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■建設業の会社法対応=第2回=

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会計参与は取締役などと共同して計算書類の作成を担当し、株主総会において当該計算書類についての説明を行う会社の内部機関です。会計参与は会社の役員ですから、その選任は、株主総会の決議によります(会社法第329条第1項)。株式会社と役員(会計参与)との関係は、委任に関する規定に従うものとされています(同330条)。その任期については、取締役と同様に原則として2年とされています(同334条第1項)。
会計参与は対会社、対第三者への責任については社外取締役と同様の取扱いであり、株主代表訴訟の対象とされます(同423条第1項)。

中小企業においては、財務諸表等の計算書類を会計や税務の専門家である会計参与が作成することになりますから、その計算書類の信憑性、信頼性は増すと考えられます。したがって、金融機関等の与信において重要な位置けになっている決算書等の資料も、会計参与が関与したものであれば、それだけ信憑性も高いと判断される可能性が大きいといえます。
経営事項審査の経営状況分析(Y)に関しても会計参与の作成に係る財務諸表等は、審査資料の正確性の担保にも寄与することから、何らかの優遇措置が検討される可能性もあります。

会計参与の制度が普及するかどうかは、大きな責任を担うことになる税理士等の対応に掛かっており、金融機関等が会計参与設置会社をどのように評価するかによっても影響を受けるものと思われます。留意すべきことは、自社の決算書等に不透明な点がある場合は、会計参与を引き受ける可能性が低いと思われることです。また、金融機関が融資先の会社に対して会計参与の設置を要求するケースも考えられます。例えば決算書等の内容が不透明と判断される会社に対して会計参与の設置を要求し、設置できない場合には、その後の融資の対応を消極的にするというような形で金融機関が会計参与制度を融資審査の中に取り込んでくることも考えられます。会計参与を導入するかどうかは各社の任意事項ですが、設置するかどうかはこうした点を考慮しながら検討していくとともに、自社の決算書の透明性確保、「信用創り」のためにも喫緊の課題であるといえます。

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褐嚼ン経営サービス