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ガードマンが足りない! (1)応札は警備員次第

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 交通誘導警備員の人手不足が建設工事の足かせになっている。

 ある東京都内の土木工事業者は「入札に参加する前に、警備会社にガードマンを頼めるか聞く。頼めなければ入札に参加しない。受注してから発注者に、ガードマンがいないから仕事ができないとは言えない」と話す。そして「ガードマンが頼めず、応札を諦めるケースが増えている。諦めることの方が多いかもしれない」と続けた。

 一方、応札時に交通誘導警備員を確保できるめどが立っていても計画が狂ってしまう場合もある。

 別の東京・多摩地区の建設業者は、7月末に道路災害防除工事を落札した。4人態勢で24時間、警備員の配置が必要な工事だ。落札した時点ではもちろん、警備員の配置について警備会社との話はついていた。

 計画が狂ったのは、電線の移設など準備工事に、予定以上に日数がかかったからだ。本格着工は10月中旬に延び、予定していた警備員が配置できないことが分かった。「何社もの警備会社に問い合わせたがガードマンが見つからない」。10月下旬に入った時点でも着工のめどが立たないと経営者は頭を抱えた。

 10月12日に日本に上陸した超大型の台風19号は、東日本を中心に、河川堤防の決壊や河川の氾濫、土砂崩れなどの甚大な被害を広域的にもたらした。東京都内でも住宅への浸水などの被害が各所で発生した。

 台風の上陸から9日後の10月21日、東京多摩地区の別の建設業者はこう話した。

 「地元では何カ所も土砂崩れがあった。主要な箇所では復旧工事に入っているが、手付かずの所がたくさんある。ガードマンがいないからだ」

 ◇        ◇

 交通誘導警備員の人手不足の問題が深刻化している。警備員を手配できず、着工できない。あるいは工事が止まったという声が聞こえてくる。災害が頻発する中、災害復旧工事の支障にもなっている。問題の背景を取材した。

(写真は記事と無関係です)

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