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海釣りから建設業の戦略的マーケティングを考える(7)

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 続いては、マーケティングミックスの検討である。マーケティングミックスとは、マーケティング戦略に基づき、顧客に対して展開する製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、営業・販促活動(Promotion)の組み合わせであり、それぞれの頭文字を取り4Pと呼ばれる。これらの要素を市場および顧客のニーズに合わせて、いかに組み合わせて展開していくかを検討する。4Pの主だった内容を表に整理してみた。
 例えば、ロードサイドの工業団地エリアにおいて、小型〜中型の倉庫・工場案件を狙っていく場合、不動産仲介などから情報収集をしながら、地場の流通業・製造業に営業活動を展開することになる。そのためには、自社の施工能力・技術、提案品質、管理能力などをアピールするため、パンフ・チラシなどの訪問ツールなどにまとめる。また、最近の顧客ニーズに合うよう、自動化倉庫やIoTと絡めた提案も有効であろう。それらを、アポイントを取ってアプローチし、提案・見積し、契約に結び付ける。このように受注に向けた、製品・金額・流通・販促活動を組み合わせが、マーケティングミックスである。マーケティングミックスを定めたら、役割分担とスケジュールを決め、実際の活動に向けた準備を行う。
 これを釣りに例えると、製品はエサやルアー、流通はタナ取り、販促活動は仕掛けや誘い方であるといえるだろう(価格については、こじつけのようなので、ここでは割愛する)。
 顧客を魚に見立てると、事前の情報に基づき、その日の状況に合致した竿・リール・エサ・仕掛けなどを選定し、タナを取り、アタリを取り、釣り上げるといった、組み合わせやプロセスがマーケティングミックスである。このマーケティングミックスを事前に計画・準備し、実際のマーケティング活動、釣りで言うと釣行に臨むのである。

執筆者プロフィール

齋藤昭彦

齋藤昭彦
株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 経営コンサルタント 齋藤 昭彦  学卒後、株式会社内田洋行入社。首都圏第2営業部にて公共・大学営業担当、のち金融営業部にてメガバンク営業担当。2014年公益財団法人さいたま市産業創造財団へ入職。創業・経営改善支援担当、医療・国際展開支援担当、オープンイノベーション推進チームリーダーなどを経て日本コンサルタントグループ入社、現在に至る。