建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

ZEBプランナー体験記
第3回 ZEBプランナーの役割

いいね ツイート
0

 前回、ZEBのメリット・デメリットをお伝えしました。現状では、設計段階でZEBにすることの費用対効果が見えにくいことが、事業者・オーナーさんにとってZEBに踏み出せない要因の一つとなっています。

 そんな課題に応えてくれるのが「ZEBプランナー」です。一般社団法人環境共創イニシアチブによって2017年度に創設された制度で、ZEB設計ガイドラインや省エネ建築物を設計する為の知見を活用して、一般にZEBを普及する為の相談窓口を設け、業務支援を行います。ZEBプランナーは、事業者・オーナーさんにとって心強い存在であることが求められます。

 ZEBを実現していく過程で最も大事にすべきことは、ZEBに関わる全てのステークホルダーが、「何の為にZEBに取り組むのか」の共通理解を持つことです。施主、設計者、施工者、設備業者、メーカーが、各々の役割を果たしてZEBを創り上げる。そして、ZEBの心地よさをオーナー・事業者と集う人が共有できる。ZEBプランナー役割は、全員の能力を引き出してまとめあげる、オーケストラのマエストロのようなイメージです。

 さて、実際に初めてZEBに取り組むオーナー・事業者にとっての不安材料は、一般建築物と比較してZEBに掛かる割増費用が、どれくらいの金額になるかを把握出来ないことです。概算で良いので計画の初期段階から知りたいとの要望が多くあり、これをどの様に満たすか問われています。それには取り組む意義とコストを見える化する必要がありますが、見える化をするにも多少のコストは掛かります。そのコストをだれが、どの様に負担するのかもポイントとなります。
 
 建築物の用途、規模、地域などによっても異なりますが、「初期計画段階で、いかに建築主等の要望に応じたZEB化の達成によるメリットと、そのコストのバランスの取れた提案を行えるか」がZEBプランナーの知恵の見せ所となると思います。

執筆者プロフィール

株式会社イエタス(千代田区) 営業本部 部長 西山 博(にしやま ひろし)

西山 博(にしやま ひろし)
株式会社イエタス(千代田区) 営業本部 部長
建築建材商社に13年間勤務した後、2007年から住宅性能評価(品確法)に特化した一級建築士事務所イエタスに勤務。主に、戸建て住宅の品質向上に努めてきた。当時住宅市場は「量」から「質」へと大きな転換期で、積極的に情報発信しながら、地域の工務店からの相談に数多く対応。 コンサルティング的な依頼も増えていく中、非住宅建築物の省エネルギーの届け出業務を行う非住宅部門を4年前に設立。4年間で省エネ届出の実績は1000棟を超える。2年前にZEBプランナーにも登録。11件のZEB案件に携わり、ZEBへの想いは熱い。現在、高層マンションのZEHにも取組んでおり、幅広く省エネに貢献出来きることを楽しんで毎日仕事をしている。 モットーは「住まう人の住宅、集う人の建築物の安心・安全・快適を実現する」を掲げ、みらいの子供たちの為に残せる住宅・建築物の省エネに貢献することを目指す。 株式会社イエタスホームページURL:http://yetus.co.jp/ お問い合わせ先 電話 03-3230-1215 ZEB担当者 まで