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「お金のブロックパズル」で生産性向上!
第3回 あなたの会社の売上目標は根拠がありますか?

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 前回は、「お金のブロックパズル」の描き方をご説明しました。お金のことなので、1円単位で細かく正確に把握することももちろん大事ですが、「木を見て森を見ず」になってはいけません。図にしてビジュアルで捉えることで、まずはざっくりとでもお金の流れ全体像を把握するようにしましょう。

 さて、お金のブロックパズルを描くことで得られる最大のメリットをお伝えします。それは、「社員一丸となって同じ目標を目指す環境が整えられること」です。そのためにすべきことは2つあります。

 1つは、第1回にもお伝えしましたが、過去対比や他社対比ではなくお金のブロックパズルを使って根拠のある売上目標を立てることです。そこで、根拠のある売上目標の立て方を簡単にご説明しますが、実はブロックパズルを描いた時点でその答えは半分出ています。

 結論から言ってしまうと、お金のブロックパズルを【繰越金】からさかのぼっていくだけです。図は、前回ご紹介したブロックパズルの完全版です。まず、設備投資+繰越金(貯蓄したい金額)でいくら欲しいかを決めます。図では現状が3なので、目標値を4としましょう。そこに1年分の【借金返済】1を合算します。その合計5から【減価償却費の繰戻】2を差し引いたら【税引後利益】は3となります。

 そして、税金で約3割を持っていかれる分を基に戻してあげる必要があるので、その額の約1.5倍の4.5が利益目標になります。固定費は売上によっては変動しない費用なので、そのまま27を合算すれば粗利目標31.5が求められます。さらに、材料費や外注費といった売上によっては連動する変動費を加えます。計算としては、粗利目標31.5を粗利率(30%)で割り算します。計算できましたか?ここで出てきた数字が、売上目標105です。

 ここでお伝えしておきたいのは、実現不可能なとんでもない数字が出てきても良いということです。実現できそうにないと思うと、途端にやる気をなくしてしまうかもしれません。大事なのは実現できるか否かということよりも、まずは現状を把握することです。その上で、1つ1つのブロックを精査していくことで、実態に即した目標が策定でき、計画と実行に移していけば良いのです。最初から完璧を求めず、ざっくりで良いと自分に言い聞かせて、まずは取り組んでみてください。

 次回は、社員一丸となって頑張れる環境を整えるためにすべきことの続きをお伝えします。

執筆者プロフィール

行政書士法人Co−Labo代表 建設関係許認可を専門とするガテン系行政書士/建設業成長パートナー 小林 裕門(こばやし ひろと)

小林 裕門(こばやし ひろと)
行政書士法人Co−Labo代表 建設関係許認可を専門とするガテン系行政書士/建設業成長パートナー
都内の行政書士事務所勤務を経て、2007年、26歳のときに独立開業。 建設関係の許認可手続きを専門とし、公共工事受注コンサルティングも展開。 人あたりの良さと軽快なフットワークから、お客様の良き相談相手となっており、 年間の関与先は500を超え、建設不動産業界に精通した若手行政書士の1人として定評がある。同業者からの信頼も厚く、09年、史上最年少で東京都行政書士会建設宅建部員に就任し、現在5期目。事務所開設丸2年での就任は極めて異例と評される。『建設業者さんに「安心」と「安全」を提供し、120%現場に集中できる環境づくり』をミッションとしている。