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建設業と個人情報保護法  第1回 〜はじめに〜             

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この原因として、インターネットの爆発的な普及が挙げられます。2004年4月、個人情報保護法完全施行により、我が国で初めて、民間事業者がもっている個人情報が保護されるべきものとして、取り扱われることとなりました。5000件を超える個人情報を扱うところが、適用事業所となるのであります。
 5000件を超えるというのが、微妙な数字です。5000件も所有していないというところでも、事業をやっていると、従業員の名簿、従業員の家族の名簿、保証人、そのほか宅急便の送り状まで、検索可能であるものをすべて含めての数(電話帳やカーナビ等の情報をそのまま使う場合を除く)ですから、すぐに5000件を超えてしまいます。会社の経営をやっているからには、適用事業所と思って対策を立てるのが無難でしょう。それから、東京都の場合は、「個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)」が定める個人情報取扱事業者に該当せず、また、関係省庁が示している特定の分野に関するガイドラインも適用されない事業者においても、個人情報の適正な取扱いに万全を期すことができるよう、個人情報取扱事業者に準じた内容をもって、この「事業者が保有する個人情報の適正な取扱いに関する指針」を定めていますから、適用事業所であろうとなかろうと個人情報は適正に取扱わなければなりません。
 個人情報が漏れて訴訟になったらどうなるのでしょう?今までの判例によれば、6000円から3万5000円が、個人情報の単価であり、その個人情報の範囲(例えば、住所や氏名だけか、それ以上の人に知られたくない情報を含むか)で、差が出ています。例えば、5000人分の情報が漏れたとして、少なくとも3000万円がかかり、しかも、訴訟遂行費用が上乗せされるおそれがあるということです。しかし、それ以上に、企業の価値に影響が出てくることが考えられます。いずれにしても、何らかの方策を立てる必要はありそうです。
 個人情報漏洩保険が、各社から出されています。何らかの保護体制や認証取得で割引のあるところが多いようです。認証については、プライバシーマークやISO27001(ISMS)等があります。いずれの認証も、個人情報保護法よりも厳しい制度となっています。
 次回は、個人情報保護法について、噛み砕いて説明します。

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執筆者プロフィール

行政書士法人パピルス 田中秀樹