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建設業社会保険未加入問題 個別相談会の現場から 第6回 「社会保険加入離職を防げ」その1

 未加入企業が社会保険加入を検討する際、課題の一つとなるのが、社会保険加入に関する従業員への説明です。従業員においてはその全てが加入に前向きなわけではなく、中には加入に対する不安や不満から、加入するくらいならば会社を辞めたい、と考える方も数多くいます。

 そのような状況において従業員説明は、その内容や進め方によっては離職を防ぐことにも、そして逆に促すことにも繋がる重要な意味合いを持ちますので、説明は従業員の不安を取り除き、そして安心(メリット)を伝えられるものでなければなりません。本テーマでの前編となる今回はまず「不安を取り除く」点について触れたいと思います。

 従業員が社会保険加入するタイミングは通常、入社時か、もしくはパートなどから正社員に転換する時がほとんどです。これに対し未加入企業が加入する場合、従業員の多くはこれまでと特に働き方に変わりないが、ある日を境にしてそこから加入することとなります。

 そのため従業員からしてみれば、社会保険加入は降って湧いたような話だと感じがちですので、これが不安へと繋がります。よって、加入することを前提として入社してきた新入社員に比べれば、その必要性や意義、そして特に「建設業においてなぜ今社会保険なのか」という点について、より丁寧に説明しなければ加入への納得は得づらいでしょう。

 また、不安の要因としてやはり多いのは、加入により手取り給与が減ることに関するものです。ただこの点おいては、事実認識が正しくなされていないこともありますので注意が必要です。

 確かに、加入すると保険料は給与からの天引きとなりますので、「手取り給与」は減ります。ただ、国民健康保険料や国民年金保険料を各自で支払っていれば、加入後は当然この支払いは無くなりますので、給料から保険料等負担を引いた「使える給与」が、現在よりも少なくなるとは限らないのです。

 実際、現在と加入した場合とを比較してみると、保険料負担は現在とほぼ変わらない、またはむしろ軽くなるということは頻繁にあるのですが、これは社会保険の大きな特徴の一つである、保険料が労使折半負担であることによるところが大きいといえます。

 そのため、従業員に対して社会保険料負担を説明するのであれば、まずは労使折半負担であることに触れ、そして「手取り給与」ではなく「使える給与」はどう変わるか、この観点に立ってもらうよう心掛けましょう。

執筆者プロフィール

社会保険労務士法人エール  社会保険労務士 加藤大輔

加藤大輔
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