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Catch-up どうなる公共事業費

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 中央省庁の概算要求がまとまり、2022年度当初予算案の編成作業が始まった。例年は、年末までに編成作業が終わり、政府案を決定するが、今回は、9月17日公示の自民党総裁選とその後の衆院選しだいで、予算の内容・規模が大きく変わる可能性がある。総裁選後に決まる次の首相は、経済対策の策定や補正予算の編成を指示するとみられており、当面の間、予算の全体像は見えてきそうにない。
 22年度の概算要求は、過去最大の総額111・6兆円。菅内閣が7月に示した概算要求基準では「脱炭素化」「デジタル化」「地方活性化」「子ども・子育て支援」の4分野に予算を重点的に配分するとしており、各省庁の概算要求もこの基準に沿った形でまとめられている。
 22年度当初予算はこの概算要求を軸に編成が進むとの見方が強いが、次の首相の下でまとまる経済対策や補正予算には、新総裁の政策が色濃く反映されるものとみられる。
 きょう9月17日に公示、29日に開票される総裁選の各候補者は、共通して目下の新型コロナウイルス感染症対策、感染収束後の経済再生を最優先の課題としている。
 公共事業費で言えば、新政権が「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」をどう捉えるのか、気になるところだ。昨年12月に閣議決定した5か年加速化対策では、21年度から5年間の事業規模を「15兆円程度」にすると明記しているが、各年度の事業規模にまでは触れていない。
 22年度の概算要求では、5か年加速化対策の事業費について、金額を明示しない「事項要求」とし、今後の予算編成の過程で規模を検討するとしていた。次の首相のスタンスが、来年度の公共事業に影響するのは想像に難くない。
 新総裁だけでなく、11年10月に自民党が国土強靭化総合調査会(現・国土強靭化推進本部)を発足して以降、国土強靭化を先頭に立って進めてきた二階俊博幹事長の去就も気になる。総裁選とその後の衆院選の結果しだいで、これまで国土強靱化を進めてきた党内のパワーバランスが大きく変わる可能性もある。
 コロナ禍で疲弊した経済の成長戦略となるインフラへの積極投資は世界の潮流になりつつある。米国は5年で約110兆円に上るインフラ投資計画を進めようとしている。12年12月の第2次安倍内閣の発足以降、自公政権は積極的な公共投資を政策の柱の一つに据えてきた。コロナ禍からの経済の再生、自然災害を激甚化させる気候変動のリスクが高まる中、この姿勢を継続し、さらに強化することが必要だ。