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どうなる? 未加入対策後の建設業界改革
第3回 下請指導ガイドラインとコンプライアンス

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 私は、元請企業等による社会保険未加入対策の指導の厳格さや方法等にバラつきがみられることの大きな要因は、建設企業ごとの「コンプライアンスの捉え方」と「下請指導ガイドラインの性質」にあると考えています。下記はその下請指導ガイドラインの抜粋です。

・保険未加入の協力会社とは請負契約しないことや、未加入の建設労働者の現場入場を認めないことを具体的に予定しつつ、協力会社の指導に取り組んでいくこと。

・協力会社の保険加入状況について定期的に把握を行い、未加入の場合は早期の加入勧奨を行うこと。

・遅くとも平成29年度以降においては、未加入である建設企業は下請企業として選定しないとの取扱いとすべき。

・保険加入状況確認に当たっては必要に応じ、下請企業に保険料の領収済通知書、標準報酬決定通知書等の関係資料のコピーを提示させるなど、真正性の確保に向けた措置を講ずるよう努めること。

 上記の通り、そこには「すべきこと」はある程度具体的に明示されているものの、そのための「方法・程度」については明記されている箇所は少ないといえます。国交省の「社会保険未加入対策に関するQ&A」には、そのあたりに触れている項目もあり参考になりますが、それでも企業対応の全てがそれで定まるまでではありません。

 ガイドラインは法令とは違いあくまでも行政指針ですので、違反に直接の罰則が適用されるものではありません。しかし、実務上はそれに沿わないものには強い行政指導がなされることになりますし、5ヵ年の未加入対策を終え平成29年度を迎えた今後は、特にその可能性は高まっているといえます。

 よって元請企業等は、各々がこの件に関する自社のコンプライアンス遵守の捉え方を明確にしつつ、具体的な指導・管理体制を構築する必要があるのです。

 では元請企業等が定めるべき指導体制のポイントはどこにあるのか。私が重要な要素だと考えるのは、上記ガイドラインの抜粋中にある「具体的に予定」「定期的に把握」「真正性の確保」というキーワードです。それを踏まえ、私が必要と考える検討のポイントを以下に示します(次回に続く)。

執筆者プロフィール

特定社会保険労務士 社会保険労務士法人エール(横浜市) 加藤大輔

加藤大輔
特定社会保険労務士 社会保険労務士法人エール(横浜市)
社会保険労務士法人エール(横浜市)所属。特定社会保険労務士。建設企業向けのコンサルティングを幅広く手掛けてきた社会保険未加入問題の第一人者。関連する執筆やセミナー講師など多数。