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建設業の働き方改革
第8回 今後の建設業における目指すべきポイント(2)

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8回に渡る連載も今回が最終回となります。一貫してお伝えしてきたのは、「ES(従業員満足度)を重視した経営〜社員から見て魅力のある建設業へ〜」へ如何に変革するかということでした。
 
 東京オリンピックの実需は2019年と言いますから、忙しいのもあと1年。2020年以降の自社の姿は明確でしょうか?最終回である今回は、「2030年に向けた10年ビジョンをつくる」をご提言いたします。そのポイントは3点です。

 1つ目のポイントは「次世代メンバーにより、10年ビジョンをつくる」であります。現在ではなく、10年後に主力となる役員・幹部が10年ビジョンをつくることで、現状の延長線上ではなく、将来のマーケットを見据えた10年ビジョンが出来上がります。会社の目指す姿が明確になることで会社の魅力が高まり、社員のモチベーションが上がります。

 2つ目のポイントは「デジタルイノベーションを10年ビジョンへ組み込む」であります。今や様々なIT機器が安価に使える世の中になりました。国交省が進めるi-Construction、ICT技術を積極的に導入して仕事のやり方を変え、生産性の高い「かっこいい建設業」へと変革する必要があります。そこに会社の魅力が生まれ、社員がプライドを持って働けるようになります。

 3つ目は「社内アカデミーによる学び方改革と技術伝承を行う」であります。建設業は営業、設計、工事、監理、事務など全く異なる職種が混在し、仕事が属人的で働き方改革が進まない業種の代表格です。クラウドを利用した社内アカデミーを設立し、学び方そのものを変えることで、生産性が高く技術力を持った社員が育ち、社員が自信を持って働けるようになります。

 先が見えないスピードの速い時代だからこそ、10年後の自社の姿を決めて成長を目指すことが重要です。未来が見える会社だからこそ、社員は安心して働くことができ、会社が変わることにも積極的に協力してくれます。

 ESを重視した経営で、魅力ある建設業をつくり、働き方改革を加速して行きましょう。

執筆者プロフィール

株式会社タナベ経営 東京本部本部長 齋藤正淑

齋藤正淑
株式会社タナベ経営 東京本部本部長
中堅・中小企業の経営基盤強化を、収益構造の再構築により達成させる。経営ビジョン・戦略、組織デザイン、経営システム構築、中期経営計画の策定、事業承継では『経営者のプライベートな悩み(同族問題)』も同時に解決する。 経営診断(経営改善立案)100社以上、経営コンサルティング(経営指導)社数200社以上、社員教育100社以上、セミナー責任者など、実績を多数有する。