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建設業社会保険未加入問題 個別相談会の現場から 第3回 重層下請構造における加入勧奨(その1)

 平成24年に国土交通省が示した「下請指導ガイドライン」に従い、建設企業が作成する施工体制台帳や作業員名簿、再下請負通知書に、社会保険に関する企業、及び個人の番号等を記載する欄が設けられるようになりました。

 これまでも作成していた書類に記載欄を追加するという形であったため、建設企業にとっては数多くある未加入対策の中でも、特に切実に未加入問題を意識させられるものとなったようです。

 これらをはじめとする、いわゆる現場レベルでの取組み強化が特に顕著なのは公共工事です。平成26年8月以降、国交省はその直轄工事において、元請企業及び一次下請企業は、原則的に社会保険等の加入企業に限定し、二次以下の未加入企業に対する指導も強化しました。

 またその後、多くの県・市がそれに準じた対策を講じていますが、冒頭に挙げたような書類は、その際のチェック機能を果たすために用いられるわけです。

 そして、この流れは民間工事にも広がりを見せています。日本建設業連合会は、平成27年に入り、加盟会員に示した「社会保険の加入促進に関する実施要領」において、「未加入の一次下請とは本年4月以降契約しない」とし、さらに「2016年4月以降は、二次下請以下も未加入企業と契約せず、現場から排除を推奨」という方針を打ち出しました。

 同連合会に加盟しているのは比較的規模のある企業が中心ですので、一次下請までの締め出しは、未加入対策も折り返しを迎えた現在であれば、そう大きな影響はないかと思われます。より重要なのは、本実施要領が二次下請以下についても言及し、現場全体での未加入企業の排除という方針を示している点です。

 今後、他の建設業団体も同様の方針を打ち出す流れとなることが予想されます。現時点では、二次下請以下で工事に携わる層には相当数の未加入企業、及び未加入者が存在していますので、こういった民間工事での厳格化は、第2回で取り上げた年金事務所による指導強化と相まって、大きな影響を与えることとなるでしょう。

 そしてその影響力が及び、対応を求められるのは未加入企業だけではなく、その指導責任を負っている元請企業等も同様であることは言うまでもありません。

執筆者プロフィール

社会保険労務士法人エール  社会保険労務士 加藤大輔

加藤大輔
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