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■「社労士からみた建設業経営」=第1回=

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第一回目は、まず建設業の労働者、労働災害の現状を説明していきたいと思います。
建設業の労働者は、労働統計によると、現在約447万人で、全労働者に占める割合で見ると、8パーセントほどになっています。
ここ数年、建設業に従事する労働者は、減少傾向にあり2002年504万人から2006年11月には、447万人までに減少しております。
これは、ここ数年の経済の停滞、公共工事の減少等、構造的な理由もありますが、若年者の入社数の減少も理由のひとつのようです。
その一方で、労働者の高齢化が目立つようにもなっています。
建設業における労働者の平均年齢は、建設技能職種別に見てみると、2004年調査では42.8才であり、いくつかの技能職では、50歳代の年齢構成がすでに4割強になっており、今後、高年齢化は避けられない状態となっています。
その反面、若手の人材採用も厳しい時代になってきており、平成18年度の就職内定率を見ると、大卒、中高卒ともに、求人数の大幅増加に対し、求職者数の横ばいという状態で売り手市場が更に加速化しそうな勢いです。
これらを踏まえても、働きやすい組織作りは高年齢者の活用、若手人材の確保のためにも建設業でも重要な課題となっています。
一方で、建設業は、労働災害の事故の発生率が高く、平成18年の怪我を含めた労災事故における建設業の割合は、全体の22パーセントであり、全業種の中でも製造業に次いで2番目に多いのが現状です。
さらに、この労災事故の中でも特に、建設業の場合、事故発生の際の死亡割合が高く、死亡災害のうち3分の1以上は、建設業となっています。
こう考えると、建設業の場合、事故が発生した場合、死亡事故につながるケースが極めて高いと言え事故を起こさない仕組みづくりは最重要な課題であるといえるでしょう。
次回は、これらの建設業の諸課題のうち、労働安全に関してどう取り組むべきかを考えていきたいと思います。


執筆者プロフィール

冨田社会保険労務士事務所 冨田 正幸