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MBA社労士流『売手市場のハローワーク求人戦略』 〜欲しい人材が向こうから来てくれる求人票の作り方〜
第5回 我が社の求人票に辿り着くには

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【我が社の求人票に辿り着くには】
 前回はハローワークインターネットサービス(以下「HWIS」と略します)について紹介しました。特徴として、@登録はOCR帳票、HWISから仮登録のどちらでも可能なことA公開するか否かは事業者が選択できることBPC利用を想定し、スマホには最適化されていない−の3点がありました。
 これらを踏まえ、第5回目は、求職者がどのようにして我が社の求人票に辿り着くのか。情報登録の流れと求職者の検索動線を知ることで、ハローワーク(以下「HW」と称します)求人の対策が見つかります。

【情報登録の流れ】
(HWIS)
 HWの窓口に記載したOCR帳票を持参するか、HWISで仮登録したのち、HWの職員が本登録することでHWISに求人情報が登録されます。遅くとも、翌日にはWeb上で閲覧が可能になります。

(PC検索)
 ここからが重要です。HWISの求人情報はAPI連携された人材紹介業者はもちろんのことながら、一般の事業者もWebから2次利用が可能です。代表的なものが、流行のindeed(リクルートグループが運営する世界最大級の求人情報検索エンジン)です。HWISに登録されると、indeed側で機械的に自動登録します(登録されないケースもあります)。原則、無料ですからそのままで問題はありませんが、露出機会を増やしたい場合は、有料プランへ切り替える必要があります。

(スマホアプリ)
 また、PC利用がメインのHWISに対し、各事業者がスマホアプリを公開しています。多くの場合、一般的なスマホアプリと同様に表示される広告で運営されていますので、求人広告が登録されたからと言って求人側に負担は生じません。ただし、露出機会を増やしたい場合には、有料プランが選択できるアプリもあります。
 なお、あまり知られていませんが、キーワード次第では、HWISに登録された求人情報がGoogle検索で引っかかるケースもあります。

 これら「情報登録の流れ」をまとめると、以下のようになります。
【HWの窓口】 ・窓口端末
 ↓ ↓ ↓
【HWIS】  ・PC版のみ
 ↓ ↓ ↓
【Web検索】 ・indeedなど ・スマホアプリ ・Googleなど


【求職者の検索動線】
(検索)
 求人情報の入手経路は@Web:55%A新聞・雑誌:36%B口コミ:33%C直接応募:24%DHW等の公的機関:20%(リクルートワークス社2015年調査:ダブり回答あり)というデータがあります。ここで留意すべきは、DHW等が20%しかないものの、@Web:55%にはHWISからの2次情報も含まれていることです。
また、ウェブ検索に用いるデバイスは、スマホとPCがほぼ同じくらいの利用度(総務省2014年調査)ですから、個人の求職活動という観点からは、スマホ検索への対応が重要になります。
 では、実際にどのように検索されるかの流れを追います。ほとんどの媒体が、希望条件(職種、賃金・労働時間、勤務地など)で検索すると、条件に当てはまった情報が一覧表示されます。ここから、どれにしようか求職者が検討に入ります。その際、Web上は「最新のデータが上に表示される」という特性があり、HWISも新着情報から順番に一覧表示されます。ほぼ120万件の情報があり、1日に数万件登録されるわけですから、1か月も経過すると、求職者の目に留まるチャンスがガクンと減るわけです。

(検討)
 さて、どうにか「一覧表にノミネート」されたら、今度はその一覧の中で比較検討が始まります。求職者の希望条件に合致した数社と、我が社が比べられます。HWISもスマホアプリも、概ね@事業内容A仕事の内容B労働条件−が一覧化されますから、ここをざっくりと見て、他社を蹴散らした我が社の求人票にようやく辿り着くのです。

(応募)
 ようやく求人票の中身を詳しく読んでもらえ、納得した段階で電話問い合わせや書類郵送となり、応募につながるのです。こうした検索動線を踏まえると、他社と差別化できない文言を羅列した求人票など、誰の目にも触れないであろうことが理解いただけると思います。
 もちろん、せっかく辿り着いた方が最後の最後に応募を躊躇するような言葉が記載されていないか、微に入り細に入り、慎重に記載内容を考える必要があるわけです。
  
 「求職者の検索動線」の概略を図に示しましたので、参考にされてください。

 今回は、「情報登録の流れと求職者の検索動線」について確認しました。自社の求人情報がHWIS以外の媒体で掲載され、どう見えているのか。それによって、求人票本体のどこをどう変えるべきか。採用責任者はきちんと検証してください。

 次回は、求める人材に見つけてもらうために、求人票の「露出機会をどうやって増やすか」を解説します。

執筆者プロフィール

中小企業診断士事務所 みらいの経営代表(0円求人コンサルタント) 山崎広輝

山崎広輝
中小企業診断士事務所 みらいの経営代表(0円求人コンサルタント)
info@miraino.biz
ハローワークで20年間、毎月200人を採用してきた「社労士なのに経営ができる・わかるMBA社労士」元大東ビジネスセンター(株)代表取締役 https://www.miraino.biz