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選ばれる建設会社になるための労務管理
第11回 意識チェンジについて@

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 今回は、選ばれる建設会社になるための「働き方をチェンジするための『意識チェンジ』」について取り上げます。

 働き方を変える必要性は、誰しも頭では理解しています。しかし、「業績を下げないためには長時間労働すべきだ」「女性にはこの仕事は無理だ」「プライベートより仕事を優先すべきだ」などの思考や価値観が無自覚に実践を阻むということが起こりえます。
 なぜなら、私たちは無自覚に過去の常識や価値観に囚われており、瞬時に【これまでの常識 → 正しい】【それ以外 → 正しくない】という基準で評価を下しているからです。なお、過去の常識や価値観とは、例えば次のような例があります。

(1)性別役割分担意識
男性は外で働き女性は家庭を守るという考え方。女性だからこの仕事は無理だという考え方。(例:お茶くみなどの細やかな仕事は女性のほうが向いている、男性社員は育児休業をとるべきではないと思うなど)

(2)長時間労働ありきの働き方
長時間労働することが前提だという考え方。長時間労働ができない立場の人(妊娠、出産、子育て中の人)は仕事を任せることができないという考え方。(例:仕事上必要であるならば、深夜や休日も連絡をとるべきだ、育児休業中の社員に対してプロ意識が足りないと思うなど)

(3)指示命令型マネジメント
部下には厳しくすべき、部下の行動をコントロールするべきという考え方。何をおいても組織と仕事を最優先すべきという考え方。(例:仕事であればどんなに厳しいノルマであっても達成すべきだ、仕事は自分で盗み取って覚えるべきだなど)

(4)協調性の重視
相手の考えていることを察して動くべきという考え方。協調性を重視するため、個性の主張、自己主張を好まない職場環境など。(例:職場では会社の意向が最優先であるので自己主張すべきでない、協調性がない人とは話をしたくない、など)

 特に、これまで(1)〜(4)のような常識や価値観で成果を手に入れた経験がある人は、「〜すべきだ」という傾向が強く、新しい常識や価値観を柔軟に受け入れられません。それどころか、自覚なく新しい常識や価値観を学んでも、無自覚に反応してしまい、受け入れられないだけではなく、時には「ハラスメント的な言動」を引き起こすことにつながります。
したがって、まずは、自分自身がどのような過去の価値観や考え方に影響を受けているかを自覚することが必要です。その上で、新しい常識や価値観を受け入れ、「経営者」「管理職」「従業員」がそれぞれの役割を理解した上で、1人1人が意識を変えていくことが必要になります。

最終回は、具体的に「経営者」「管理職」「従業員」がどのように意識チェンジを行っていく必要があるか、について取り上げます。

執筆者プロフィール

株式会社シエーナ代表取締役/社会保険労務士 吉川 直子

吉川 直子
株式会社シエーナ代表取締役/社会保険労務士
社会保険労務士/(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。大学卒業後、アパレルメーカー、労働保険事務組合、社会保険労務士事務所等に勤務後2005年に社会保険労務士として独立。人材育成への関心からコーチングのトレーニングを2003年より開始し、プロコーチとしても活動する。その後コーチング事業を法人化し、2011年株式会社シエーナを設立。現在は、企業向けコーチング、企業研修、人事評価制度の構築、就業規則の作成、人事労務相談等を中心に活動中。プライベートでは1児の母。建設業向けの各種事業主団体や商工会議所等の講演、企業研修の実績多数。著書に「社会保険・労働保険手続きインデックス(税務研究会出版局)」「中小会社の人事・労務・人材活用図解マニュアル(大泉書店)」 「人ひとり雇うときに読む本(中経出版)」などがある。https://sce-na.com/(株式会社シエーナ ホームページ) https://sce-na.net/(社会保険労務士シエーナ ホームページ) https://kensetsu-jinzai.com/(建設業様向けホームページ)