建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

ZEH−マンションコンサル体験記
第1回 ZEH−マンションのメリット・デメリット

いいね ツイート
0

 インターネットで住宅・不動産情報サイトを覗いてみますと、「マンションVS一戸建」「新築VS中古」「賃貸VS購入」といったテーマの情報がたくさん載っています。これらは各人の家族構成、職業、収入、そして住まいに対する価値観などで答えが変動するため、決して一つの正解を導き出せるものではありません。住宅選びの難しさを表現して、「満足いく『家』をつくるには3回建てなければいけない」と言われるほど、住宅選びは難しいものです。

 一方で「人生で一番高い買い物と言いながら結構衝動的に買ってしまう」とも耳にします。

 「家を買ってはみたものの、思っていた住み心地とは違った」という声を聞くこともありますが、住み心地というのは結局は住んでみないと実感できないために、住んでから後悔するケースも発生するのだと思います。

 では、後悔しないためにはどうすればいいのか?これも書店に行けばあまたの本が出版されており、「ここさえ押さえておけば大丈夫」という明確な答えはありません。

 ただ、長年住宅に携わってきた者として一つだけ言えるのは、「後から簡単に変えられないものは、きちんと納得してから決断する」ということです。
 
 住宅で簡単に変えられないものといえば、構造と断熱です。
構造は、躯体そのものであり、かつ耐震性にも大きく影響します。断熱材は壁の中に隠れてしまうため、もちろん簡単には取り替えることはできません。

 ZEHは、省エネ・創エネ性能と並んで断熱性が非常に重要です。ある調査によると、新築住宅の購入者の約7割はZEHの認知度がある一方で、マンションでのZEHはまだまだ認知度がない状況だそうです。国が進めている省エネ化対策には、マンションの省エネ化が欠かせません。そのために国は、マンション・共同住宅のZEH化を促進する為の補助制度を設けています。例えば、中低層・高層・超高層と4段階のカテゴリーに分かれており、それぞれ満たす基準も違います。補助金の内容や利用する際のポイントについては、第2回でご説明します。

 ZEHマンションは断熱性に優れることから、従来のマンションに比べて空調をあまり使わなくても夏涼しくて冬暖かく、光熱費を抑えられるという長所があります。

 マンションの角部屋は眺望が良い反面、他住戸と比べ窓も多く寒い傾向があります。しかし、ZEHマンションは、断熱材、強化サッシなどで断熱性能を強化していますので、その心配も軽減できます。

 デメリットと言えば、コスト高になることでしょうか。どのくらいのコストアップかは各社で違ってくると思いますが、コストと省エネ効果、住み心地の満足度のバランスが取れてこそZEHマンションの普及が進むと思われますので、いかに効率化するのかも重要なポイントです。

執筆者プロフィール

株式会社イエタス営業本部部長 西山 博(にしやま ひろし)

西山 博(にしやま ひろし)
株式会社イエタス営業本部部長
建築建材商社に13年間勤務した後、2007年から住宅性能評価(品確法)に特化した一級建築士事務所イエタスに勤務。17年にZEBプランナーに登録、29件のZEB案件に携わる。ZEH(またはZEH−M)については、低層10件、中層8件、高層5件、超高層1件。 モットーに「住まう人、集う人の住宅建築物の安心・安全・快適を実現する」を掲げ、未来の子供たちのために残せる住宅・建築物の省エネへの貢献を目指す。