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■「社労士からみた建設業経営」=第6回(最終回)=

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 現段階では、これらの内部統制に関しては上場企業のみが対象ですが、うまく活用することで特にリスクの多い建設業でも十分に活かすことが可能です。
というのも、建設業の場合、労働災害に関するリスクや各種基準に対しての十分な社内のチェック機能が働いているかを目に見えるようにしておくことで、正しく運用できていることがわかるようにもなります。またこれらの統制活動が正しく行われていることを外部にアピールすることでしっかりとした組織としての統制がとれており、リスクに対しての十分な対策と各種法令を遵守しているということを示すことも可能です。さらに、何よりも、会社の業務の流れを目に見える形で表現することで、経営者も全体的な流れを把握することができます
 建設業では経審が公共工事受注の際の条件になり、多くの会社がそれらの審査をクリアしていますが、内部統制は会社の業務とそれらを担当する社員の業務フローや業務記述書、リスクコントロールマトリックスといったものを一つずつ作成し、この中でリスクになるものを客観的に目に見える形にして、その対策を実施していくことで会社の健全性を証明することにもなります。特に、建設業では、ここのところ話題となった建築士の構造計算の虚偽や安衛法違反を未然に防ぎ、顧客の信頼を得られることも可能になります。
 更にこれらとあわせて労務監査を取り入れることで、これらを運用する社員が正しい職務規程や職責で行動していることがわかるようにもなります。
 今まで以上に、建設業も信頼を得るために積極的にこれらの仕組みを活用していくことが必要な時代なのかもしれません。

執筆者プロフィール

冨田社会保険労務士事務所 冨田 正幸