建設業の経営者も多い。そんなとき、桐生氏は「自社の社員に聞いてみればいい」とアドバイスする。地元で勤められるから、社長と趣味が合うからなど、給与や休暇だけではない理由が聞けるかもしれない。職種ごとの醍醐味(だいごみ)も、「働いている人の言葉に耳を傾けなくては分からない」と説く。
桐生氏が「最も成果が上がった」と振り返るのは、社長と社員が一緒になって「どういう人と働きたいか」を書き出した会社だ。自社がどんな会社で、何を目指し、そのためにどんな人と働きたいか―。これをきちんと考えることが、採用活動の第一歩となる。
次代を担う社員の採用活動は、会社の持続可能性に直結する重要な経営課題だ。桐生氏は言う。「中小、小規模企業ではお金はかけられないかもしれないが、ならば、きちんと手間をかけるべきだ」
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