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ガードマンが足りない! (6)仕事は交通誘導だけでない

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 「交通誘導警備は、警備業の業務の一つでしかない。交通誘導警備がなくなっても警備業はなくならない」。ある東京都内の警備会社の経営者はそう強調する。

 警備業の業務は、施設警備などの1号業務、交通誘導警備と雑踏警備の2号業務、貴重品運搬などの3号業務、身辺警備を行う4号業務の四つに分けられる。

 3号と4号を行う警備会社はごくわずかだ。大半の会社は1号か2号、あるいはその両方を手掛ける。

 同じ経営者は「優秀な若手が入った場合、交通誘導には就けず、施設警備に回す。交通誘導で採用しても、本人にやる気と能力があれば施設警備に移す」と言う。施設警備では、交通誘導にあるようなキャンセルはない。完全なシフト制で予算が立てられ、経営が安定する。

 「交通誘導警備を手掛ける警備会社は多い。しかし、働き手がいなくなれば自然と消えていくしかない。建設業と行政は対策を真剣に考えなければならない」とその経営者は指摘する。

 別の警備業者はこう話す。

 「大規模な現場でも、工事の一番最初から最後までいる下請けは警備業だけ。近隣に対しても現場の顔になっている。しかし、一緒になって警備の予算を上げようとしてくれる建設会社はない。本来は、特殊技能と同じく、警備の労務単価を引き上げていくべき。現状では同様な評価はされていない。いつまでこういった状態が続くのか。交通誘導警備員がいなくなって困るのは建設業だ」

 東京都内の建設業の経営者の一人は「高齢化して、ただ現場に立っているだけの警備員がいるのも事実。しかし、ぜいたくは言えない。立っていてくれているだけでありがたい」と話す。

 一方、「警備員の成り手を増やすため、警備の仕事を魅力あるものにしなければならない。特に警備員の労務単価と報酬を上げる必要がある」と言う建設業者もいる。

 交通誘導警備員の低い労務単価と人材不足に関する問題意識は、警備業と建設業の多くの関係者は共通認識として持っている。問題の打開策を見つけなければならない。

(写真は記事と無関係です)

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