建設業の調達サプライチェーン最前線 データ活用から取り組む業界の最適化【第1回】建設業界が抱える部材調達サプライチェーン課題の深刻化
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2024年2月から始まった連載「調達考」でも伝えられた通り、建設業の部材調達を取り巻く環境には大きな変化が生じています。規格品の注文業務はICT化が進む一方、建設工事で多く用いられる一品一様の建設部材の調達には、課題が残されています。
■一品一様の建設部材の調達を支える現場の実情
建設部材の製作工程には、「図面バラシ」という特有の設計工程があります。図面バラシとは、建設工事会社と製作工場間で部材の調達にあたって詳細図を作成する工程であり、建設工事で必ず発生します。同じような形状の部材であっても寸法や厚さ、穴位置などが少しでも異なれば「図面バラシ」が必要となることから、この詳細図作成の負担が大きい実態があります。加えて、一品一様の部材ゆえに、作図や製作ノウハウが蓄積しづらく、暗黙知が増えることで属人化し、生産性改善が進みづらい課題もあります。
建設業の就業者数はピーク時から約30%減少し、2024年4月から適用開始になった残業規制等からも、部材調達の生産性改善は待ったなしの状況です。また、原材料の高騰も続いており、コストダウンの観点からも新たな改善策がこれまで以上に求められています。
■担い手である製作工場の減少
部材製作の担い手である製作工場に目を向けると、この20年で事業所数は34万社から約18万社へと約半減しています。これにより建設工事会社は製作工場の探索により多くの工数を要したり、そもそも製作工場の廃業や技術者の高齢化に伴うリタイアにより、これまで出来ていた部材製作が行えなくなる事態も生じています。サプライチェーンの持続可能性を担保する観点から、取引を行う製作工場の確保、共存も大きなテーマとなっています。
上記の通り、これまでの調達や製作方法ではサプライチェーンを維持できない事態が生じ始めています。本連載では、弊社の取り組みなども含めてデータを活用した部材調達の新たなアプローチを紹介していきます。
執筆者プロフィール
木村将之(きむらしょうの)
株式会社BALLAS代表取締役
総合商社・双日株式会社で金属・資源分野の輸出入、事業投資、事業会社の経営支援に従事し、金属3Dプリンター事業の海外展開のため、欧州へ赴任。その後、製造業スタートアップ・株式会社Catallaxyでの経営企画責任者を経て、2022年2月に株式会社BALLASを創業。
株式会社BALLAS
https://www.ballas.biz/
建設部材の最適な調達を実現する「BALLAS」
https://business.ballas.biz/