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どうなる? 未加入対策後の建設業界改革
第1回 2017年度以降の未加入対策

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平成24年度より、「許可業者の100%加入」「未加入者の工事現場からの排除」を掲げ、5ヵ年計画で打ち出された建設業の社会保険未加入対策が終わり、対策の期限として業界では常に意識されてきた「平成29年度」になって早2ヵ月程が経過しました。

ただ、5ヵ年計画の未加入対策は確かに終わりましたが、未加入対策そのものがそこでスッパリと終了した、と感じた方はまずいないでしょう。それが単なる区切りに過ぎず、今後も対応は継続するというのは、関係者の共通認識であると思います。
では平成29年度以降の未加入対策はどのようになっているのか、今回は行政について、そして次回は民間についてと分けて見ていきます。

まずは行政ですが、国交省はその直轄工事において、29年度以降の入札工事における未加入業者の排除対象を「2次以下」、つまり全ての業者に拡大しました(それまでは「1次まで」を対象)。
今後についてはまず公共工事において、順次、国交省の対策に倣っていくという流れになります。ただ、以前の1次下請の加入徹底の際も、各地方自治体等で実施時期にはズレがありましたので、公共工事に携わる業者は、自社が関わることの多い地方自治体等の動向には注視が必要です。

また、年金機構の動向については、29年度以降には一気に厳格化するのでは、という見方もありましたが、大きな変化は今のところ見られません。指導に従わない未加入事業所に対して、年金機構は職権で最大2年遡及して加入手続きをとる権限を持ちますが、指導後、自主的に速やかに加入手続きをとれば遡及しないという取り扱いにも変化はないようです。

ただ、年金機構は国税庁から企業データの提供を受け、未加入企業を割り出す仕組みを平成26年末から開始していますが、これについて今秋をめどに、情報提供の頻度を年2回から毎月にする方向性を打ち出しています。

未加入対策の5ヵ年は、ある意味での加入猶予期間でもあったわけですので、今に至っても未加入である事業所や従業員に対して、これまでよりチェック・指導が厳格化していくという流れは当然想定すべきでしょう。

執筆者プロフィール

特定社会保険労務士 社会保険労務士法人エール(横浜市) 加藤大輔

加藤大輔
特定社会保険労務士 社会保険労務士法人エール(横浜市)
社会保険労務士法人エール(横浜市)所属。特定社会保険労務士。建設企業向けのコンサルティングを幅広く手掛けてきた社会保険未加入問題の第一人者。関連する執筆やセミナー講師など多数。