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ZEH−マンションコンサル体験記
第4回 ZEHマンションの作り方

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 何かに初めて取り組む際には、いったい何から始めればよいのか、見当が付かず不安になるもののではないでしょうか。

 今回は、「初めてのZEHマンションのつくりかた」について、筆者が今まで数多くのZEHマンションに関わって来た経験から、
1、現状仕様とZEHマンション仕様にした時の差を把握する。
2、ZEHマンション仕様でのコスト差を把握する。
3、補助金を利用する際は工期と補助事業の工程を把握する。
という、大きく3つの手順に沿ってご案内致します。

 1の仕様を選定する際の注意点は、妻側住戸・角住戸・外気に接する住戸など不利側住戸で検討することです。

 マンションは、界壁・界床に囲まれた住戸と外壁面に接する住戸に分かれるため、住戸ごとで省エネ数値が違ってきます。なので、断熱材を選ぶ際は不利側住戸の仕様を基本とすることになります。また、鉄筋コンクリート造の場合は、熱橋対策も重要なポイントです。

 2、コスト分析では、ガスかオール電化かの選択によっても差が出て来ますし、そもそもZEHマンションにすることでコストは上がります。それでも取り組むのかを判断する際は、メリット・デメリットを十分検討し協議をする時間が必要です。なかなか時間的な余裕がない場合が多いとは思いますが、可能な限りこの検討時間を十分取ることが大切です。。

 3、ZEHマンションのコスト増を賄うために補助事業の活用を前提に考えることになりますが、補助事業は、補助が100%もらえることが保証されている訳ではありません。したがって補助採択できなかった場合でも取り組むかの判断をしておくことも重要です。

―ZEHマンション取組失敗例―

 ここで失敗したケースを少しご紹介します。

 失敗例1、実施設計から短期間で取り組む場合。

 この場合は、ほぼ設計が決まった段階からスタートになるため、ZEHマンション仕様にした場合の変更が、設計に大きく影響し全体の工期・コスト・販売方法などとの調整を図る時間が無くなり、正確な判断が難しくなってしまいました。


 失敗事例2、工期が補助事業と合わない。

 補助事業には、工程が決まっていますので、工期をすべて補助事業に合わせられるかがポイントです。しかし、補助事業の工程の概要、注意事項など正確なことを把握していなければ、混乱を招くことになります。
 
 今までの経験上、ZEHマンションの取り組み自体は難しくはないものの、ZEHマンションにすることで通常のマンション計画と何が違うのか「違い」を知ることがすべてと言っても過言ではないでしょう。
 
 この「違い」を知るためにはZEHマンション経験者と取り組むことが何よりも心強いことになります。

 私たちが「転ばぬ先の杖」の役割を果たせることで1社でも多くの方に取り組んでいただければ幸いです。

執筆者プロフィール

株式会社イエタス営業本部部長 西山 博(にしやま ひろし)

西山 博(にしやま ひろし)
株式会社イエタス営業本部部長
建築建材商社に13年間勤務した後、2007年から住宅性能評価(品確法)に特化した一級建築士事務所イエタスに勤務。17年にZEBプランナーに登録、29件のZEB案件に携わる。ZEH(またはZEH−M)については、低層10件、中層8件、高層5件、超高層1件。 モットーに「住まう人、集う人の住宅建築物の安心・安全・快適を実現する」を掲げ、未来の子供たちのために残せる住宅・建築物の省エネへの貢献を目指す。