土木に魅せられて ～写真家・山崎エリナの見た世界～⑤優しさと一体感と心強さ
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～優しさと一体感と心強さ～
雪が積もる山形。立坑を下り、水路トンネルの中は一気に暗闇へ、頭を下げ屈みながら現場へと向か う。現場監督さんの懐中電灯の灯りを頼りに1歩1歩足を踏みしめる。進むにつれて湿度が体に纏わ りついた。何百メートル歩いただろう？私は突然、閉所恐怖症が出てしまった！息が浅くなり、軽い パニックにしゃがみ込んだ。「若い子でこうなる子もいるんだよ、大丈夫だから、ゆっくり行こう」 と、静かに声をかけて下さった言葉に救われ、呼吸が落ち着き、歩き進めると、前方に現場の灯りが 見えた。「ドドドドドーーー」と運搬車の音が鳴り響き、早く撮りたい！と一気に写真家モードのス イッチが入った。 狭い空間の中を大きな声が飛び交う、号令と指先の指示を頼りに溝に嵌らないよう砂利を運び入れる 一体感、真剣な姿がかっこいい。削られた跡の壁面にライトが照らされ、そこで作業する一人一人が まるで映画の主人公のようだ。
私はもう閉所恐怖症だったことすらかき消され、時間も忘れてシャッターを押していた。
執筆者プロフィール
山崎エリナ
写真家・ボーカリスト
兵庫県神戸市生まれ
1995年 渡仏。フランス・パリを拠点に３年間の写真活動専念する。
40カ国以上を旅して撮影。エッセイを執筆。
帰国後、国内外で写真展を多数開催、雑誌、雑誌連載、広告、 映像などで活躍。
海外での評価も高く、ポーランドの美術館Mangghaにて作品収蔵。
音楽家 坂本龍一氏、第72 回アカデミー賞にて名誉賞を受賞した映画監督アンジェイ・ワイダ氏からもその作品を高く評価された。
NHKスペシャル「世界初撮影!深海の超巨大イカ」ダイオウイカで話題なった自然番組にスチールカメラマンとして同行し深海撮影。
写真集に「Iceland blue アイスランドブルー」（学研）、「Saudade サウダージ」 （初版 ピエブックス）、「ただいまおかえり」（小学館）、「千の風 神戸から ～天国のあの人へ～」（学研）、「アンブラッセ ～恋人たちのパリ～」（ポプラ社）、「三峯神社」（グッドブックス）2019年「インフラメンテナンス ～日本列島３６５日、道路はこうして守られている～」（グッドブックス）
2020年 6月上旬「civil engineers 土木の肖像」、6月下旬「トンネル誕生」（同グッドブックス）
出版へ。
山崎エリナオフィシャルサイトhttp://www.yamasakielina.com
インスタグラム elina.yamasaki
oze.hinoemata.elinayamasaki