建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

ZEH−マンションコンサル体験記
第2回 ZEH−マンション補助金利用のポイント

いいね ツイート
0

財務省が発表している2019年度国家予算は100兆円を超え、このうち省エネに関する予算は、9,700億円となっています。新築住宅政策は内需の柱であることから大きな予算が次ぎ込まれてきました。
しかし、いま住宅は余っています。最新のデータでは空き家の数が1,000万戸にものぼり、ますます増えて行く傾向です。

そんな中、環境省と経済産業省は、2017年にZEHマンションの補助事業を開始しました。今年からは、21階建て以上の超高層マンションへも補助が拡大され、マンション建築費のうち補助対象事業費を対象に2/3を上限とした補助事業が開始されています。

新築需要が落ち込む中、なぜ新築マンションに補助金が出るのでしょうか?どの補助金も費用対効果が無ければ各省庁も予算化しません。20年の環境省の共同住宅の省エネ政策には19年の約3倍もの予算案が提出されています。効果も含め予算をつぎ込む価値があると国は判断しているのです。

補助金はわれわれが支払った税金でもあります。使えるなら使わなければ損だと思いませんか。

では、どの様にしてZEHマンションの補助金を賢く利用すればいいのでしょうか?

共同住宅新築の施主であるデベロッパー・事業者さんへ「補助金、使えますよ」と情報を提供し営業活動につなげるためにも、設計事務所・施工者もZEHマンションの補助金のことを知る必要があります。補助金の額・割合、申請条件など複雑な部分もありますが、利点や必要事項を把握してどう活用するか判断することが肝要です。

さてここで、補助金を利用してZEHマンションなどの省エネ建築物を建てる際の虎の巻の一部をご紹介しましょう。

1「事業者はコストのことを最初に考えない」
2「補助金に合う案件があるのか詳しい人に聞く」
3「各ステークホルダーの役割を把握する」

つまり、経験者に話を聞き、チャレンジできる補助金案件があるのかを把握することが第一段階です。

「最初にコストのことを考えない」の理由は、コストは必ず上がるためです。マンション建築費の上昇傾向が続いている現在、最初にコストを組んでしまうと、建築費の上昇が想定を超えたときに、計画がとん挫しかねません。

しかし、私の経験上では、コスト増は工夫次第で抑えられます。国がなぜZEHマンションの補助金に力を入れて来ているのかを冷静に見極め、他社の取り組み事例も参考にして判断して行くことが求められています。

執筆者プロフィール

株式会社イエタス営業本部部長 西山 博(にしやま ひろし)

西山 博(にしやま ひろし)
株式会社イエタス営業本部部長
建築建材商社に13年間勤務した後、2007年から住宅性能評価(品確法)に特化した一級建築士事務所イエタスに勤務。17年にZEBプランナーに登録、29件のZEB案件に携わる。ZEH(またはZEH−M)については、低層10件、中層8件、高層5件、超高層1件。 モットーに「住まう人、集う人の住宅建築物の安心・安全・快適を実現する」を掲げ、未来の子供たちのために残せる住宅・建築物の省エネへの貢献を目指す。