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海釣りから建設業の戦略的マーケティングを考える(9)

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 漁場に到着したら、いよいよ実釣である。竿を取り、餌を投入し、準備してきたイメージに基づき、想定したタナを取り、アタリを探っていく。思惑通りにすぐに釣れることもあれば、なかなかアタリが取れないこともある。何度か試してみてうまくいかないようであれば、タナや誘い方、仕掛けを変えるなどして、その日の釣れる釣り方を探っていくのである。
実際のマーケティング活動も同様で、現場では問題や課題も出てくるだろう。これらを解決し、目標達成を果たすためには、マネジメントサイクルを用いながら、活動をブラッシュアップしていく必要がある。一般的にPDCAサイクルと呼ばれているもので、計画を実施し、しっかりと評価を行い、改善・ブラッシュアップを図っていくという考え方である。
マーケティングも釣りも机上論には限界がある。実際に営業しないとわからないことも多く、釣りでも仕掛けを投げてみないとわからない。だが、成果が出ないからすぐに諦めるのではなく、仮説を検証するというつもりで前向きに活動を続け、しっかりと市場や顧客の声に応じてブラッシュアップすることが重要である。また、時には忍耐も必要である。十分に仮説を検証せずに方策を転換してしまうと、仮説に対する正確な評価をすることができず、いつまでも有効な戦略にたどりつけないということもある。
このように事前の計画に基づき、船上で改善を積み重ねることにより、船上での喜びと帰宅後の釣りたての魚を使ったおいしい料理、家族の笑顔にありつけるのである。ビジネスに置き換えれば、受注・契約といった成果に結びつくということである。
釣りに例えることで、建設業の戦略的なマーケティングをわかりやすく解説するという主旨のもと、全9回の連載をさせていただいた。もしも、釣りは難しいという誤解を招いてしまったらお詫び申し上げたい。実際は気楽・気軽にも楽しめるレジャーなので、ぜひ楽しんでいただきたい。

執筆者プロフィール

齋藤 昭彦

齋藤 昭彦
株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 経営コンサルタント 齋藤 昭彦  学卒後、株式会社内田洋行入社。首都圏第2営業部にて公共・大学営業担当、のち金融営業部にてメガバンク営業担当。2014年公益財団法人さいたま市産業創造財団へ入職。創業・経営改善支援担当、医療・国際展開支援担当、オープンイノベーション推進チームリーダーなどを経て日本コンサルタントグループ入社、現在に至る。