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Catch-up 国土交通大臣2年ぶり交代

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 10月4日に発足した岸田新内閣で、国土交通大臣が2年ぶりに交代した。岸田文雄首相は、成長と分配の好循環によって中間層の個人所得を引き上げる「新しい資本主義」をはじめとする、自身の経済政策を打ち出している。斉藤鉄夫新国交相の下、国土交通省は新内閣の経済政策にどのような役割を果たすのだろうか。
 前大臣の赤羽一嘉氏から国土交通大臣のバトンを引き継いだ斉藤氏は1993年に初当選し、当選9回。2008年には環境大臣として初入閣し、その後は公明党幹事長、同副代表などを務めた。
 京都大学大学院で土木工学を修めた太田昭宏氏、旧建設省の技術系キャリア官僚から転身した石井啓一氏とともに、斉藤氏も建設業との関わりが深い。東京工業大学大学院を修了後、政界に転身するまでの17年間、清水建設に勤務した経歴を持つ。
 就任後の会見では、建設現場で1年間の新入社員研修を行った時には、「現場の職長が『お前らたいした給料もらっていないだろう』とよく食事をごちそうしてくれた」と振り返った。
 「当時は現場の職人たちが誇りを持ち、それに見合う収入を得て働いていた」と述べ、「もう一度、若い人たちが技能を蓄積し、それに見合う報酬が得られる、そういう建設業にすることが必要だ」と語った。
 岸田首相は14日に衆院を解散し、その後は19日公示、31日投開票のスケジュールで衆院選が行われることになった。8日の所信表明では「『成長か、分配か』という不毛な議論からの脱却」「成長の果実をしっかりと分配することで初めて、次の成長が実現する」と訴えた。中間層の拡大を図るとしたこれらの経済政策について、総選挙で国民に信が問われる。
 分配戦略の第1の柱には「働く人への分配機能の強化」が打ち出されている。株主だけでなく、従業員・取引先にも恩恵をもたらす「三方良し」の経営を促す環境整備、下請け取引に対する監督体制の強化、賃上げを行う企業への税制支援などに取り組むとした。新型コロナ、少子高齢化対応の最前線で働く人々の所得を向上させるため、公的価格は抜本的に見直す。
 岸田内閣は、こうした経済政策を実行に移すため、新たな経済対策を総選挙後に決定し、その財源となる補正予算も年内に成立させる方針だ。成長と分配の好循環を柱とする岸田内閣の経済政策が、建設業にどのような影響を与えるのか。斉藤新国交相が業界で培った経験が、これからの政策に生かされることを期待したい。