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建設業法の基礎知識 〜行政書士業務より〜 第4回 工事経歴書って?(その2)

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――工事経歴書作成の際に、業種の分類を誤るとどうなりますか。
 「まず全ての建設業許可業者に言えるのが、工事経歴書を含む建設業決算変更届は閲覧に供されるということです。業種の分類を誤って把握していること自体が閲覧に供されることとなります。また経営規模等評価申請、いわゆる経審の申請を行う場合、各業種別に金額上位5件の契約書等の写しを添付することが求められているため、ここで業種の分類の誤りが明らかになると、建設業決算変更届を訂正しなくてはなりません」

 「次に最初に書き出した工事について、業種の分類が終わったら、各業種別の完成工事高を算出します。各々の業種の完成工事高に対して、経審を受ける場合は原則として約7割を超えるところまで、経審を受けない場合は概ね6割程度まで記載する必要があります」

――業種の分類以外に注意すべきところはありますか。
 「本来であればこの時点で注意しても遅いのですが、特定建設業と一般建設業の境目を無意識に踏み越えていないかにも配慮が必要です。建設工事の最初の発注者から直接工事を請け負う(元請)者が、1件の工事について下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が3千万円(ただし、建築一式工事は、4千5百万円)以上となる下請契約を締結して工事を施工する場合は、特定建設業の許可を受け、その工事には監理技術者を配置しなくてはなりません」

 「ここは逆向きで考えるとわかりやすいかもしれません。自社が一般建設業の許可しか有していないか、自社が特定建設業の許可を有してはいるがその工事には監理技術者資格を有する者を配置できなかった場合、元請工事については上記制限金額までしか下請契約を締結することができなくなる、と考えてください」

 「以上のように、建設業決算変更届の中でも工事経歴書は自社の建設業法の理解度、遵守度が最も明らかになる書類であるといえます。書類作成の時点で慌てることのないよう、常に工事経歴書のことを念頭に建設業を営んでいただきたいと思っています」

執筆者プロフィール

石田行政法務事務所 行政書士 所長 石田知行

石田知行
石田行政法務事務所 行政書士 所長
http://www.ishida-tomoyuki.com