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建設業の働き方改革
第6回 人材活躍を実現する人事制度改革

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 前回のコラムで、人材不足に対処する経営システムの一つとして「ダイバーシティ&インクルージョン」について掲載させて頂いた。働き方改革とは、全員活躍であり、一人に仕事が集中するのではなく、仕事をシェアし全体の生産性を上げなければならない。

 女性活躍についても、働き方改革実践のための一つの手段である。ただし、建設業界は他の業界に比べ、女性活躍という観点でかなり後れを取っている。女子更衣室などを設けるといった、現場の環境整備などに留まっている企業も多くある。

 そのような中、女性がいきいきと活躍している建設会社は存在し、非常に活気ある組織風土を形成している企業もたくさんある。

 私は女性活躍において最も大切なポイントは、制度変更であると考えている。いくら、環境を整えても、ライフスタイルの変化により結果的に退社することになっているとすれば、女性活躍を実践しているとは言えない。

 PFIを実行しているある建設会社A社は、建設後の運営を自社で実施していることもあり、従業員数に占める女性の構成比が四〇%を占める。同社は、女性活躍のために人事処遇制度を変更している。「短時間正社員制度」、「フレックス制度」、「在宅勤務制度」(午後三時からは自宅勤務)などである。こうした取り組みにより、産前産後休業を利用した女性従業員の一〇〇%が職場復帰している。実際、同社の女性従業員に話を聞くと、制度が整備されているために働きやすいとの声が聞かれた。

 女性が活躍している会社は、女性が働きやすいような制度設計が行われている。建設業においては、現場環境の改善だけでなく、働きやすさを阻害する本質的な課題を押さえ、しっかりと改善していく必要があると考える。また、女性活躍だけでなく、働き方改革推進のためには、役割変更やそれにともなう人材育成も必要となる。そのため、人事制度の再構築を検討している企業も増えてきている。是非この機会に自社の人事制度について見直しをかけて頂きたい。

執筆者プロフィール

株式会社タナベ経営 大阪本部副本部長 竹内建一郎

竹内建一郎
株式会社タナベ経営 大阪本部副本部長
同志社大学 工学部 卒業後、大手メーカーに入社。大手メーカーでは、設計・開発業務を中心とする商品開発に携わり、数々商品を市場に送り出す。その後、株式会社タナベ経営に入社。タナベ経営入社後は、企業再建から成長戦略策定まで、100社以上のコンサルティングに携わり、企業の成長発展に向け多くの実績を挙げている。また、2015年9月より建設ソリューション成長戦略研究会を立ち上げ、建設ソリューション研究会総リーダーとしても活躍している。著書:建設業が勝ち残るビジネスモデル改革