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建設業社会保険未加入問題 個別相談会の現場から 第8回 「マイナンバー制度×建設業−その1―」

 テレビCMや新聞広告での広報が盛んに行われるようになってきたこともあり、近頃、企業のご相談を受ける際によく話題に上るのが「マイナンバー制度」です。

 この制度は業種、規模などの区別なく、全ての企業に一定の対応が求められるものですが、とりわけ「建設業」への影響は、他業種と比較しても大きいことが予想されます。

 マイナンバー制度は平成28年1月から、「社会保障」「税」「災害対策」の3つの分野での行政手続で活用されるところからスタートします。現在、ここに今後どのような分野を加えていくかが議論されていますが、当初は上記3つが、マイナンバー制度の根幹となります。

 しかしながら建設業は、現在、社会保険未加入対策が進められていることからも明らかなように、3つの柱のうちの「社会保障」、つまり社会保険制度に関する整備そのものが、他業種に比べ遅れているのが現状です。

 よって社会保険未加入である企業はもちろんのこと、社会保険に加入して間もない企業にとっては、まだ社会保険関連の制度や手続きに不慣れであるうちに、マイナンバー対策を求められることとなります。

 また、マイナンバー制度導入には各種手続きの簡素化や、「消えた年金問題」の再発防止など、利便性向上への期待も勿論ありますが、それ以上に効果が期待されているのは、「公平・公正な社会の実現」を目指した、税金・社会保険料未納対策の強化です。

 既に年金事務所が未加入企業への加入促進を強化していることは、第2回でも触れた通りですが、現状では未加入の「企業単位」でのチェックに留まっていることがほとんどです。

 これに関し、日本年金機構は2017年から、未加入対策にマイナンバーの個人番号と法人番号を活用することを打ち出しています。これにより企業単位では加入済みだが、社内に未加入の従業員がいる企業へのチェック、つまり「従業員単位」での確認が格段に容易となりますので、これまでの対策以上の効果が得られることとなるでしょう。

 これが実現することになった時に何が起こるか、それは建設業の社会保険未加入問題の再燃です。企業として社会保険加入し一旦の解決をみていた企業が、改めて対応を迫られるケースが出てくることが予想されます。

 マイナンバー制度の登場により、5か年計画である建設業の社会保険未加入対策は次のステージに入り、実際のところはもう少し息の長い問題となりそうです。

執筆者プロフィール

社会保険労務士法人エール  社会保険労務士 加藤大輔

加藤大輔
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