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海釣りから建設業の戦略的マーケティングを考える(6)

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 中小建設業における戦略的マーケティングを釣りに例えて解説しているが、前回までで第2ステップであるマーケティング戦略について解説を行った。第3ステップは目標設定とマーケティングミックスの検討である。
 まず、目標設定について解説しよう。対象とする市場・顧客群(ターゲット)と、自社の立ち位置やマーケティングにおける自社のコンセプト(ポジショニング)を定めた後、忘れてはいけないのは目標設定である。最終目標となる顧客開拓の売上・利益目標を定め、段階的な目標として、アプローチ件数、引き合い件数、見積提出件数、契約件数などの数値目標を設定する。下図はパイプラインマネジメントという、段階的な目標設定をしていく考え方である。
 この段階的な目標設定と実績管理は、マーケティング活動を進めていく上では特に重要である。マーケティング活動は、一朝一夕で成果が出るものではなく、特に規模が大きい建設の案件であれば、最短でも半年・一年の計画的な活動が必要であり、そのためのプロセス管理していくことが重要である。
 釣りは趣味であり、ここまで厳格に目標設定・管理をすることはないであろうが、家族の人数や作りたい料理の数などにより、だいたい何匹ぐらい釣りたいなどと青写真を描くことはあるだろう。例えば、ヒラメであれば、家族4人で刺身とカツを食べ、次の日も何らかのヒラメ料理を食べたいのであれば、2〜3キロほどのヒラメを2枚くらい釣りたいなどとイメージするものである。
 ビジネスでも同様で、人件費・必要経費から逆算し、売上・利益目標を設定していく。また、アプローチ件数は投入回数、引き合い件数はアタリの数、見積提出件数はハリにかけた数、受注件数は取り込んだ数と例えられよう。いかに手返しよく投入し、アタリを増やし、魚をかけ、取り込むかにより、釣果に大きな差が出る。

執筆者プロフィール

齋藤昭彦

齋藤昭彦
株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 経営コンサルタント 齋藤 昭彦  学卒後、株式会社内田洋行入社。首都圏第2営業部にて公共・大学営業担当、のち金融営業部にてメガバンク営業担当。2014年公益財団法人さいたま市産業創造財団へ入職。創業・経営改善支援担当、医療・国際展開支援担当、オープンイノベーション推進チームリーダーなどを経て日本コンサルタントグループ入社、現在に至る。