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建設業の働き方改革
第7回 今後の建設業における目指すべきポイント(1)

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 建設会社と他の業種の会社を比較すると、例えば、「収益構造がスポット受注型で、売上の変動が大きい」、「労働集約型産業であり、人の質と量によって、つくれる売上・利益がきまる」、「現場が一品一様で、業務の標準化が難しく、人材育成・技能伝承が難しい」など、建設業ならではの構造的課題があると感じるこれらの構造的課題をクリアし、持続的成長を実現していくために、建設業が採るべき施策は何か。

1.「人が集まる会社」を目指す
 確保できる人材の質・量で業績が決まるということは、人を集めることができる建設会社が勝ち残るということだ。では、どんな建設会社に人は集まるのか。一言で言えば、国交省が提唱する「新・3K(給与が高い、休暇がとれる、希望が持てる)」の会社となろう。給与が高い、休暇がとれるは分かりやすいが、「希望が持てる建設会社」とは、どんな会社だろうか。

 最近の若い人は、会社を選ぶ基準として「自分を育ててくれる会社なのか?」という視点を重視する傾向にある。つまり、育成システムが整備されていて、自身のキャリアアップがイメージできる会社は、人が集まりやすい。また、企業規模は中小規模であっても、建設技術は最先端を行っているので「人の募集には苦労していません」という建設会社もある。若者に希望を与え、そのことで人が集まる会社をつくることは、建設業における重要施策と言えよう。

2.「人が集まる施設、インフラをつくれる会社」を目指す
 建設業は地域に密着し、地域の住環境やインフラ整備を行う重要な社会的使命を担っている。その使命に、「人が集まる施設、インフラをつくる」という価値を加えることで、建設業の未来が拓けるのではないか。スポーツや健康というキーワードで街を再設計し、スポーツツーリズムやヘルスツーリズムを地域に呼び込む事例も増えてきた。住む人、訪れる人の増加は、地場建設業にとってまた新たなビジネスチャンスを生み出す。

3.「発信力ある会社」を目指す
 どんなに魅力ある会社でも、その魅力が適切に発信され、広く認知されなければ、人も仕事も得ることはできない。「ホームページがダサい」という理由で、内定を辞退し同業他社に行く学生も、現実には存在する。どんな人たちがどのくらい自社のホームページを見ているのか、どのページが一番見られているのかを把握しなければ、採用や営業のあり方を改善できはしない。自分たちがどの程度、どのように認知されているのかを知り、自社の魅力を適切に発信してもらいたい。社会的意義ある仕事を、建設業はしているのだから。

執筆者プロフィール

山内一成
株式会社タナベ経営 東北支社部長
福島大学経済学部卒業。タナベ経営入社後、社員教育の企画・運営や研修教材の開発・制作、ホームページの作成等に従事。現在は事業戦略立案、営業部門強化、事業承継に伴う後継体制づくり、人材育成を専門としてコンサルティング活動を展開。建設業をはじめ住宅・リフォーム業、建材卸業、不動産業など建設関連企業への支援実績は豊富。