建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

MBA社労士流『売手市場のハローワーク求人戦略』 〜欲しい人材が向こうから来てくれる求人票の作り方〜
第8回・最終回 マーケティング型求人票で引き付ける方法

いいね ツイート
0

【求人=集客】
 過去7回、求人票の出し方を中心にテクニック論を展開してきました。最終回にあたり、「求人票=求人広告=求人チラシ」は、採用におけるマーケティング活動の中心にあるとの考え方で、応募者を引き付ける求人票の書き方について解説します。

(魅力を伝え切る)
 ネットの仮登録、窓口掲示板、窓口端末の写真活用によって、応募の入り口は広がりました。次にやるべきは、我が社の扉を開けようとしているヒトを逃がさないため、魅力を伝え切る説得力ある求人票を書くことです。

 モノ・コトが売れない時代、集客ナシでは収益に繋がりません。つまり、企業業績の確保には、セールスよりもマーケティングが圧倒的に重要なファクターとなります。これは、売り手市場下の採用活動と同じことです。

 応募者の確保(母集団の形成)ができなければ、採用には至らないわけですから。どうすべきかは簡単です。有料媒体の広告は、体裁こそ違えども、必ず、「会社、職場、仕事」の魅力を伝えています。

 限りあるスペースで、漏れなくダブりなく、説得力ある伝え方をするためです。ところが、ハローワークの求人票になったとたん、漏れ、ダブりだらけです。つまり、求人側が伝えたいことを書いていないがために、求職者に本意が伝わらず、応募に繋がらないのです。

(採用市場に合わせる)
 第1回執筆時点で1.55倍(10月:厚生労働省)だった有効求人倍率は、1.59倍(2018年1月:同)まで上昇しています。つまり、応募者確保に向けて、業種、職種、企業規模の大小を問わず、あらゆる企業が知恵を絞って、ヒトを奪い合う状況です。

 にも関わらず、99%の企業がハローワークに出す求人票は買い手市場下と代り映えしない内容です。これでは、来る者も来ません。今こそ「市場に合わせて作り変える!」商売の基本であり、マーケティング活動の原点に立ち返り、我々の求人票を全面的に作り直す必要があります。

(どこに“なに”を書くか)
 では、どうやって漏れなくダブりのない説得力ある求人票にするか。そのためには、どこに何を書くか決めてしまうのです。これは、20年間、工夫改善を重ね毎月200人採る。あるいは、120万件ある他社の求人票を分析して見出した結論です。大きく3点に要約します。可能な限り、自社の求人票を手元に置かれて確認ください。

(会社・事業の魅力)
 1つは、「事業内容」「会社の特長」です。求人票の右上にあります。ともに90文字書けます。ここには社長の経営理念、経営方針など、こんな価値観のヒトと働きたいというメッセージが欲しいです。敢えて補足すると「特長」欄はHWISでは表示されませんが、読んで字のごとく「特長」なので、良いところだけを書いていいのです。誤植ではありません。

(仕事の魅力)
 2つ目は、「職種」「仕事の内容」です。求人票の左の真ん中にあります。それぞれ28文字、297文字書けます。ここには仕事の魅力を存分に書いてください。
 よく「職種はシンプルな方がいい」と主張される専門家がいますが、これは買い手市場の書き方です。現在は明らかに間違いです。28文字の職種名で興味を持ってもらえなければ、ここで離脱してしまい、297文字の仕事の内容で関心を深めさせることは叶わないのです。

(労働条件、特記事項)
 3つ目は、空白が目立つ「労働条件の特記事項」「備考」です。真ん中から右下にあります。それぞれ、216文字、208文字書けますが、ここは空白が多いです。
 特に備考欄はその名称から何を書くべきか迷う方が多いようです。筆者の場合、ここは最後に目にする位置ですから、会社の魅力を存分に伝え、「問い合わせに」誘導する言葉で終えるようにしています。

(自由記述欄のフル活用)
 このように自由に記述できる部分だけで1,000文字程度になります。文字数を最大限に活用して「会社・職場・仕事」の魅力を伝え、前回までに述べた「HWIS、窓口の掲示版、写真」を駆使することで、我が社の求人票の反響は何倍もパワーアップします。全て、ハローワークが本来持っている機能であり、すぐにできることばかりです。

 今回で、MBA社労士流『超売り手市場のハローワーク求人戦略』は終了いたします。
 ぜひ、第1回から振り返り、ハローワークを使い倒す方法をご確認ください。このコラムが中小建設業の採用活動の一助となり、果ては業績の伸長に貢献できますことを祈念いたします。

執筆者プロフィール

(一社)中小企業人材確保支援協会 代表理事(0円求人コンサルタント) 山崎広輝

山崎広輝
(一社)中小企業人材確保支援協会 代表理事(0円求人コンサルタント)
info@miraino.biz
ハローワークで20年間、毎月200人採用してきたMBA社労士「中小企業診断士事務所みらいの経営代表」元大東ビジネスセンター(株)代表取締役 https://www.miraino.biz