建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

方向性と目的の一致が永続的な収益向上をもたらす
第1回 会社の方向性と目的を伝わるレベルで言葉にする

いいね ツイート
0

 突然ですが質問です。アナタが船の船員だとしたら、目的もなく行き先も分からない船に乗りますか?私なら不安になるので乗りたくありません。ところが、船が会社だとしたら、アナタの会社の目的と行き先はご存知ですか?船長にあたる社長ご自身も分かっていない場合があります。

 では、もう1つ質問です。アナタはなぜその仕事をしていますか?その仕事をしている理由を答えてみてください。

 ちなみに、質問者は粗利率の高い仕事を依頼する契約直前のお客様、もしくはやる気に満ち溢れた有能な就活中の学生だとします。そしてアナタの会社は、収益性の高い仕事を受注したい、人手不足を解消したい状況だとします。

 もしその答えが、ご飯を食べるため、生きていくため、お金儲けのためだけだとしたら、果たしてそのような方々からの受注や採用は成功するでしょうか?

 確かに生きていくためにお金は必要ですが、落胆させて成立しないと思います。

 逆に価格の安さを優先するお客様だと安ければ頼まれるでしょうし、給料の高さを優先する従業員だと高ければ人は集まると思います。

 ただ、今より安くやってくれる会社が現れればそちらに流れ、今より高い給料をもらえるならそちらに流れるでしょう。

 例えば【仕事の目的】とは、なぜその仕事をするのかを言葉にしたものです。最近だとNHKの朝の連続ドラマ『まんぷく』の発明家、立花萬平は苦難があるごとに『世の中の役に立つ仕事がしたい』と言って自身を奮い立たせ、周りの心を動かしています。

 このように明確な目的を持った上で、どのようなサービスを展開して、何年後はどのような状態になっているのかを【会社の方向性】として示すことで、共感する従業員は自ら考え行動し、業績向上に貢献するでしょう。また、方向性が一致することで組織として最大限のエネルギーを発揮できます。そして、個々の生活も豊かになっていきます。

 経営方針なので、正解不正解はありませんが、会社を永続的に発展させたいなら、【仕事の目的】と【会社の方向性】を明確に掲げることを強く推奨します。なぜならば、過去の優秀な経営者の歴史を辿れば、答えは自ずと見えるからです。

 ちなみに【仕事の目的】と【会社の方向性】を伝わるレベルで言葉にしたものが、経営理念です。経営理念の捉え方は十人十色なので、定義を揃えるため最後にお伝えしました。
次回は、国策として経営理念を重要視している事例をお伝えします。

執筆者プロフィール

株式会社心楽コンサルティング代表取締役 想いとお金の両立パートナー 出口 経尊(でぐち みちたか)

出口 経尊(でぐち みちたか)
株式会社心楽コンサルティング代表取締役 想いとお金の両立パートナー
建設関連を専門にチャレンジできる場を整え、物心両面で豊かにする想いとお金の両立パートナー。徳島文理大学工学部機械電子科を卒業後、建設会社勤務を経て、2000年から建設業に特化した工務店の集客や協力業者との業務改善に携わり、16年に心楽コンサルティングを創業した。現在は建設業をはじめ、製造業、士業などで経営理念の策定やキャッシュフローの計画策定、チームワークを強化する研修を通して、経営者が理想とするビジョン実現をサポートしている。また、中小企業だけでなく、メーカーや団体が主催する講演、研修も行う。経営士、理念実現パートナー、キャッシュフローコーチの資格を取得。香川県出身。365日ブログ更新中(http://shinraku.biz/)