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建設業の働き方改革
第1回 建設業における働き方改革

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 6月29日、働き方改革法案が可決された。建設業界では「働き方改革加速化プログラム(厚生労働省)」をもとに取り組みが進んでいるが、この法案の可決で働き方改革への取り組みが待った無しの状態になったと言える。

 皆さんの会社における働き方改革は進んでいるだろうか?
 景気拡大は過去最長に迫る勢いであり、2020年の東京オリンピックを前に建設需要も旺盛で、いま建設業はとても忙しい。そのような中で、建設業の就労人口の1/4を占める60歳以上の就労者は10年以内にいなくなる。人材の採用難は深刻なレベルにあり、ますます人手不足が加速する。建設業は、全産業に比べ労働時間は大幅に長く(1人当り年間258時間長い)、休みも少ない(65%が4週4休以下)など、若者に選ばれる業種としては心もとない状況にある。

 この問題は、働き方改革を阻む構造的な課題認識無しには解決することができない。

 1つ目は、ゼネコンからの重層的で複雑な下請け構造であること。専門工・技能工への依存度が高いため、業務の標準化や多能工化が進みにくい。

 2つ目は、社員に学ぶ機会が少ないこと。大型工事が始まれば、2年や3年に渡り現場へ出向くことになる。大局的に物事を考える能力が育たず、生産性を高める工夫が不足する。

 3つ目は、建設工事自体がスポット需要のため、需給調整型の労働力確保となり、効率を人員数の増減に頼る傾向がある。

 これらの構造的な問題を踏まえた中で、魅力ある企業像や働く人の活躍を目指さなければ、本当の意味での働き方改革は成しえない。
 社会に必要なインフラを築く建設業は、絶対無くならない業種の一つと言える。では、どのような建設業が成長を続け、生き続けるのか?

 端的に言って、優秀な人材を多く集め、育て、活躍させることができた会社が残る。そのためには『ES(従業員満足度)を重視した経営』へ移行することである。
 ESを重視した経営で、採用・育成・活躍・定着のリズムで働き方改革を進めよう。
 次回から、その取り組みについての提言をお伝えする。

執筆者プロフィール

株式会社タナベ経営 東京本部本部長 齋藤正淑

齋藤正淑
株式会社タナベ経営 東京本部本部長
中堅・中小企業の経営基盤強化を、収益構造の再構築により達成させる。経営ビジョン・戦略、組織デザイン、経営システム構築、中期経営計画の策定、事業承継では『経営者のプライベートな悩み(同族問題)』も同時に解決する。 経営診断(経営改善立案)100社以上、経営コンサルティング(経営指導)社数200社以上、社員教育100社以上、セミナー責任者など、実績を多数有する。