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方向性と目的の一致が永続的な収益向上をもたらす
第2回 補助金申請の項目に経営理念の質問がある時代

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 第1回の投稿では、【仕事の目的】と【会社の方向性】を伝わるレベルで言葉にしたものが、経営理念だと定義させていただきました。
 ちなみに経営理念と聞いて、あなたはどのようなイメージが湧きますか? 以前の出口だと、かなりネガティブなイメージを持っていました。例えば、堅苦しいもの、社長が一方的に作ったもの、朝礼で唱和するもの、社長室の額縁に飾ってあるもの、従業員を型にはめるものなど、今思うと完全に受け身でお恥ずかしい限りです。

 まずは、社内全体でその定義から変えていく必要があり、経営理念は作る過程と、作ってからの浸透が大事なわけですが、それについては今後の連載でお伝えしていきます。

 そんな出口も、テクニックやノウハウなどの【やり方】を追いかける前に、そもそも何のためにやるのか?(使命・ミッション)、どうなっていたいのか?(未来像・ビジョン)、どうしていくのか?(行動指針・バリュー)の【あり方】の大切さを理解することで、経営理念の定義をプラスのイメージに書き換えることができました。ただし、奥がとても深いものなので、まだまだ精進が必要です。

 ところで、2018年の末頃に経営理念への認識や取り組みについて、公的機関から問われる機会がありました。それはIT導入補助金(平成29年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業)の申請書類で、質問内容は以下の通りです。

◎経営理念を掲げて社内に周知を図っている
◎経営理念は持っているが、社内の周知は不十分である
◎経営理念を作成しているところである
◎経営理念は持っていない
◎特に意識したことは無い
◎わからない

 これを見た時の衝撃は良い意味で大きく、商売の発展繁栄には自社だけの利益追求では成立しないという現れだと感じました。なぜならば、一般的に経営理念には、近江商人の『売り手良し』『買い手良し』『世間良し』の【三方良し】の要素があるからです。また、今後はSDGs(持続可能な開発目標)と言われる2030年までに達成すべき17の国際社会共通の目標が企業に問われるようになれば、さらに【あり方】が重要視される世の中になるのではないでしょうか?
次回は、従業員の仕事の価値観が他人事から自分事に変化していく話をお伝えします。

執筆者プロフィール

株式会社心楽コンサルティング代表取締役 想いとお金の両立パートナー 出口 経尊(でぐち みちたか)

出口 経尊(でぐち みちたか)
株式会社心楽コンサルティング代表取締役 想いとお金の両立パートナー
建設関連を専門にチャレンジできる場を整え、物心両面で豊かにする想いとお金の両立パートナー。徳島文理大学工学部機械電子科を卒業後、建設会社勤務を経て、2000年から建設業に特化した工務店の集客や協力業者との業務改善に携わり、16年に心楽コンサルティングを創業した。現在は建設業をはじめ、製造業、士業などで経営理念の策定やキャッシュフローの計画策定、チームワークを強化する研修を通して、経営者が理想とするビジョン実現をサポートしている。また、中小企業だけでなく、メーカーや団体が主催する講演、研修も行う。経営士、理念実現パートナー、キャッシュフローコーチの資格を取得。香川県出身。365日ブログ更新中(http://shinraku.biz/)